インフルエンサー詐欺で知っておくべきこと:要点まとめ

ソーシャルメディアで多数の人から注目されるスター、インフルエンサー。そんな存在を活用するマーケティング手法が一般化した一方で、フラウド(詐欺)の問題が、10億ドル(約1000億円)を超える市場規模の業界で深刻化している。

インフルエンサーは、通常の広告に比べてより「うそがない」かのように見えるため、マーケターにとっては魅力的な存在だ。だがそうした本物らしさは、実は作られたものである場合もある。その手法は、インスタグラマー同士がグループを組んで互いにエンゲージメントを増やす「インスタグラムポッド」から、ボットによるフォロワーの水増しや売買などまで、多岐にわたる。そのため多くのマーケターは、インフルエンサーへの投資に本当に効果があるのかどうか疑いはじめている。今回は、この問題を掘り下げてみることにしよう。

統計データ

  • フラウド対策に取り組む米スウェイ・オプス(Sway Ops)のデータによると、インスタグラムで#sponsoredや#adなどのタグが付けられた投稿において、不正なエンゲージメントは1日当たり50%を超えたという。11万8007件のコメントのうち、ボットではないフォロワーからのコメントはわずか2万942件。
  • 同じデータによると、スポンサード投稿の契約を結んだ(そして関連製品を受け取った)インフルエンサーの15%超は、そもそも投稿をしていなかった。
  • さらに、毎日投稿される2000件のスポンサード投稿のうち500件以上で、ボットのコメントは全コメントの40%以上を占めた。
  • 「インスタグラムポッド」も依然として問題になっている。スウェイの最近の調査によると、ポッドの関与、ヤラセのコメントや「いいね!」、ボットによるエンゲージメントの水増しがまったくないスポンサード投稿は、1日当たり2000件中で平均36件に過ぎなかったという。

「インスタグラムポッド」について

何をもってフラウド(詐欺)とするかについては、議論の余地がある。「ボット」を利用したコメントの水増しや売買はフラウドだという考えには、ほとんどの人が賛成するだろう。だが、「ポッド」はフラウドだという考えには、インフルエンサーは反対するかもしれない。

「インスタグラムポッド」とは、最大30人程度のインスタグラマーがグループを組み、互いに協力して投稿にコメントや「いいね!」を付け合うことで、エンゲージメントを人為的に増加させる手法のことだ。インフルエンサーの多くがこの手法を使っており、まったく問題視していない。「ポッドは問題だと思わない。ブロガーも、同じジャンルのブロガーと互いに助け合っているから」と、あるインフルエンサーは匿名を条件に語った。

しかし問題視する声もある。「これは、インスタグラマーやインフルエンサーが人為的に自分たちを大きく見せようとする行為だ」と指摘するのは、YouTuberのザック・バシー氏。「この習慣は、そうした人自身にとってもまた危険だ。一度はじめたら、やめることはできないからだ。やめると数字が急落する以上は、ある程度の数字を達成したときに『もうやめるよ』とは言えない。見せかけの成長を維持するために、延々と続けるはめになる」。

フラウドを見つけるには

一般に、フラウドを見つけるのは難しいと思われているが、方法がないわけではない。

  • あるインフルエンサーのフォロワー数が急増した場合、その原因が外部に見当たらなければ、そのインフルエンサーはフォロワーを買っている可能性がある。
  • フォロワー数に比べてエンゲージメント(「いいね!」とコメントの数)が不自然に多い場合も、疑わしい。Facebook、インスタグラム、Twitterでは、コメントは普通、エンゲージメント全体の2%前後。
  • 投稿内容と無関係なコメントが付いている場合、オーディエンスを買っていることが多い。
  • コメントの15%前後は普通、パーチェスファネルと一致する。

ブランドの対応

「一部のブランドは、オーディエンスの真贋問題に実のところ関心を持っていない。そうしたブランドは、何よりもまずオーディエンスの数を求めている。また、インスタグラム自体の広告サービスのせいで、フォロワーやエンゲージメントを金で買うことに対して鈍感になっている」とコレクティブリー(Collectively)のCEO、アレクサ・トナー氏は語った。

多くのブランドは、ボットの悪用が増えていることに気づいている。このため、
インフルエンサーマーケティングの標準化により、「いいね!」やエンゲージメントではなくコンバージョンや売り上げなどのより確実な測定基準を採用する動きがある。

米連邦取引委員会の見解

フラウドの問題が非常に注目を集めているため、米連邦取引委員会(FTC)は
最近、インフルエンサーとブランド各社に宛てて、エンドースメントやスポンサード広告の情報開示に関する書簡を送った。一方で、ボットによるフォロワー水増しや売買などについては、あまり言及していない。FTCがこれらの問題に優先的に取り組んでいないのは、消費者の不利益に焦点を置いているためだ。とはいえ、そうしたフラウドの多くでは、投稿がスポンサード広告であることを明示しないという不正行為が同時に行われている。

インフルエンサーエージェンシーの見解

「一部のインフルエンサーがフォロワーを買っていることはもはや公然の秘密だが、その割合はおそらくわずかではないか。ひとつのアカウントを見ただけでそうした行為を見抜くことはできないが、我々は、インフルエンサーのフォロワー数増加率や、フォロワー数に対するエンゲージメントの割合を注視し続けている」と、前出のトナー氏は語った。

「ブランド各社は、この問題の実際の規模さえも把握していないだろう。インフルエンサープラットフォームにとってビジネス上のリスクがあるせいで、問題に関する議論や報道が顧みられていない」と指摘したのは、スウェイの創業者、ニック・ウェイクン氏だ。「2012年、バナー広告のインプレッションが実はボットによるものであったことが広く知られるようになる前の状況を思い出す」。

Shareen Pathak(原文 / 訳:SI Japan)