「Amazon Pay」について知っておくべきこと:要点まとめ

Amazonは7月19日(米国時間)、「Amazon Pay Places」のローンチを発表した。これは、2007年から提供されている「Amazon Pay」を実店舗にも対応させたもので、参加する実店舗において、顧客がAmazonで支払えるサービスとなる。

これを受けて、実店舗で営業している小売店に追い打ちをかけるものになるのかと、憶測が広がっている。とんでもない可能性があるとする声もあるが、競争を恐れる小売業者からの抵抗にあうかもしれない。

Amazonは、実店舗における決済への進出で、かつては銀行が独占していた分野に乗り込むことになる。Amazonが擁する常連客は増大しており、銀行の縄張りにAmazonが進出することは、従来の金融サービス業者にとって脅威だと見る向きが多い。

Amazon Payは、客がまるでAmazon.comにいるかのように、ストアで商品の支払いをできるサービスだ。Amazon PayボタンをクリックしてAmazonアカウントにログインすればよく、クレジットカード情報を入力したり写真をスキャンしたりする手間がかからない。客はAmazonのサイトで支払いをした場合と同じ保護が受けられる。Amazonによると、Amazon Payはアパレルのゲス(Guess)、ナイン・ウエスト(Nine West)、コンピューターのレノボ(Lenovo)など多数のオンライン小売業者に採用されている。2017年7月現在、このサービスは、米国、英国、ドイツ、インド、フランス、イタリア、スペインなどの販売事業者が利用できる。この記事では、Amazon Payの押さえておくべきポイントを紹介する。

新しい点:

  • Amazonは、Amazon Pay Placesではじめて実店舗の決済に進出する。
  • 現時点で、客がAmazon Pay Placesの機能を使えるのは、レストランチェーンTGIフライデーズ(TGI Fridays)の一部店舗だ。支払いの際は、Amazonのモバイルアプリを開き、ドロップダウンメニューで「Programs & Features」を選択する必要がある。スターバックスやパネラ(Panera)のモバイルアプリにある機能と同様に、客は事前注文と事前支払いができる。

数字:

  • 2016年、170カ国で3300万を超える客がAmazon Payを使って買い物をした。
  • 2016年は決済額が2倍近くに増加。米国と英国でサイバーマンデーのセールが行われた11月28日が最大だった。
  • Pay with Amazonの顧客は半数以上がAmazonプライム会員。同会員は支出が多いことがわかっている(消費者情報リサーチパートナーズ[Consumer Intelligence Research partners]のレポートによると、年間支払額ではプライム会員が1300ドルで、非プライム会員が700ドル)。
  • 2015~2016年は、「Amazon Payments」が行政機関の支払い、旅行、デジタル商品、保険、エンターテインメント、非営利団体、チャリティなど新分野で対応を拡大し、アクティブな販売事業者が120%増加した。
  • 2016年、Pay with Amazonの平均購入額は80ドルで、1件の取引で結成された最大額は4万ドルだった。
  • フォレスター・リサーチ(Forrester Research)の2016年の小売業者に関する調査では、Amazon Payに関心はあるが今後1年半のあいだに展開する計画はないとした小売業者が58%で、38%はまったく関心がないと答えた。一方、この調査では、すでに「Apple Pay」を導入している、あるいは導入を計画しているという小売業者が76%だった。

チャンス:

アイテ・グループ(Aite Group)のシニアアナリスト、サド・ピーターソン氏の話:「Amazonが実店舗で成功できれば、PayPalより目立つ存在になる可能性がある。Amazonプライムは顧客が米国で8000万人を超えている。Amazonで購入する特権に年間100ドルを払っている8000万人の顧客の力を考えないといけない。製品と利便性を理解している、忠実な固定顧客の基盤がある。煩わしさがほとんどない決済手段であり、どこでも同じように使える購入ボタンだ」。

ペイジリティ・アドバイザーズ(PayGility Advisors)のパートナー、デイビッド・トルー氏の話:「狙っているのは、Amazonによって商売から締め出されるとは感じていない小さな販売業者だ。(レストラン向けの)事前注文システムを構築し、TGIフライデーズ向けにさらに簡単にしている。そうしたレストランにとって魅力的なのは理解できる。より大きなファストフードチェーンが採用しても私は驚かない」。

課題:

フォレスター・リサーチのシニアアナリスト、ブレンダン・ミラー氏の話:「もし私が独立系の販売業者だったら、顧客にAmazon Payを提供したくはないだろう。レジの段階で、いま買おうとしているこの商品はAmazonならばもっと安く購入できるかもしれないとお客に思わせることになってしまうからだ。また、画期的なものにするためには、体験をもっと向上させる必要がある。この種の取引がレストランや小売店でもっと行われるようにするには、小売店のPOSシステムとの統合が必要だ。レストランが使っているPOSシステムは何百種類にもおよぶ。運用上、これをどう乗り越えるかだ」。

ペイジリティ・アドバイザーズのパートナー、デイビッド・トルー氏の話:「大きめの販売業者は、コストがどれくらいかかるのかを考えるだろう。取引1件につき2.9%プラス30セントは、あまりいい価格設定ではないというのではないだろうか」。

アイテ・グループのシニアアナリスト、サド・ピーターソン氏の話:「チェース(Chase)やウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)などの銀行には、巨大なクレジットカードポートフォリオという圧倒的なアドバンテージがある。顧客の圧倒的多数はまだクレジットカードを使っており、そこに大きく浸透して事業を拡大するのがAmazonとPayPalの課題だ」。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:ガリレオ)