混乱極めるインフルエンサー施策、FTCはこう取り締まる:要点まとめ

有名人やソーシャルスターたちが自分の個人アカウントに、明確な開示のないままブランデッド・コンテンツを混ぜていることに気付いた米連邦取引委員会(以下、FTC)は、FTCのガイドライン「エンドースメントガイド(Endorsement Guides)」の違反に対する取り組みの厳格化を開始した。

FTCはソーシャルスターたちに対し、マーケターと宣伝契約をしていることを目立つように明確に開示することを求めている。「#ad」や「#Impartneringwith[ブランド名]」のようなハッシュタグを推奨する一方で、「#sp」「 [ブランド名]ありがとう」「#partner」といったタグは曖昧だとみなしている。

FTCは9月、2人のソーシャルメディアインフルエンサーと初の和解に至った。トレバー・マーティン氏とトーマス・カッセル氏の両氏は、ギャンブルサービス「CSGOロット(CSGO Lotto)」を動画とソーシャルメディア投稿で宣伝しながら、同社を共同所有していることの開示を怠っていた。FTCはほかに、フォロワー数が多いインスタグラムユーザー21人に対して警告書を送信しているが、これにはリンジー・ローハン氏やナオミ・キャンベル氏などの有名人も含まれている。

法律事務所デイビス&ギルバート(Davis & Gilbert)のパートナー、アリソン・フィッツパトリック氏は、「マーティン氏とカッセル氏に対する訴訟、著名インフルエンサーに対する最近の警告書、そして、(FTCウェブサイトの)よくある質問の更新は、FTCがマーケターだけでなく、FTCのエンドースメントガイドに違反しているインフルエンサーに対しても行動を起こすことをさらに証明している」と語った。「インフルエンサーたちによる紛らわしい宣伝は、FTCの最優先事項になっている」。

今回の記事では、広告エージェンシー、インフルエンサー、および弁護士に対して、FTC規制の明快さと強制力に関して、また、開示責任が誰にあるべきなのかについて質問した。

エージェンシーの見方

ボストンが拠点のアーノルド・ワールドワイド(Arnold Worldwide)でエンゲージメントプランニングのアソシエイトディレクターを務めるアレックス・カルバートソン氏は、ソーシャルスターにはFTCに沿うやり方を教育するべきだが、宣伝の開示を徹底する責任は、最終的にはエージェンシーとブランドにあると考える。たとえば、カルバートソン氏のチームでソーシャルスターと直接、仕事をする場合には、通常、社内の法務と商務のチームも参加する。

信憑性と法律の両方を満たすのは簡単なことではないと、カルバートソン氏は考える。たとえば、スポンサーがついていないコンテンツに見せている投稿の最後に「#sponsored」と追加すれば、その信憑性は損なわれる。これに対し、パートナーシップや宣伝を誇らしいものとしてインフルエンサーに記述させれば、コンテンツの説得力は保たれる。

「インフルエンサーは宣伝のイメージを好まず、オーディエンスはフィードに不要な広告を歓迎しない。ブランド、エージェンシー、そしてインフルエンサーは、パートナーシップを開示する独創的な方法を見つけなければならない」とカルバートソン氏は語った。

また、エージェンシーであるエピック・シグナル(Epic Signal)の創設者でEVPを務めるブレンダン・ガーハン氏は、FTCの規則はほとんどのブランド契約にとって明確だが、FTCがコピーのサンプルや、より具体的なガイドラインを作成するのは有益ではないだろうかと続けた。

「(FTCは)開示の意味についてより特定してきたが、(エージェンシーは)混乱の余地をさらに減らすために、具体例やコピーのサンプルを引き出すべきではないだろうか」とガーハン氏は語った。

インフルエンサーの見方

インスタグラムのインフルエンサー、サラ・ペレッツ氏は、ソーシャルスターがFTCの開示ガイドラインに従うようにするうえでいちばん大きな課題は、誰がインフルエンサーを教育しなければならないのかが明らかになっていない点だと考えている。ブランドがインフルエンサーを教育する場合、インフルエンサーマーケティングに不慣れな人もおり、そういう人たちは、自身が規則について分かっていないかもしれないという懸念がある。また、インフルエンサーが自分で規則を調査することを期待する場合は、多くはそうした規則の存在すら知らなかったり、ほかのインフルエンサーから、「たいしたことじゃない、トラブルになることはないよ」と言われたりしているという問題があると、ペレッツ氏はいう。

「こうした規則を掲げることの重要性に、世間の注目を集めなければならない」と、ペレッツ氏は述べる。「そうなれば、ともかく適切な方向への一歩となる。結局は、人々の教育が一番重要なのだ」。

弁護士の見方

法律事務所デイビス&ギルバート(Davis & Gilbert)のフィッツパトリック氏は、ブランドや人が素材のつながりを開示する方法について、FTCは柔軟な姿勢だと語った。ソーシャルスターたちには、簡単な開示方法としてはハッシュタグがあるし、ブランド契約をキャプションに記述してもよい。また、インフルエンサーとブランドがお金でつながっていることを、NBAのスターであるレブロン・ジェームズ氏や、ゴルフ選手のタイガー・ウッズ氏とナイキのパートナーシップのように誰もが知っている場合には、インフルエンサーがその会社に言及するたびに関係を開示する必要はない。

また、フィッツパトリック氏の説明によると、たとえば詐欺的製品のような実質的な損害があった場合には、FTCは広告主に対して、消費者に対する補償金の支払いや収益の譲渡を求めることが可能だが、その他の金銭的な損害を同意命令に含めることを求める権限を広く持っているわけではない。同氏によると、エンドースメントガイド違反に関するFTCの同意命令では、インフルエンサー全員を数年に渡ってモニターし、また、FTCの規則に従うことに同意する書面を各インフルエンサーから取り付けることをマーケターに求めることが多い。

「小さなブランドなら大丈夫だろうが、何百というインフルエンサーと組んでいる大きな広告主にとっては、これは辛いだろう」と、フィッツパトリック氏は述べる。「何より重要なのは、評判に傷がつき、ブランドにとって悪いPRになることだ」。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)