過去1年で、モバイル顧客を3倍にした「バーバリー」 〜奏功する積極的なデジタル戦略

ほとんどの高級ブランドにとって、アプリサービスをマーケティング戦略へ活用することは、まだ抵抗が多いことのようだ。しかし、バーバリーは意に介さない。ブランド認知のために、Snapchat(スナップチャット)でのストリーミングやAppleミュージックでのシェアリングプレイリストを積極的に活用している。

このイギリスの老舗ブランドは、ファッション業界におけるデジタルマーケティングの先駆者として、いままで以上に情熱を注ぎながら、デジタルチャンネル活用に取り組んでいる。幸運にも、最近の業績報告によると、この取り組みは奏功しているという。

全般的には、前年比で1桁成長と楽観視できる状況ではないものの(もっとも、これはエルメスなどほかの高級ブランドでも同様の流れではある)、自社のモバイルサイト機能を改善したバーバリーの努力は報われた。2014年末にモバイルサイトを再ローンチし、購入過程や支払いツールをリニューアル。その後、同社はモバイルからの顧客数が3倍になっていたことを、2015年11月12日に行われた業績発表で明らかにしたのだ。

積極的なデジタルマーケ戦略

モバイル上での購入体験をシームレスに行えるようにするため、バーバリーは実験的にモバイルとデジタルで戦略的な努力を続けた。結果として爆発的なリーチを獲得するに至ったという。たとえば2015年9月、ロンドンで開催された2016年のバーバリーの春/夏ファッションショーでは、Snapchatのストリーミングチャンネルですべてを公開。これが注目され、トータルで2億回も視聴されることになった。

Bags-2Snapchatでのバーバリーのコレクション

バーバリーのソーシャルメディアのフォロワー数は、年ごとに30%ずつの伸びをみせている。インスタグラムとTwitterを合わせて500万人、Facebookでは1700万人のフォロワー数だ。このほかに、バーバリーはファッションショーで使用した音楽を、Appleミュージックでも提供するなど、キュレーションチャンネルをもった最初のブランド企業としても知られる。

目指すのはシームレスな体験

Snapchat上でのファッションショー公開という実験は、ブランド認知とエンゲージメントを高めただけでなく、ソーシャルから直接プロダクツページに消費者を向かわせる導線作りも怠らなかった。2015年のファッションショーでは、プロモーション用のツイートに購入ボタンを実装。ユーザーが直接バーバリーの化粧品を買えるようにした。「中小ブランドの実験経過を見極めてから」と、大手ブランドの多くが避けてきたことに着手している。また日本では、LINEやLINEペイに進出し、ショーをストリーミング配信したり、化粧品プロダクトを購入できるようにしている。

同ブランドのWebとモバイルの売り上げは、1年間で倍増した。自社が作成した2014/2015戦略レポートのなかで、「実店舗とデジタルの融合」を最優先目標にすると宣言。Web・モバイル・実店舗でシームレスな体験の提供を目指すという。一方、中国では、モバイルストアやWebショッピングで購入した商品をバーバリーの店舗で受け取ることができるよう、在庫管理を一本化した戦略を策定。現在、同じ試みをアメリカ、イギリスでも計画している。

バーバリーは業界のリーダーだ

カナダのグラフィックデザイン企業ブルース・マウ・デザイン(Bruce Mau Design)のCEO、ハンター・トゥーラ氏は、同業他社が躊躇するなかでいち早くデジタル部門を作ったことが、同ブランドをファッション業界のデジタルマーケティング先駆者にしたという。

「バーバリーは業界のリーダーだ」とトゥーラ氏。「いまでは素晴らしいプラットフォームを築いているが、まだデジタルマーケティングが海のものとも山のものとも分からない当時、同社のような高級ブランドが参入していくことは、大変難しいものがあったはずだ。バーバリーは、いまある地位を築くのに多くの試行錯誤を重ねてこなければならなかったのだろう」。

デジタルだけでなく、全体的なブランドとしての外観統一にも腐心している。最近になって同社はバーバリーブリット(Burberry Brit)とバーバリーロンドン(Burberry London)とバーバリープローサム(Burberry Prorsum)の3つのディフュージョンブランドを一本化。バーバリー本体に吸収した。ディフュージョンブランドは、デジタルマーケティングが掲げる「シームレス」というゴールの妨げになるからである。

Hilary Milnes(原文 / 訳:南如水)
Image from Burberrys