ファッションショーは、もういらない? バーバリーがインスタグラム時代に行った決断

どんなことでも、即座に反応することが求められるデジタル時代に対応して、バーバリーは新しい方針を打ち出した。それに基づいて、自社商品のプレゼンテーション方法を大きく変えようとしている。

同社は、もはや半年先の春物や秋物のコレクションを開催しない。手はじめとして2016年9月に、通常は9月と2月に開催していた、2つのコレクションを同時に実施する予定だ。その後すぐに、店舗やオンラインで購入可能にするという。また、メンズとウィメンズもひとつのショーに統合する。

「ショーの開催は、多大なエネルギーを生み出す。ライブストリーミングやインスタグラムやオンラインでの展開を問わず、ショーを拡散させることは、人々の関心を大いに引く。しかし、ショーが終わるとブランドは、ドアを閉めてこう言い放つ。『じゃあ、ショーについては忘れよう。コレクションは5〜6カ月後まで店頭に並びませんよ』、と」。このように同社のチーフクリエイティブオフィサーのクリストファー・ベイリー氏は、「ビジネス・オブ・ファッション」の取材に答えている。

シーズンごとのファッションショーは、ここ数年ですっかり時代遅れになった。かつてプレスや小売のバイヤーにだけ、1度きりしか開催されなかったコレクションショーが、現在ではインスタグラムやTwitterやSnapchat(スナップチャット)などを介して、リアルタイムに拡散されている。ベイリー氏は「(実際に商品を販売する際には)ショーで5〜6カ月前に生まれたエネルギーを再び生み出さなくてはならなくなり、どうやってユーザーとコレクションを関連させようかという難題に行きつく」と答えていた。

クリエイティブディレクターの凋落

ファッション業界は、効果を体感している。過去1年、大手のファッションハウスでクリエイティブディレクターが地位を失っているからだ。イブ・サンローランのエディ・スリマン氏やセリーヌのフィービー・ファイロ氏は、この2月中に相次いで退任すると言われている。

バーバリーは、ファッションショーのあり方に改革を求めた、最初のブランドではない。しかし、それを実行した最初の大手ブランドとなった。

「ファッションショーのカレンダーは、長年プレッシャーにさらされていた。ファッションショーを開催するという理念そのものも疑問が投げかけられている」と証券会社Exane BNPパリバのグローバルラグジュアリーグッズ責任者のルカ・ソーカ氏は語る。「いまや、ファッションショーはメディアとコミュニケーションする手段となっている。バーバリーへの賞賛は、このことを完全に認識させたのだ」。

デジタルの時流、中小ブランドが先行

2015年9月、バーバリーがファッションショーを集約し、消費者と向き合うイベントを実施すると発表した数時間後、トム・フォードが文字通り後を追った。翌16年2月10日の「ニューヨークファッションウィーク(NYFW)」における秋物コレクション開催に当たり、すべてのアポイントメントを取り消すと発表したからだ。しかし、そんなトム・フォードとバーバリーも、小規模な若者向けブランドに先行されている。

ミレニアル世代向け衣料を手掛けるレベッカ・ミンコフは、NYFW期間中に春・夏物のコレクションを一気に披露。ヴェトモンも既存のメンズとウィメンズのショーを、女性向けファッションウィークの2カ月前の1度に集約し、先行開催させようとしている。また、ビヨンセやキム・カーダシアンにドレスを愛用されているデザイナー、ラクアン・スミス氏(27歳)は2月14日、NYFWにおいてプレゼンテーションをiPadで行った。

Look in the sky tell me what you see: OPPORTUNITY ? #skysthelimit 2016

LaQuan Smith- Designerさん(@laquan_smith)が投稿した写真 –

空を見て、何があるか私に教えて: OPPORTUNITY #skysthelimit 2016(ラクアン・スミスのインスタグラム)

「これは従来型のファッションウィークと組織にとって、死を意味する」と、ファッションやラグジュアリー製品業界のデータ分析を行っている企業ファッションビ(Fashionbi)のアンビカ・ズーシCEO。「ブランドは対応する以外の選択肢はない」。

アメリカファッション協議会(CFDA)は2015年12月、NYFWの運営方針見直しの作業中だと報じられた。しかし、公式発表はまだ行われていない。

高額なショーより即時性のデジタル

デザイナーブランドは、シーズンスケジュールに手こそつけていないが、デジタルとの接触には熱心だ。トミー・ヒルフィガー氏はインスタグラムのユーザー向けに特化したファッションショーの写真を投稿する計画だ。キャロライナ・ヘレラ氏からマイケル・コース氏やアレキサンダー・ワン氏までのデザイナーは、Webサイトでファッションショーのライブストリームを行いながら、Snapchatで舞台裏を紹介するビデオのシェアをはじめている。

「近寄りがたさが贅沢とイコールだった時代は過ぎ去ったのだ」と、ズーシ氏。「高額なショーに投資する代わりに、ブランド企業は、実際に興味を保持している消費者にますますリアルタイムでアクセスさせるため、社内マネジメントに投資することが可能になった」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:南如水)
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