炎上多発の時代、最悪の事態に備えるブランドたち:コーズマーケティングの見直し広まる

ダヴ(Dove)マクドナルドペプシが、授乳や抗議活動といった際どい問題に触れる広告をここ何カ月かに実施して、結局、いずれも裏目に出た。これを受け、大義を奉じてきた長い歴史があるマーケターたちでさえ、自分たちが本気だということを信じてもらえないほど人々は不信感を抱いているのではないかと心配している。

アブソルートの憂鬱

たとえばウォッカのアブソルート(Absolut)だ。アブソルートはこの30年間、LGBTコミュニティを変わらず支持してきた。しかし、さまざまな社会的背景の老若男女によるキスの振り付けが延々と続くBBH制作の最新広告を公開した際、アブソルートのマーケターたちは、この広告もペプシが直面したのと同じ憤りをもって迎えられるのではないかと心配した。

アブソルートのファンたちは、アブソルートが過去30年間にほかにもLGBTコミュニティに貢献していることを思い出し、広告の公開を受けてアブソルートを支持した。とはいえ、マーケターたちが自社ブランドと社会的価値を結びつける際には、いまや判断前にリスク評価が必要だ。アブソルートは、マーケティングで社会問題の比重を高めるには裏付けが必要なことを理解している。

「うちが使っているガラスの40%以上がリサイクルされたものであるということや、乳牛4万頭と子豚25万頭を(蒸留後のマッシュに残っている小麦で)飼育しているということは知られていない。しかし、もし明日、持続可能性について話すことになったら、我々には持続可能性を語る理由がある」と、アブソルートのグローバルブランドディレクター、ガイア・ギラディーニ氏は語った。

さまざまなリスク対処法

テレコム企業のO2は、マーケティングを詳細に検討することでこのリスクに対処している。O2は4月、エージェンシーのチームが同社のマーケティングに対する大衆の反発に備える目的もあり、O2プランニング・ハブ(O2 Planning Hub)を立ち上げた。ブランド、メディア、そしてCRMの専門家がこのハブに参加し、週に3日、ひとつのオフィスでともに働く。O2はまた、消費者のメリットを見極めるため、キャンペーンをより詳細に精査しているという。同社でブランドおよびマーケティングのコミュニケーション担当のディレクターを務めるイアン・カファーキー氏は、「『消費者のメリットは何だろうか?』とキャンペーンのプランニングの各段階で問い、それに従ってKPIを設定している。合理的で商業的なKPIとブランド愛を中心としたより高次なもののバランスをとるように努めている」と語った。

ブランドは失敗することがある。酒造メーカーのディアジオ(Diageo)は、2011~2014年に自社ブランドのベイリーズと「女性のエンパワーメント」を結びつけようとした。だが、人々がベイリーズによるエンパワーメントなど望んでいないことがまもなくわかり、いまでは、楽しむ飲み物としての販売に戻している。そのディアジオが最近、こうした失敗を避けるため、文化とエンターテインメントを指揮する職を格上げし、アンネ・ノスコ氏を採用した。同氏は会社全体のディレクターとして働き、メディア関係の責任者を務めている。

エージェンシーのマインドシェア(Mindshare)でストラテジーディレクターを務めるロージー・キットソン氏とクライアントディレクターを務めるロバート・マクフォール氏は、ブランドパーパス(ブランドの存在意義)に関するコンサルティングを担当しているが、消費者の反発を懸念するクライアントとの会合が増えてきている。問題となっているのは、ブランドが業務とは実際につながりのない大義をまだ奉じていると、消費者が批判的な態度をとることが次第に多くなっている点だ。

現場の惨状との食い違い

若手中心のクリエイティブネットワークであるリビティ(Livity)の共同創業者で最高パーパス責任者を務めるサム・コニフ氏によると、この食い違いはマーケティングメッセージ自体にも及んでいるという。「ブランドパーパスに関して、私は非常に声高な一部ブランドに物申したい。パーパスというものが新しい種類のマーケティングなのだと言いたげだが、そうした表面的な語りは、いまも小売の地上戦を戦っている組織の地上部隊への十分な援護になっておらず、地上部隊は価格とプロモーションでしのぐ状態が続いている」と、同氏は述べた。

Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)