絵文字マーケティング、米企業間でバブル崩壊が間近

ブランドが絵文字バブルのピークにたどり着いた。

ミレニアル世代を狙う巨大小売ブランドはすべて、マーケティングに絵文字(emoji)を取り入れる努力をしている。米大手ファーストフードチェーンのタコベル(Taco Bell)はタコスの絵文字を作成。バーガーキング(Burger King)もチキンテンダーズの復活を祝って、鶏をテーマにした絵文字キーボードを作成している。

米自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)が製造・販売する自動車ブランドのシボレー(Chevrolet)はプレスリリースを絵文字で書いた。コカ・コーラ、スター・ウォーズ、ダヴやトヨタ自動車などの企業もすべて、Twitter上でカスタム絵文字を提供している。2015年では、少なくとも250社がそれぞれ独自の絵文字キーボードを作成しているのだ。

マーケターに任せておくと、面白いものを疑わしいマーケティング戦略にされてしまう。「イケてる」感じとともに良いプレスリリースは作っているが、それ以上のものではない。ブランドは絵文字キーボードのリリース時は大々的に発表するが、日常的に使用する人の数は発表しない。それには理由がある。

「2015年は、何の付加価値もない質の低い絵文字で溢れかえると予想されていた。実際にそうなっていたと思う」と、米メディアエージェンシージャイアント・スプーン(Giant Spoon)の戦略部長であるジョン・オハラ氏はコメント。「多くのブランド企業が作成を急ぎすぎて、ブランドを全然象徴していない絵文字や、何の役にも立たない絵文字が作られた」。

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シボレーのフルモデルチェンジの「2016 Cruze」に関するプレスリリース

皆が絵文字に殺到した結果

つまらない文章やソーシャルメディアの投稿を絵文字は擬人化してくれるため、人々に愛されている。しかし、ホリデイ・インからイケアからローマ教皇に至るまで、あまりにも多くの企業が新しい絵文字を製作するために、ユーザーに対する強制が感じ始められる。

米大統領官邸であるホワイトハウスも、苦い経験を経てこれを学んでいる。ミレニアル世代に関する報告書に絵文字を使用したところ、ミレニアル世代への配信数が伸びず、絵文字を取り除くこととなったのだ。

「ブランド企業にとって、流行の最先端にいることは重要なことだが、止め時を知ることも同じくらい大事だ」と、米ジョージタウン大学マクドーナ経営学部にてマーケティングを教えるマレーネ・モリス・タウンズ教授は話した。

「誰もパーティーで最後に帰る人にはなりたくない。現時点で絵文字をいまだに使っているブランド企業は、政治家が過去にヒットした『Nae Naeダンス』を踊っているようなものだ。すでに過去のものだ」。

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上位500ブランドによるFacebookでの絵文字使用数

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上位500ブランドによるTwitterでの絵文字使用数

決して絵文字が成功しないというわけではない。当初は、ブランド企業の絵文字を面白がっていた顧客とブランド企業をつなぐ役割を果たしていた。

「自らの戦略に適していればの話だが、新たな流行で実験を行うことに何の問題もない」と、エージェンシーのヒュージ(Huge)でソーシャルメディア部門を担当するジョー・マキャフリー氏は話している。「しかし、儲かりそうなビジネスチャンスを追っかけているのと、機会をじっくり評価することは違う。しっかりとした調査を行い、価値や実利性があることを確実にすべきだ」。

ピザを注文できる絵文字

ブランド企業のなかには、実利性をうまく加えることに成功した企業もある。ドミノ・ピザだ。同社はピザひと切れを表した絵文字を作り、それをツイートするだけでひと切れのピザを注文できるようにした。コングロマリット企業ゼネラル・エレクトリック(GE)も、#EmojiScienceキャンペーンの一環として、絵文字と化学実験をリンクさせている。

ダヴも巻き髪の絵文字キーボードを作成し、それなりに成果を上げている。成功の理由として「自社ブランドの『Love Your Curls(あなたの巻き髪が大好き)』キャンペーンや企業ミッションに忠実であったから」と、ダヴのヘアケア商品のマーケティングを専門に行うユニリーバのロブ・カンデリノ氏は説明した。

しかし、絵文字であっても、データをしっかりと確立させ、正しい人々をターゲットにしなくてはならない。

「ブランド企業が行ってる活動はすべてデータによって支えられていなくてはならない」と、エージェンシーのワンダーマン(Wunderman)にて最高戦略責任者を務めるネルソン・フレイタス氏は話した。「盲目に流行に走ってはならない。まずは自らのデモグラフィックを理解することが重要だ。これを理解したうえで、それぞれの層に適した方法でターゲティングを行う。これは絵文字であろうと、何であろうと変わりはない」。

メッセアプリが次のトレンド

ネイティヴ広告プラットフォームを運営するスナップス(Snaps)の最高経営責任者であるクリスチャン・ブルックレリ氏によると、ブランドが絵文字キーボードやステッカーから離れ始めている傾向はすでにあるという。そして、メッセージングプラットフォームなどで複数のプラットフォームを利用する「メディアスタック」をはじめているとも話している。

メディア企業スウィフト・メディア(Swyft Media)の共同設立者であるエヴァン・レイ氏もこれに同意している。彼によると、ブランドはすでに別のマーケティング方法を試しているという。また、ブランドは絵文字のことをメッセージアプリに精通するための学びの第一歩だと話しているとも語ってくれた。

ブランドは、ブランドイメージの作成や、KikやWhatsappなどのメッセージングアプリでアプリ内動画を押し始めている。「配信規模の観点から見ると、当たり前のことだ」と、レイ氏は話した。絵文字のダウンロード数は1日あたり多くて5万件ほどだが、動画プラットフォームでのダウンロード数は数百万件にもなるから当然だ。最近では、ロレアルが写真編集アプリから絵文字を廃止し、新たにブランド名が書かれたフレームの提供を始めたところ、エンゲージメントが増えたという。

バーガーキングなどのブランドはこれから、絵文字をダウンロードさせようとするのではなく、Kikなどのプラットフォームからあなたに話しかけるだろう。

Tanya Dua(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image by 米DIGIDAY