なぜペプシコはウェアラブルテックを制作するのか?

11月初旬、ストリートウェアブランドのVファイルズ(VFiles)がウェアラブルテクノロジーとしても使える、迷彩ファッションコレクションのカモ・アウト(Camo Out)をローンチした。同コレクションは9月に開かれたニューヨーク・ファッションウィークで初披露。その後、カリフォルニアのロングビーチで開催された、毎年恒例のメディアブランドカルチャーフェスティバル「コンプレックス・コム(ComplexCom)」にて、さらに大規模な「カモコレクション体験会」として出展された。

しかし、これらの最先端と見られるコラボレーションの陰には、老舗ブランドのペプシコの存在がある。同社のブランド、マウンテンデューがカモコレクションやコンプレックス・コムの体験を生み出したのだ。

革新的&機敏であるために

本プロジェクト全般は、同社がカタリスト(触媒)グループと説明するクリエイターチームが手がけた。彼らは「カルチャーの先端を探索する」、つまりクリエイティブマーケティングを活性化させる、というミッションを背負っている。同グループはほかにも多くのことを手掛けてきた。8月には、北米のペプシコブランドにおけるマーケティンググループの従業員が、スタートアップのアイデアを審査員チームに売り込む、「ファストピッチ」を立ち上げている。また、4月のミラン・デザインウィーク向けにフレーバー噴霧器など、ダイニング体験を提供する「感覚中枢ブティック」を制作した。

マーケターは常に、より「革新的」かつ「機敏」であることを求められる。それらを容易に実行できるシリコンバレーの企業は、羨望のまなざしを向けられてきた。そんななかペプシコのクリエイターたちは、大手ブランドが独創的なコラボレーションアイデアに挑む、最新の事例といえるのだ。

ウェアラブルテックを兼ねる迷彩柄ファッションというアイデアは、ブランド自身がストリートウェアコミュニティと文化的関連性をもつ、マウンテンデューのために用意された。そのラインナップには、ブルートゥース内蔵のスピーカー付きパーカーや、ソーラーパネル搭載リュック、イヤホン付トレーニングウェア、写真や動画を撮影可能なキャップといったものがある。それぞれの価格帯は、1点当たり50ドルから400ドル(約5800円から4万7000円)だ。

道を間違えたこともある

2年前、同社のドリンク研究開発チームがマーケティングにイノベーションをもたらすために、このクリエイターたちを集めた。彼らが達成すべき目標について聞くと、責任者のカルロス・サアベドラ氏は、「我々は常に多くのターゲットを抱えている」と答えた。「しかし我々はリスクを負わなければならず、3年から5年後に何が消費者とつながる可能性のあるものかを理解する必要がある」。

たとえば数カ月前、サムスンギアなどのローンチ前に同チームは、バーチャルリアリティ関連の仕事を手掛けていた。社内の人間は彼らに対して「双頭状態」と見ていたが、いまではブランドの複数チームがVRコンテンツを制作しており、さらにドローンも採り入れている。大手ホテルチェーンのマリオットホテルは、ペプシコ製のカクテルをミックスするのにドローンを使用しているという。

7人体制の同チームがここまでたどり着くのに、何度か道を間違えたこともあったと、サアベドラ氏は述べる。そして、その話題に対して、1年ほど前に彼がホログラムに対して大きな野望を抱いていたことを例に挙げた。「あれは成り行き任せで奇抜なものだった」。

ペプシのクリエイターたちは、あくまでペプシをより革新的にするための新しい戦略だ。2010年、はじめて同ブランドは、スタートアップ・インキュベーター・プログラムを立ち上げた数社のうちのひとつとして名を連ねた。2012年にペプシは、初期段階のスタートアップから敏捷さとイノベーションを学びたいという希望から、デジタルマーケティング部門のスタッフを数多くコワーキングスペースのウィーワーク(WeWork)に異動させている。今年、マイクロソフトが同じ戦略を採用することを発表した。

Shareen Pathak (原文 / 訳:Conyac