ブロックチェーン活用、メディアが検討すべき4つの可能性

ビットコインの基盤をなすテクノロジーとして知られるブロックチェーン。だが、金融分野だけにとどまらないその可能性に、マーケターは期待を寄せている。

ブロックチェーンは、本質的には膨大な取引台帳であり、分散型ネットワークの形式で運営されるオープンな共有データベースだ。つまり、セキュリティを妥協せずに、膨大な情報の送信や追加を可能にする。ブロックチェーンを書き換えたり、破壊することは誰にもできない。

ブロックチェーンの有用性は、金融分野の為替取引や機密データへの利用で実証済みだ。また、マグロの漁から小売までの流れを追跡し、労働慣行などが倫理基準を満たしているかどうかを確かめるなど、物流のトラッキングにも使われている。だがそれだけではない。マーケティングへの応用も、確かな可能性を示しているのだ。

最初に留意しておくべき点として、専門家らによると、広告におけるブロックチェーンの活用は、少なくとも4年か5年先になるという。業界内の動きはあまりないが、注目すべき例外として、デンマークの広告ネットワーク「ビットティーザー(BitTeaser)」は、通常の通貨ではなくビットコインで広告売上を徴収している。

「私の見方では、ブロックチェーンは基本的に台帳だ。高度に分散化した台帳なのだ」と、アドターゲティング企業シミュールメディア(Simulmedia)のデイブ・モーガンCEOは語る。同社に出資するユニオンスクエアベンチャーズ(Union Square Ventures)は先日、ブロックチェーンへの大規模投資を発表した。「したがって、得意とする課題のタイプは、個々のレベルのもので、それなら簡単に解決可能だ。だが、全体を計算するのは困難だといえる」。

米PR企業エデルマン(Edelman)のシニアバイスプレジデント、フィル・ゴメス氏は、マーケターが出発点とすべき問いかけを行った。「あなたとステークホルダーが、単一で不変の真実の場で取引するとしたら、何ができると思う?」。つまり、目にしているデータが事実だとわかるなら、どんな可能性があるだろう?

その用途は多種多様だ。

今回は、経営幹部が考える、メディア企業によるブロックチェーン活用の可能性を、以下に4つ紹介しよう。

広告配信の検証

広告の信頼性は最低の状態だ。そこで、ブロックチェーンを使って、広告が配信されたかどうか、広告が適切な場所に表示されたかどうかを検知できる可能性があると、専門家らは期待する。たとえば、広告配信を監査する際の問題点は、デロイト(Deloitte)などと提携して一極集中的に実施すると、多大なコストがかかりがちなことだと、モーガン氏は指摘する。

これに対し、分散型の監査は比較的安価で、しかも実用的だ。ブランドは広告サーバーのなかから広告配信データを取得し、ブロックチェーンのなかのマイニングマシンにかけることで、マシンがデータを分析し、不正を洗い出せるかもしれない。これにより、単純な「痕跡」、たとえば広告配信としてカウントされている非リアルタイムの閲覧から、ブランドは本当に広告配信が行われたかどうかを判断できる。

「この方法は劇的な変化をもたらす」と、モーガン氏は期待する。不正をリアルタイムで特定し、ブロックできるなら、さらに興味深いものになる。

企業の社会的責任

ゴメス氏によると、PRの世界では、企業の社会的責任(CSR)は往々にして、コミュニケーションという限られた文脈で議論されているという。つまり、企業が何かをすると宣言すれば、皆それを信用するしかないのだ。

しかし、ブロックチェーンはCSRと説明責任を結びつける。ブロックチェーンはすでに、たとえば偽造製品対策の用途で利用されている。ブランドはこれをさらに一歩進め、CSR情報をマーケティングに利用できる。ゴメス氏はまた、ブロックチェーンの楽観的な活用例として、持続可能な慣行のようなCSRイニシアティブに関連し、ブランドが結ぶ契約を「デジタル誓約」として作成することを挙げた。

マーケティング

10月の上海ファッションウィークで、ファッションブランド「ベイビーゴースト(BABYGHOST)」は、ブロックチェーンプラットフォーム「ビーチェーン(VeChain)」と提携し、ハンドバッグが本物であることを顧客が確かめられるようにした。この方法は正規品であることの証明に有効であるだけではない。ベイビーゴーストの場合、タグをスマートフォンで読み取ることで、顧客は製品の「ストーリー」として、生産地や着用モデルなども閲覧できる。

「想像してほしい。それぞれの衣類が、たくさんあるうちのひとつから、唯一無二のものになる。我々がソーシャルメディアを介してファンとのコミュニケーションを楽しむのと似たやり方で、我々の製品もファンに語りかけるのだ」と、ベイビーゴーストの創業者、黄悄然(フアン・チャオラン)氏はファッションとテクノロジーに関するニュースサイト「ファシュナード(FashNerd)に語った。「ビーチェーンとベイビーゴーストは、デジタル体験を顧客に届け、顧客が自分のもっている製品と個人的なつながりを築けるようにした」。

ここから得られる教訓は、ブロックチェーンを使うことで、マーケティングに見えない、はるかに「本物らしい」やり方で、商品を宣伝できるということだ。

消費者データの管理

モーガン氏によると、プライバシーの懸念が増大するこの時代、ブロックチェーンはマーケターに好都合な手段をもたらすという。つまり、大量のデータを匿名化し(したがって、ネットワークレベルでデータを扱えるが、個人には紐づけられない)、それでいてブランド構築に活用できるのだ。

多くのブランドはいま、顧客との直接のつながりを求め、データに関して仲介業者を排除したいと考えている。ブロックチェーンは、取引データを高度に分散した形で維持管理する手段になり、セキュアかつ巨大な存在になるはずだ。「ブロックチェーンはつまり、公共性が向かう未来を予見しているのだ」。

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)
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