Amazonに打ち勝つなら、ハイエンド写真で差をつけろ:画像差別化に賭けるリテールたち

LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH Moët Hennessy ‐ Louis Vuitton)が先ごろマルチブランドのeコマース事業、24セーブル(24 Sèvres)を立ち上げた際、ある側面が目を引いた。eコマースでは普通見られない素晴らしい画像表現が使われていたのだ。

24セーブルのトップページに使われた画像

24セーブルのトップページに使われた画像

24セーブルがクライアントだという卸売りのオンラインマーケットプレイス、ジョアー(Joor)の最高経営責任者(CEO)クリスティン・サビリ氏によると、この新サイトがほかと異なり画像に注力しているのは、その所在地と関係があるという。「ヨーロッパでは、Amazonは恐れられていない。『より高級な買い物をしたくなる美しいショッピング体験を作っていく。AmazonがAを得意としているのならば、我々はBで優位に立つだけだ』と(24セーブルは)言っている」と同氏は語った。

その「B」が欠けていることでたくさんのファッション客がAmazonにうんざりしていることを考えると、24セーブルの戦略は時宜を得たもののようだ。

画像理解が勝利の近道

サビリ氏によると、ウィリアムズバーグに4万平方フィート(約3700平方メートル)の写真スタジオを建設するなど、Amazonはファッション写真の向上に向けて明確な取り組みをしているにもかかわらず、同社のアパレルとアクセサリーの品ぞろえは相変わらず「コモディティのようなもの」と捉えられており、それがこの分野におけるAmazonの成功を妨げている。

「いまは、最高の写真が求められている」とサビリ氏。「画像が大きな目玉になると理解したものが勝利を収めるだろう」。

24セーブルの画像がほかと一線を画している特徴のひとつは「動き」だ。開設時、トップページの中心に置かれた画像は、瞬きしているモデルとスカーフを風にそよがせるモデルのシネマグラフ(要するに豪華なGIF)だった。

「eコマースで消費者が抵抗を感じる大きな要因のひとつは、商品をうまく思い描けないことだ」と語ったのは、デジタルコマースのエージェンシーであるコラ(Corra)でシニアビジュアルデザイナーを務めるチェルシー・ポーリオット氏だ。「消費者に確信をもたせるために、(小売業者は)さまざまな角度からいろんな方法で商品を見せるようになってきている」。

エイソス(ASOS)の商品ページ動画より

エイソス(ASOS)の商品ページ動画より

物流に撮影を組み込み

画像は、ブランドの品質水準と美学を反映するだけでなく、ブランドの価値に結びついていなければならない。実店舗なら、衣料品はマネキンに着せたもののほうが、棚に置かれたものよりも早く、高い値段で売れる。だから、顧客サービスであることを誇りにする小売業者なら、フラットレイ画像(被写体を平面に並べて、上から俯瞰で撮影した画像)は避けるべきだと、デジタルエージェンシーのサピエントレイザーフィッシュ(SapientRazorfish)でコマース担当SVPを務めるジェイソン・ゴールドバーグ氏は語った。

「かつては、とにかく写真があればよく、それで売れた」と語ったのは、ビクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)やヘルムー・ラング(Helmut Lang)がクライアントだというビジュアルコンテンツ制作会社スプラッシュライト(Splashlight)のCEO、ジェイムズ・イングラム氏だ。「いまでは、適切な写真が必要なのは本当で、また、的を射たストーリーを語らなければならない」。

スプラッシュライトは、撮影者をブランドの流通センターに送り込むことで商品の画像をサイトに掲載するまでのスピードをアップさせることを学んだ。「流通センターで商品の準備ができ次第、撮影してサイトに載せる。このようにブランドの物流システムにデジタルな形で組み込まれることにより、当社はこうしたプランニングを事前にたくさん行える。コンテンツシステムを大きくするにはこの方法しかない」とイングラム氏は説明する。

ルックレットのインフォマーシャル動画より

ルックレットのインフォマーシャル動画より

デジタルツールを活用

オフィスやナイトクラブといった環境にマッチさせるため、さまざまな照明でスタイルを見られるオプションを取り入れるサイトが出てくるだろうと、ゴールドバーグ氏は考えている。同氏は、サンフランシスコにあるレベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)とリフォーメーション(Reformation)の店舗が提供しているサービスに言及し、これは照明をカスタマイズできる試着室の「eコマース版」だと説明した。

さらに、画像のカスタマイズが一般的なものであることが証明されたという。イングラム氏はすでにルックレット(Looklet)で、ローカライズしたマーケットプレイスで興味を引くような画像の複数バージョン化を進めている。

「ひとつの画像で国全体に売っている小売業者が多い」とイングラム氏は言う。「たとえばセーターの画像を、ボストンで着るものや、パームスプリングズで履くホワイトジーンスや、マイアミで身に着けるショーツなどにあわせて複数バージョン化できるなら、そのセーターが売れる確率は上がるだろう」。

進化するモデル施策

さらなる効果が証明されそうなのは、買い物客のサイズとスタイルに合わせたモデルの採用だ。レント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)がやっている、「リアルなモデル――客が任意で、レンタルしたファッションを身につけた自分の画像と、身長および体重を提供する――は、ヒットする可能性が高いと、ゴールドバーグ氏とサビリ氏は口をそろえた。

レント・ザ・ランウェイの顧客が撮影した写真(renttherunway.comに掲載)

レント・ザ・ランウェイの顧客が撮影した写真(renttherunway.comに掲載)

「背が高ければ、背が高いモデルを撮影したものを見たいだろう。背が低ければ、背の低いモデルを撮ったものが見たい」とゴールドバーグ氏。「自分と比較ができるように、モデルの寸法は正確なものが知りたい」。

しかし、もっと進むとそのような比較は必要なくなるかもしれない。アパレル通販のザッポス(Zappos)は2016年、インテルとコラボして、買い物客が自分の身体の3Dスキャンを使ってデニムを「試着」できるポップアップショップを開設した。3D画像を撮影できる立体画像カメラがもっと普及すれば、eコマースサイトで買い物をしている本人がモデルになるのが普通のことになるかもしれないと、ゴールドバーグ氏は語った。

「適切な画像と新しいツールを備え、人と時に合わせて画像をパーソナライズできる小売業者が、コンバージョン率を伸ばすだろう」とサビリ氏は言う。「写真を真剣に受け止めない人は、ウェブサイトを運営してはいけない」。

Jill Manoff (原文 / 訳:ガリレオ)
Image via 24 Svres