韓国の広告クリエイティブに垣間見る 3つのトレンド

本稿は、世界各国のさまざまな地域の広告事情のニュアンスを、当地の状況に精通した人の目を通して伝える「グローバル・クリエイティブ・シリーズ」である。

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韓国はハイテクガジェットやK-POPで知られているが、昨今の広告ビジネスの急成長ぶりには目を見張るものがある。韓国語で「急げ、急げ」という意味の「バリバリ(bali bali)」と呼ばれる労働文化が、植民地状態から解放されてまだ日の浅い、この国の成長を活気づけている。

「日本による植民地化からの復興には100年以上かかると予想されていたが、実際にはそれを40年で成し遂げた。その経験によって、韓国の人々は協働すれば立ち直れることを知ったが、成功するには『バリバリ』働かなければならない」。こう語るのは、韓国のエージェンシー、FCBソウル(FCB Soul) のエグゼクティブ・クリエイティブディレクター、ティージェー・リー氏だ。

「バリバリ」は、韓国文化のクリエイティブな側面にも大きな影響を与えている。リー氏は今回、韓国のクリエイティブにおいてもっとも重要な3つの特徴を挙げてくれた。

1. 小規模の実用的なソリューションに高い需要

「バリバリ」文化に影響を受けた韓国の多くの人々が商品を選ぶ際、最優先するのは実用性であり、形は二の次だ。そのため、商品を支える技術や、それをどのように有効活用できるか、という点にフォーカスした広告が成功する傾向がある。

「我々は功利主義的な考え方をもっているので、スマートかつ実用的なソリューションを求めている。DOTという初の点字式スマートウォッチも、その例のひとつだ」と、リー氏は述べる。

2. ASMRコンテンツの人気

韓国は、年間労働時間ランキングで3位に入っている。「韓国人は、ものごとをできるだけ早く終わらせて次のプロジェクトに進みたがり、ブランドへのエンゲージメントにはあまり手間をかけない傾向がある」。

リー氏によると、この慌ただしい「バリバリ」なライフスタイルが要因のひとつとなり、韓国ではASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)を与える音声を使った広告がトレンドとなっている。ASMRとは、人が安堵感や快楽を感じるような特定の種類の柔らかい音のことで、優しくささやく声や、紙を丸める音なども含まれる。

「韓国の広告では大量の映像効果、派手なダンスやジングルが使われることが多いが、最近は静けさを好む人が増えている。これはうるさいプレロール広告を見なくても良いからだ。人々はASMRコンテンツのおかげで日常の『バリバリ』の重圧から逃れることができる」と、リー氏は説明する。

たとえば、リッツ・コリア(Ritz Korea)は、女性のささやく声や、リッツのクラッカーを触る、噛み砕くといった音にフォーカスした広告を打ち出している。

3. 言葉遊びを楽しむ韓国の人々

有名な言葉遊びのひとつに、特定の文字(またはすべての母音)が取り除かれた言葉やフレーズが何かを当てる、というものがある。ゲームをより面白くしようと、わざと気の利いた言葉を出しあうのが通例だと、リー氏は語る。なかにはこのコンセプトを採用しているクリエイティブもいて、言葉遊びをすることでコンテンツをより関連性の高いものにしている。

たとえば、デパートのフランチャイズチェーン、SSGの広告では、ブランド名の3文字をハングル文字の「ㅅㅅㄱ」に置き換えた。この広告に登場する俳優と女優は、この3つの小片を組み合わせて、まったく労力をかけずに何かを成し遂げるという意味をもつ「쓱」という言葉を紡ぎ出している。

「これはSSGでの買い物が楽であることを示す、ウィットに富むユーモアということです」とリー氏は話した。

Yuyu Chen (原文 / 訳:Conyac