ターゲティング広告の新天地、目指すべきは「画像データ」

デジタルメディアは、テキストベースからビジュアル主導へ移行しつつある。つまり広告は、フォームだけでなくターゲティングにおいても、この流れについていく必要があるのだ。

キーワードベースであれ、セマンティックであれ、インターネット上のテキストはターゲティングが比較的容易だ。だが、ビジュアルウェブに関しては、ターゲティングを手軽に行うためのこうしたデータが往々にして不足している。しかし、ここにきて多くのブランドが、オーディエンスのセグメント化およびターゲティングを目的として画像を使いはじめている。

コカ・コーラ(Coca-Cola)やナイキ(Nike)、ジャガー(Jaguar)、海洋テーマーパークのシーワールド(SeaWorld)、植物性の代替乳製品メーカーであるリップルフーズ(Ripple Foods)などは、ここ最近、写真や画像を拠り所にターゲティングを展開しているブランドのごく一部だ。

リップルフーズの参考事例

たとえばリップルフーズは2016年8月、ローンチに向けて準備を行っていた際、画像認識技術を活用してオーディエンスの特定とターゲティングを行った。同社は、人工知能(AI)を使った広告サービスを提供するガムガム(GumGum)と提携して、パブリッシャー数社のウェブサイトで、健康やオーガニック生活、フィットネス、非乳製品などに関連した画像をトラッキングし、そうした画像の下に、エンドウ豆を原料とする同社の乳製品の広告を掲載した。

乳製品に関連したPinterest(ピンタレスト)のピン上に配信されたリップルフーズの広告

乳製品に関連したPinterest(ピンタレスト)のピン上に配信されたリップルフーズの広告

リップルフーズでデジタルマーケティングマネージャーを務めるケイトリン・マドックス=スミス氏は、「人々は1日中、ソーシャルフィードのビジュアルコンテンツをスクロールして消費することに慣れているので、ブランドがそこに居合わせることは理にかなっている」と語る。「すでに彼らがエンゲージしているコンテンツ内にマーケティングを統合し、それをよりシームレスな体験にすることは有意義だ」。

多士済々なベンダーたち

マーケターにとって画像は長いあいだ、事実上、ブラックボックスに過ぎない存在だった。だが、現在、ガムガムやクループ(Cluep)、スタックラ(Stackla)、ネットラ(Netra)をはじめとする、さまざまなアドテク企業、あるいはPinterest(ピンタレスト)などのプラットフォームが、写真から得られる洞察を活用することで、マーケティングに関する意思決定を推進し、顧客とエンゲージしたいと考えているブランドに力を貸している。

「カメラがキーボードに取って代わりつつあるいま、画像は明らかに、圧倒的なソーシャルデータになっている」と、ネットラの最高経営責任者(CEO)、リチャード・リー氏は語る。「そしてブランドは、オンラインで入手できる大量の画像から、データや洞察を引き出すことができる」。

こうした企業はどこも、学習によって写真内のブランドや製品、ロゴ、シナリオはもちろん、顔の特徴や年齢、性別、民族性などの情報を検出できる独自ツールや専有技術、画像認識エンジンをもっている。こうした情報を活用することで、消費者とのエンゲージを望むブランドを支援できるというわけだ。

満足気のマーケター

たとえばクループは、人々がFacebookやインスタグラムで公開している写真をくまなく探し、抽出された情報を活用して、ソーシャルネットワーク外のモバイルアプリとモバイルサイトで彼らを広告のターゲットにする。同社の協力により、コカ・コーラによる紅茶とコーヒーの新ブランド「ゴールドピーク(Gold Peak)」は先ごろ、アイスティーのグラスやジョッキが写った画像、喜びや興奮などの感情を示している画像、そしてスナップル(Snapple)やオネスト・ティー(Honest Tea)、リプトン(Lipton)などライバル企業の缶やボトルが含まれている画像を投稿した人々を特定することができた。その後、これらの人々には、インスタグラムやFacebook、Twitterの利用後に、40のモバイルサイトとアプリで、ゴールドピークの広告が配信された。

同様にガムガムも、同社独自のコンピュータービジョン技術を駆使して、人々はプレミアムなデジタルメディアでどのようなコンテンツを消費しているのか、彼らは何についてソーシャルメディアに投稿しているのかを特定している。そして、これによりブランドは、プレミアムパブリッシャーのネットワークでオーディエンスをターゲティングできるようになる。たとえば同社のイン・イメージ広告フォーマットは、画像認識技術を使って、先述のリップルフーズが行ったように、ユーザーの注目が集まる、関連するエディトリアル画像のうえにオーバーレイ表示でターゲット広告を配信する。

マーケターたちは現在、早期の取り組みは成功したと主張している。コカ・コーラはクリックスルー率が2%を超えたが、この数字はゴールドピークのクリエイティブに対する通常のベンチマークの3~4倍に相当する。一方、リップルフーズのイン・イメージ広告も約6%というエンゲージメントを達成。この数字は、業界のベンチマークである約3%の2倍に相当する。

ベンダー側も意気揚々

「広告主にとってはまさに大当たりだ」と、ネットラのCEO、リー氏は語る。「このように詳細なデータにアクセスできるということは、洞察の観点からも、ターゲティングの観点からも、極めて有益だ」。

スタックラの共同創業者で最高製品責任者(CPO)のピート・キャシディ氏は、競争は今後、激しくなる一方だろうと述べる。脳は視覚情報を、テキストと比べて6万倍速く処理する。そのため、人々の注意を引くための時間がたった数秒しかマーケターに与えられていない環境では、瞬時の画像認識は強力なツールになりうる。人の心をひきつける画像は、具体的な背景や消費者の好き嫌いと組み合わさることで、とりわけ強力なマーケティング兵器と化すのだ。

いずれプラットフォームもこの競争に加わることを期待していいと、マーケターたちは述べている。Facebookはすでに画像認識エンジンを整えてはいるが、この技術を活用して、消費者が投稿した写真に基づいてブランドがターゲティングを行える状態にはまだなっていない。

プラットフォームも名乗り

一方、Pinterestは前進を遂げている。同プラットフォームは、ビジュアルディスカバリー技術をプロモコンテンツと広告に適用しつつある。この技術は、ユーザーが閲覧・共有する画像内の特徴を特定。その後、この情報を使って、関連性のあるブランドの商品や広告を表示させるというものだ。

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Pinterestのプレジデント、ティム・ケンドール氏は、「視覚信号の活用は、広告の関連性を向上させ、企業に対してはPinterest広告の有効性を高め、ユーザーに対しても有益であることがすでに明らかになりつつある」と語る。「広告の未来は、キーワードではなく画像だ」。

Tanya Dua (原文 / 訳:ガリレオ)