ブランドマーケターが、この1年で直面する「3つの課題」

現在、広告のエコシステム全体が、大きなプレッシャーにさらされている。その要因をもたらしているのは、メディアオーナーやテック企業、エージェンシー、そしてブランドだ。

ファーウェイ(華為技術)のグローバル・デジタルマーケティング担当責任者ニック・グラハム氏が、2016年に解決されるべき3つのプレッシャーについて概説している。なお、IT専門調査会社IDCの最新データによると、ファーウェイは、サムスンとAppleに次ぐ第3位のスマートフォンメーカーだ。

1. エージェンシーに、新米社員によるアカウントプランニングをさせてはならない

エージェンシーは、営業に多大な時間と費用を投入するので、契約が取れたあと、クライアントは「その運営にも最高の人材が投入されるはずだ」と期待するのは、不思議ではない。だが実際には、契約が完了すると、経験の浅いチームがアカウントプランを引き継ぐことが多いのである。

もちろんこれは、かねてより実施されていることだ。だが、グラハム氏は、ここ数年、その傾向が以前より目立つようになってきたという。なぜなら、デジタルマーケティング活動が大部分を占めるようになり、さらにテクニカルになっているからだ。

「クライアントがデジタル面でエージェンシーとやりとりするにあたり、6人の新卒社員に任せるのは不十分すぎる」と、グラハム氏は語る。「実際に運営する者たちがあまり優秀ではないとバレてしまう。メディアバイイングが、広告掲載の契約を結ぶことと、レポートを提出することを意味していた昔の世界ならそのことを隠せたが、新しい世界では、メディアバイイングとは、価値を確実にもたらす運営効率を意味する。こうした者たち(新卒社員)ではそれができない」。

2. 「適切なタイミング」にこだわるのを止めて、ブランディングとデジタルを結びつけなくてはならない

「適切なタイミングと適切な場、適切なメッセージ」では不十分だ。グラハム氏によれば、広告はアートとサイエンスの融合だが、アドテクの台頭はそのバランスを脅かしてきたという。同氏は、「マーケティングから生み出される面白さや意外性の効率化はリスクがある」と考えている。

さらにグラハム氏は、デジタル業界はブランディングの力を理解するのが不得手であるため、誰もがデジタルのダイレクトレスポンス的な側面にのめり込んでいると考えている。つまり、まずテレビで話題を得てから、デジタル活動に範囲を広げて、レスポンスを得ようとするようなものだ。

「これには、クライアントとエージェンシーの両方に責任がある。すべてを整然としたモデルにして、『Xに投資してYを得た』とばかり考えてしまっている。しかし、それだと見るべきものを見ていない。実際はもっと複雑なはずだ」。

3. ブランドは、「囲い込み」時代をうまく乗り切る方法を見つけなくてはならない

2015年は、ウォールド・ガーデン(囲い込み)が大いに話題に上った。GoogleやFacebook、Appleの3社がいずれも、貴重なクライアントデータの囲い込みへと動いてきたからだ。

グラハム氏は、囲い込みが好きではない。囲い込みにより、広告主がメディア選択を行うときの自由が制約され、そのせいで、広告主がすべてのメディア環境にまたがる統一されたキャンペーンを行いにくくなると考えているのだ。

「クライアントにとっては、CRM構築に向けたあらゆる新しい取り組みが、さらに困難になるだろう」と、グラハム氏は述べる。「たとえば、『LinkedIn』のようなサービスから求めるデータを得て、それを『Facebook』と結びつけるといったことができなくなる。そうしたサービスを提供しようとしている企業もあるが、それも難しいだろう。これらのプラットフォームは、自社のプラットフォーム内にとどまってこそ、真の価値が生まれると確信しているからだ。これは大きな構造的課題だ」。

Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)
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