その会議室名、由来は何? 英エージェンシーに聞いてみた

エージェンシーのオフィスには、その会社の文化や創造性がよく表れている。

壁に描かれた絵、トイレに置かれた読み物、ミーティングルームに至るまで、各社の個性が見て取れる。今回は、イギリスのエージェンシーにおける、ミーティングルームの命名の由来を紹介する。

以下、各社ごとに並べてみた。

Agency:エッセンス
Names:ウーロン、ダージリン、レディグレイ、ラプサンスーチョン

エッセンス(Essence)の世界各国の支社では、ミーティングルームにその土地の流行の食べ物や飲み物の名前を付けている。シアトルの拠点では地元のカフェの店名にちなんで「ウンブリア(Umbria)」「ゾッカ(Zoka)」、シンガポールでは飲み物にちなんで「タイガービール」「シンガポール・スリング」、サンフランシスコはクラフトビールから取って「プリニー・ジ・エルダー(Pliny the Elder)」「デノギナイザー (Denogginizer)」といった具合だ。イギリスは紅茶の国なので、ロンドンのオフィスは紅茶をネーミングのテーマに選んだという。「各社のスタッフが勤務時間外にどんなふうに社員同士で過ごしているかがうかがえる、良いネーミングだと思う」と、同社の事業開発マネージャー を務めるマイケル・バトラー氏は語った。

 

Agency:マニング・ゴットリーブOMD
Names:チェス、ブルーラベル、ロコモティブ、タイタニック、アップル、ゴースト

マニング・ゴットリーブOMD(Manning Gottlieb OMD)ではスタッフを、メディア業界に革命をもたらした発明家にちなんで4つの「部族」に分けている――チューリング、マルコーニ、リュミエール、キャクストンだ。さらにミーティングルームも、4人の偉人にちなんだ名前で呼んでいる。たとえば、リュミエール兄弟による世界初の動画は、走る「ロコモティブ(機関車)」をとらえたものだった。またアラン・チューリングは「チェス」を使い、コンピューターで何ができるかを説明した。

 

Agency:ウィー・アー・ソーシャル
Names:ウィンター・カンファレンス、ミーム・ルーム、レディ・アンド・マン・チャット、ランニング、サイクリング

ウィー・アー・ソーシャル(We Are Social)はクライアント1号であるSkype(スカイプ)を、主な社内コミュニケーションチャネルとして利用している。そしてミーティングルームもSkypeに敬意を表し、人気チャット(サイクリング・マニアやランニング・ファンのチャット、おすすめレストランを紹介するチャットなど)にちなんで名付けている。そのほかにも、インターネットミームとなったグランピーキャットや拳を握る赤ちゃんの額入り写真が飾られた「ミーム・ルーム」や、毎年恒例のスキー旅行、もとい冬の定例会議にちなんだ「ウィンター・カンファレンス・ルーム」がある。

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Agency:グループM
Names:キング・ジョージ、クイーン・ビクトリア、ケンジントン・パレス

グループM(GroupM)は新しいオフィスに移転した際、ミーティングルームの名前候補についてアンケートを行った。もっとも多かった回答が、女王と王の名前だったそうだ。ある階のミーティングルームには王の名を、別の階には女王の名を、さらに別の階には宮殿の名を付けている。

 

Agency:FCBインフェルノ
Names:ブーディカ、シバ、ラティファ、リベラーチェ、プリシラ、オスカー

FCBインフェルノ(FCB Inferno)のミーティングルームは、実在の女王(ビクトリア、クレオパトラ)、および愛称や比喩としてクイーンと呼ばれる人(リベラーチェ、プリシラ)にちなんで名付けられている。共同創設者のティム・ドースト氏によれば、これらのネーミングは「前向きなミーティングにするうえで、ひと役買っている」そうだ。

 

Agency:メディアコム
Names:ローザ(・パークス)、フローレンス(・ナイチンゲール)、アルベルト(・アインシュタイン)、パブロ(・ピカソ)、レオナルド(・ダビンチ)

メディアコム(Mediacom)はダビンチのように歴史に名を遺した著名人や偉人にちなんだネーミングを行ってきた。同社のアートディレクターを務めるサム・ラーモンス氏は次のように述べている。「ダビンチの芸術と発明はすべて、『シンプルさは究極の洗練だ』という彼の言葉に則っている。どの作品も、シンプルであることを原則とし、しかも画期的だ。メディアコムでも同様に、最高の仕事はシンプルな真実と最先端のテクノロジー、創造的なイノベーションの組み合わせで成り立つと考えている」。

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Agency:電通イージス
Names:デイム・ステファニー・スティービー・シャーリー、ソフィー・ウィルソン、グレース・ホッパー准将

電通イージス(Dentsu Aegis)のミーティングルームの名前は、印刷機を発明したヨハネス・グーテンベルクやWorld Wide Webを発明したティム・バーナーズ=リーなど、メディア界のパイオニアからとっている。以前は全室が男性にちなんでいたが、現在はメディアおよびIT業界の女性先駆者も由来として選ばれるようになった。無線の一種を発明したヘディ・ラマー、コンピューター・プログラミングの草分けとされるエイダ・ラブレスなどだ。

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Agency:M&Cサーチ・モバイル
Names:アーチャー、オックスフォード、レキシントン

M&Cサーチ・モバイル(M&C Saatchi Mobile)では、ロンドン・ソーホー地区の通りの名前をミーティングルームに付けることで親近感を生んでいる。「ソーホーはメディアおよび広告企業にとって究極的なロケーションであり、だからこそ優秀な人材が集まる」と指摘するのは、同社のEMEA担当マネージング・ディレクターを務めるリビー・ロビンソン氏だ。こうしたネーミングで、「いかにも業界っぽい」感じをスタッフに与えるのも狙いだという。

 

Agency:ルーファス・レナード
Names:ツェッペリン・バンカー、ジ・アーモリー、ザ・ライフル・レンジ

ルーファス・レナード(Rufus Leonard)のミーティングルームは、かつては軍の施設だった本社屋「ザ・ドリル・ホール」にちなんで名付けられている。「ザ・シューティング・ギャラリー」などは会議室の名前としては長すぎる感もあるが、事業開発責任者を務めるシャーロット・アンダーソン氏によれば、クライアントとの会話のきっかけにも使えるそう。「軍事史にも深く関わっている建物なので、その歴史に敬意を示す意味もある」。(アンダーソン氏)

 

Agency:リヴィティ
Names:ブライトン、ブリクストン、ケープタウン、リオ

リヴィティ(Livity)では、会社の主要なロケーションにちなんでネーミングされている。同社は2001年、ティーンの妊娠やギャングの犯罪、失業など、若年層の大きな問題を解決するために設立された。たとえば設立地であるロンドン南部ブリクストンは当時、若年層によるプラスの成果を測る各種の指標で、最下位に並んだエリアだ。共同創設者らはそんなブライトンで事業を興そうと思いつき、さらにアフリカで最初のオフィスをケープタウンに開設した。

Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)
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