【一問一答】「RTB 3.0」とは?:入札を高速化し、透明性を高める新しいプロトコル

アドテクは、次なる真新しいものへと絶えず移っています。RTB(リアルタイム入札)3.0もそのひとつです。

プログラマティックバイイングは複雑化が進み、依然として不透明なことから、インタラクティブ広告協議会(以下IAB)のテックラボ(Tech Lab)の作業グループで、デジタルアドの入り組んだサプライチェーンを透明化する新しい手続きの設計が進められています。

デジタルマーケティングの未来に示唆を与える用語をわかりやすく説明する「一問一答」シリーズ。今回は、そのIABテックラボにおける作業グループのメンバー3人の話をもとに、「RTB 3.0」の仕組みを解説します。

――RTB 3.0とは何ですか?

広告の自動的な売買を変えるかもしれない新しいプロトコルです。アドエクスチェンジが採用してくれればですが。RTB 3.0の構造は重複したコードを減らし、高速な入札を可能にするでしょう。また、関与したインプレッションに認証済みの署名を提供することが、サプライチェーンの全員に求められるため、広告の買い手は、購入するインベントリの出どころをより見通せるようになるでしょう。

――RTBのほかのガイドラインと何が違うのですか?

2012年に登場したRTB 2.0では、モバイルのプログラマティックバイイングを中心にガイドラインが定められました。しかし、DSPプロバイダーのセントロ(Centro)でRTBプラットフォーム運営のディレクターを務めるイアン・トライダー氏によると、当時は、パブリッシャーがアドサーバーを呼び出す前にインベントリー(在庫)を同時に複数のアドエクスチェンジに提供できるヘッダー入札の興隆も、サプライチェーンの複雑化も予測されていなかったとのこと。RTB 3.0では、これらのトレンドが生んだ問題に対処しようとしているのです。

――どうやってそれを実現するのですか?

ヘッダー入札によって入札リクエストが爆発的に増加し、そうしたリクエストを処理しなければならないプログラマティックプラットフォームの大きな負担になっています。現在のRTBプロトコルは、オープンエクスチェンジか、オーバーザトップ(OTT)動画か、プログラマティックギャランティードのインベントリーかによって仕様が異なります。そのため、パブリッシャーがオープンマーケットとプログラマティックギャランティードの取引を同じアドエクスチェンジで推し進めようとする場合、アドエクスチェンジはそのパブリッシャーに対して複数の仕様を指定する必要があります。

しかし、仕様のなかで使われる変数は、パブリッシャーのIDやコンテンツのカテゴリーのように、多くが重複しています。RTB 3.0では、アドエクスチェンジのコードのなかでこうした変数を繰り返すことがないように、仕様を作り直すことになっています。

DSPプロバイダーのデータシュー(DataXu)の最高技術責任者(CTO)ビル・シモンズ氏は、「これによってトラフィックを処理する計算の負荷が減り、入札の高速化と、処理に必要なサーバーの削減につながるはずだ」と説明します。

――わかりました。サプライチェーンの複雑化について、RTB 3.0はどう対処するのですか?

サプライチェーンの各構成メンバーは、関わった広告インプレッションの一つひとつに署名することが求められます。ネイティブアド企業のシェアスルー(Sharethrough)のプロダクト担当バイスプレジデント、カート・ラーソン氏によると、技術的な詳細はまだ検討中ですが、大事なのは、パブリッシャーとベンダーがインプレッションに暗号化されたIDをスタンプすることで、本当の供給源が買い手にわかるようにすることだといいます。これにより、ドメインのスプーフィングのようないかがわしい行為が減ると期待されています。

――それはads.txtでやるのではないのですか?

ある程度はそうです。ads.txtは、テキストファイルのアップロードと更新をすればいいだけなので、実装がはるかに簡単です。RTB 3.0は、アドエクスチェンジの基盤であるコードを作り直し、暗号化しされた署名を提供するように求めるものであり、むしろオーバーホールにあたります。この2つが並行して機能し、不透明なサプライチェーンを透明化するのが理想です。

――RTB 3.0のスケジュールはどのようになっていますか?

IABテックラボの作業グループ内で技術的な詳細がまだ議論中なので、公式には何も発表されていません。ラーソン氏は、1~2カ月のうちにパブリックコメントの募集が始まり、来年1月ごろにベータ版が登場するのではないかと推測しています。

――素晴らしいですね。マイナス面はありますか?

このプロトコルを実装したい会社は、プラットフォームの作り直しにエンジニアと開発者を専念させることが必要になるでしょう。ads.txtと同様に、RTB 3.0の成功もネットワーク効果にかかっています。

「素晴らしい恩恵があるかもしれない。ただ、これは人々が受け入れなければならない変化だ。業界の機運は高まっている」と、ラーソン氏は述べました。

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Ross Benes (原文 / 訳:ガリレオ)
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