音声認識プラットフォームの普及と検索広告のジレンマ:今週のデジタルマーケティングサマリー

先週のサマリーはAmazon Alexaが音声認識プラットフォームの新領域を独り占めしそうな状況に関するものだった。

今週も引き続いて音声認識。

Googleの親会社アルファベット(Alphabet)の2016年通期決算のアーニングコールが26日(現地時間)あり、投資会社RBC Capitalのアナリスト、マーク・マヘイニー氏が、Google CEOのサンダー・ピチャイ氏に、Googleの広告事業が依存するスクリーンのない「音声操作(ボイスイネーブル)」の人気が拡大した場合、リスクになるのではないかという趣旨の質問をした。

ピチャイ氏は「音声検索は本当に素晴らしいと我々は考えている。ユーザーが行動する自然な方法だ」と語るなどし、直接的な回答を避けたようだった。

Googleは「Ok Google」の「音声検索」で、音声認識基点のビジネスで競争力をもっているとみなされていたが、ボイスイネーブルをAlexaが急速に支配しはじめているということが1月はじめの世界最大のエレクトロニクス展示会「CES 2017」で印象づけられた。

アルファベットの第4四半期決算は好調で、なかでもモバイル検索は有力な牽引役だ。米国におけるAndroidフォンのGoogle検索の20%が音声でされているほどで、音声検索も好調だとみられる。

ユーザーは音声検索の後、モバイルのスクリーンで検索結果と検索広告を眺めるが、これがGoogleの主要な収益源のひとつである。

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Photo via Integrated Change

しかし、仮に消費者行動が「すべてを音声で済ませる」ように向かえば、検索後にスクリーン上で広告を見るプロセスは省略される。ボイスイネーブルとスマートホームや各種プロダクト / アプリケーションの連携はそちらに向かっているが、この流れはGoogleの主要な収益源の不安要因になりかねない。

ボイスイネーブルの普及とモバイル検索広告は、Googleにとってある程度のトレードオフだ。その点、バリューチェーンを握っているAmazonはボイスイネーブルにベットしやすい。

■FB:長い動画がフィードに増える?

同社は26日(現地時間)のブログで動画がどれだけの時間視聴されたかを重視するとし、長めの動画の方が比較的ニュースフィード上で恩恵を受ける可能性があると説明している。

これは先日報道のあったミッドロール動画広告の在庫数を増やすことにつながると推測できる。

詳しくは以下の通り。

*Facebookは視聴時間、音量を上げたか(Facebook動画は無声デフォルト)、フルスクリーンで開いたかなどを確認する

*Facebookはユーザーがどれくらいの量の動画を視聴しているかや、視聴完了の程度によりユーザーがどのビデオを好んでいるか理解する

*基本的にディストリビューション上で大きな変化はおきないが、長尺の動画はFacebook上の流通がわずかに増加する可能性があり、ニュースフィード上で発見されやすくなるかもしれない。短尺動画のディストリビューションはわずかに減るかもしれない

*ただ長いだけで人々を楽しませない動画は恩恵をうけない

以下、ほかの今週のトピック。

■講談社とデジタルガレージ、女性向け「コンピレーションメディア」を2017年前半に公開

両社は運営会社として2016年8月8日に合弁会社「株式会社 DK Media」を設立。プレスリリースによると、昨年より準備に当たってきた。講談社コンテンツや参画パブリッシャーにより、「権利処理」されたコンテンツを展開する。各雑誌が制作したコンテンツをAI(人工知能)でパーソナライズするという。

■日経、AI記者の「決算サマリー」を開始

上場企業の数は約3600社で、開示情報サイトでの決算公表後、ほんの数分で売上高や利益などのデータと、その背景などをサマライズして配信

コンピュータライティングで先行していたスポーツ結果と同様、大半の官庁発表、まとめ記事なども自動化できるはずだ。

■ピュブリシスの新CEOにサドーン氏

広告ホールディングス世界3位のピュブリシスは、現CEOモーリス・レヴィ氏(74)が6月に退任、後任にピュブリシス・フランスのアーサー・サドーン氏(45)が就くと発表

■デロイトトーマツ「日系企業ブロックチェーン活用している」

有限責任監査法人トーマツのブロックチェーンチームの主張はこの通り。「ブロックチェーンやスマートコントラクトが普及しトランザクションの処理に第三者が介入しなくなっても、現実の世界の情報をブロックチェーンへ入力するプロセスは残る。そのため、内部統制やその監査というプロセスはブロックチェーン普及後も重要な役割を果たす」。

■LINE通期決算、広告好調

LINEの2016年12月期の通期決算は、売上高が前期比16.9%増の1407億円、営業利益は同10.1倍の198億円と大幅な増収増益。広告事業の売上高は547億円(50.2%増)と大幅増。プロプライエタリ(専売的)な広告プラットフォームが好調。

広告の伸びが突出している状態で、流通コンテンツを増やし、広告収益を拡大する路線が続くと見られる。

■消費者物価、4年ぶりマイナス

全国の先行指標とされる17年1月の東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比0.3%下落した(時事通信)

再び慢性的なデフレに陥り、アベノミクス後に持ち直したとも言われる個人消費が低迷すると、広告費、デジタル関連予算に影響が出そうだ。

Written by 吉田拓史