「無駄にエロい」広告表現は 正直しんどい:失業中コピーライター(54歳)の告白

このコラムの著者、マーク・ダフィ(54)は、広告業界辛口ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人。米大手Webメディア「BuzzFeed」で広告批評コラムを担当していたが、2013年に解雇を通達された、業界通コピーライター。

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「エロは売れる」なんて言われてたのは昔の話。もう通用しないことは証明されてる。にも関わらずコーヒーから銀行、空気清涼剤まで、つまらないブランドたちが広告へ無意味にお色気要素を注ぎ込み続けている。驚くようなことではないが、ハッキリいってそんなのもう通用しないし、そもそも意味不明だ。

ブティック歌唱スクール(メキシコ)

メキシコの広告エージェンシー・リクアドラBTL(Licuadora BTL)は先週、地元の歌唱スクールの広告としてこんなキャンペーンを公開した。眉を寄せて身をよじらせる女性が写った写真に「音楽が快感な人々へ」というコピーがついている。ちょうど知り合いに音楽理論の修士号をもっている素晴らしい歌手がいるので聞いてみたら、彼女曰く、オーガズム中にうまく歌うなんて不可能らしい。

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このキャンペーンは4人の女性が使われているけれど男性はゼロ。まぁ、男性が「快感を感じている」姿は、広告には馬鹿馬鹿しすぎるからな。

パッセージ・フィットネス・ファースト(ベルギー)

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と、思ったら、この男性の表情はかなりそれに近いかもしれない。快感というよりヘルニアに近いかもしれんが。

この広告のコピーは「セックスライフを改善しよう。運動しよう」。まぁ、これはそこまで意味不明ではないかもしれない。でも、気持ち悪いのは確かだ。ひとつ確かなのは、この男の使ったダンベルは握りたくないってことだな。エージェンシーはブリュッセルのモーティアーブリゲード(Mortierbrigade)。

コメルチニ銀行(チェコ共和国)

ソシエテジェネラルグループのメンバーであるコメルチニ銀行のこの広告によると、「銀行取引はオーガズムのようなもの」らしい。コピーは「最初の銀行取引をお楽しみ下さい」。「引き落とし」とか「振り込み」とかさ、下らないエロ親父ジョークじゃないんだから。

カフェ・エル・フエルテ(パナマ)

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「最高の目覚まし方法」ってことだけど…いや、誰もこんな風にコーヒーを味わう人はいないだろう。エージェンシーはパナマ・シティのザガDDB(Zaga DDB)。

エディトラ・レコード(ブラジル)

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「アナタ、これじゃあ読めないじゃない」。

エディトラ・レコードはブラジルの出版社だ。コピーは「読書は想像力をワクワクさせる」ってことだが、いやーこの写真はまったく意味不明だろ。この状況、本読めないよな。これでどうやって読書が想像力をワクワクさせるっていうんだ? エージェンシーはジアコメッティ(ブラジル、サンパウロ)。このキャンペーンの第二弾はこちら

ポイズ 「サム」 マイクロライナーズ(アメリカ)

生理用品に「サム」なんて男性の名前をつけて、「サムは女性の扱い方を知ってるの。すごい小さいんだけど、何時間も続けられるの。サム、実はいま、私のパンツのなかに入ってるの」と、女性のキャラクターに言わせている。

サムはずっと持続したかもしれないが、この広告はしなかった。ポイズはYouTubeのページからこれを削除している。

レヌジット・フレッシュ・アクセンツ(アメリカ)

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「このゴージャスな男性…の横に置いてあるゴージャスな空気清涼剤をご覧下さい」

このキャンペーン(コマーシャルはこれ)は、ここ5年、特に流行っている無意味で馬鹿げた「イケメン広告」の一例に過ぎない。そのなかでもこいつは最悪の部類だ。セックスとプロダクトの関連性が少ないどころじゃない。まったく存在しない。エージェンシーはフィラデルフィアのレッド・テッテマー(Red Tettemer)。

レイコンサ・ハイライターズ(ペルー) ※職場閲覧注意

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こちらは、ウォーリーならぬ、「おっぱいを探せ」状態だ。

最後に2010年のコピーランターの「オフィス用品を売るために、まったく無意味におっぱいを使ったで賞」の受賞作品を紹介したい。これは蛍光ペンの広告だ。蛍光ペンだぜ。これはもう突き抜けて馬鹿げている。けれど、南アメリカの性差別的な広告業界においては、まったくもって日常だったりするのだ。エージェンシーはドラフトFCB リマ(DraftFCB Lima)だ。

ブランドたちよ、自分たちはセクシーじゃないって気付きなさい。それは、ビールブランドも同じだ。

【 マーク・ダフィ氏の連載<記事一覧>はこちら

Mark Duffy(原文 / 訳:塚本 紺)