変わるエージェンシー、いま求められるスキルセットとは?:幹部が明かす「人材登用」ポイント

近年、マーケティングと、その周辺のテクノロジーは、急速な進歩を遂げた。

それにともない、エージェンシー内で成功する人が求められるスキルや特性は、ほんの5年前と比べてもずいぶん変わったといえるだろう。我々は、アカウント、デザイン、戦略、クリエイティブを担うエージェンシー幹部に、現在のリクルーティングの際、昔とは異なるどんな素質を求めるのかを質問した。

その結果、もっとも推奨されたのは、ソーシャルメディアにおける強いプレゼンスと、ハッカー的メンタリティだ。

SNSでのプレゼンス:オリビア・コール氏

グリーンライト(Greenlight)のCOO(最高執行責任者)

我々がグリーンライト社員全員に望むのは、クリエイティブであることだ。その判断基準のひとつはソーシャルメディアへの投稿だ。新しい人を迎え入れる際も、その人のインスタグラムかFacebookの写真から1枚選び、キャンバスに印刷する。つまり、わが社にある写真は社員の実像ではなく、社員が作り上げたものなのだ。

独自の視点:パム・ハムリン氏

アーノルド・ワールドワイド(Arnold Worldwide)グローバルCEO

熱中しているものを追求し、シェアしている者は、その対象が何であれ、クライアントに独自の視点を提供し、エージェンシーに個性を加えることができるだろう。履歴書のなかであまり活用されていない項目の筆頭が「関心」だ。私はこの項目を通じて、候補者がどんな人物で、広告業界の外の世界では何をするのが好きなのか知りたいと思っている。わが社には、ミュージシャン、マラソンランナー、バイリンガルの海外旅行好き、コメディアン、美食家、写真家、読書家、ヨガインストラクターとして余暇を過ごす人たちがいる。

多彩な自己表現:アリソン・ブレスリン氏

マーケティングアーム(The Marketing Arm)人事責任者

昔ながらの紙の履歴書を使わない人は高評価だ。なにしろ、当社もエージェンシーとして業務の内容を単なる文字だけで説明するのをやめ、すべて動画にしようとしているのだから。クリエイティブな方法で自己PRする人を探している。候補者が履歴書の追加情報として、About.meのページ、プレジ(Prezi)のレジュメ、Vimeoのチャンネル、branded.meのページを教えてくれるとワクワクする。

多分野に渡る経験:ジョン・ジャクソン氏

ワーク&コー(Work&Co.)のデザインパートナー

私が求めているのは、多分野にまたがる経歴をもっている人だ。すぐれたデジタルプロダクトを生み出すには、ユーザー体験、グラフィックデザイン、コードの理解が必要だ。これらすべてをひとりが兼ね備えていれば、プロトタイプの試作、制作、改良をスピードアップできる。こういった人材は構想段階でも大いに役立つ。多様な経験を総動員することで、独創的な解答が得られるからだ。変わった経歴の持ち主は歓迎だ。道はひとつではない。わたしは常に学歴より経験を重視する。

古今の素養の組み合わせ:キャット・リンカーン氏

クレバーガールズ(Clever Girls)のCEO

我々が求めているのは、「昔風」と「今風」の素質の組み合わせだ。働きながら学校に通った人や、ふたつの仕事を掛け持ちした人、特にサービス業をしていた人は歓迎する。そういう人は、自分の時間と優先順位をきちんと管理する方法を身に着けているし、広告業界と同じようなお客様第一の業界を経験しているからだ。彼らは生身の人間に話しかけ、相手の話を聞き、Eメールやインスタントメッセージ以上のコミュニケーション方法を知っている。「今風の」部分でいうと、アクティブで入念に整えられたソーシャルメディアアカウントをもっている人がいい。ソーシャルメディアを使いこなすことは極めて重要なので、我々は四半期ごとに実施する個人面談のうち、2時間をSnapchat(スナップチャット)の研修に当てている。

ストーリテリング能力:ジーネット・パーマー氏

ネイル(Nail)のクライアントサービス部門の責任者

候補者との面接では、ストーリーをどれだけうまく語れるかを見る。私が好んでする質問に、「あなたの好きなCMか本か映画について説明してください」というものがある。説明を求めているのに、形容詞を使わずに話す候補者が多いのには驚かされるよ。この質問のもうひとつの意図は、候補者がコミュニケーションに情熱をもっているか、周囲の世界と関わり合っているかを確かめることだ。音楽の知識が豊富だとか、お気に入りの映画監督がいるとかいうことが分かると嬉しい。また、どのブランドの仕事が最高か、あるいは最悪か、なぜそう思うのかも質問したい。彼らが自分の意見をどれだけ明確に説明できるかを見るためだ。

人の話を聞く姿勢:ショーン・カミンズ氏

カミンズ&パートナーズ(Cummins&Partners)のCEO

私がもっとも価値を置くスキルは、昨今ではなかなか見かけないスキルでもあるが、人の話を注意深く聞く能力だ。人々はもう話を聞く作法を忘れてしまった。1対1のミーティング中でさえ、スマホなどのデバイスに釘付けになっている人ばかりだ。私がいいたいのは、話をよく聞いてクライアントの希望を理解していなければ、確実に失敗するということだ。どんなにSnapchatを使いこなせても意味がない。

ハッカー的メンタリティー:ブラッドリー・ベアー氏

ブルーキャデット(Bluecadet)の戦略ディレクター

我々は「ハッカー的メンタリティー」をもった人を求めている。我々が面接で聞く質問のひとつは、「最近、独学で身につけたことは?」というものだ。この質問で確かめたいのは、その候補者が恵まれない状況でもスキルを伸ばし信念を貫ける人物かどうかだ。答えそのものは、新しい料理でも、タイヤの直し方でも、新しいプログラミング言語でも、何でもいい。LinkedIn、Twitter、Github(ギットハブ)でのプレゼンスも昨今は重要だ。これらを通じて、仕事外で専門家集団とのつながりを育て、何かを運用し、迅速なフィードバックを得ることができるからだ。

SNSを駆使できる能力:アレクサ・トナー氏

コレクティブリー(Collectively Inc.)の共同創業者エグゼクティブバイスプレジデント

我々はソーシャルメディアのインフルエンサーに特化したエージェンシーだ。チームには、ソーシャルメディアを日常生活の一部として、インスタグラムのアカウントかYouTubeのチャンネルをもっていることを求めている。インフルエンサーである必要はない(とはいえチームに何人かはいる)が、そのプラットフォームを熟知している人物が望ましい。履歴書に書かれていない場合は、SNSについて質問する。わが社の若いスタッフは、以前はみんなインスタグラムがお気に入りだといっていたが、いまはSnapchatだ。

型にはまらないスキルセット:シャノン・ムーアマン氏

GSD&Mで人材採用担当のバイスプレジデント

私が求めるのは、文章、映像制作、そのほかのクリエイティブな分野で受賞歴のある人物だ。必ずしも由緒正しい賞(カンヌライオンズやクリオ賞など)でなくてもよく、文学賞、奨学金、トップブロガーに贈られる賞、ハフィントンポストなど全国的メディアでの文章掲載なども含む。研究や分析に関して、型にはまらないスキルセットと自制された力強さが履歴書から読み取れる人物を歓迎する。

Tanya Dua (原文 / 訳:ガリレオ)