API公開は金融機関の生き残り策:シリコンバレーバンク

「金融イノベーションビジネスカンファレンスFIBC2017」が3日、丸ビルホール&コンファレンススクエアで開催された。米テクノロジー産業を中心に金融サービスを提供するシリコンバレーバンク(SIlicon Valley bank)のダニエル・ケイマリング氏が登壇した。

1982年に創業したシリコンバレーバンクはナスダック上場のハイテク新興金融機関。土地柄、テック企業向けの融資やベンチャーキャピタル(VC)を手がけており、リーマンショック以降、伝統的でない経営方法により、米国で存在感を強めた。

ケイマリング氏は銀行業界が変化を強いられていると強調した。「市場の競争が激しくなり、金融機関の提供する商品が差別化要因をもてず、マージンの圧縮は毎日続いている。コンピューティングのコストは極めて安くなり、人々のポケットに収まるようになった」。

ケイマリング氏は「クラウドコンピューティングとスマートフォンが金融機関を直撃している。スマートフォンが消費者のニーズをドラスティックに変えている。大手金融機関が提供する多種多様なサービスの一つひとつを、スタートアップがプロダクトを開発している。銀行機能はアンバンドルされる可能性に瀕している」と語った。

「我々はすべてがネット接続された世界に生きており、LINEやWeChatでテキストを送ったり、お金を送金したりできる。レガシーインフラに依存する金融機関が、この類の競争に勝つためにはどうすればいいだろうか?」。

勘定系をAPIで外に開く

80年代創業の金融機関であるシリコンバレーバンクが取り組んだのは、基幹システム(勘定系システム)にAPI接続を導入することを含む、ビジネスモデルの変化だという。

「昨年、私のチームはたった6人で口座数を倍に増やした。古いインフラをAPIで外部に開かれた形に変えることで実現した。金融市場のリーダーたちも同様の挑戦をしている」。

「(機関投資家か超富裕層のみを顧客としてきた)米金融大手ゴールドマン・サックス・グループは昨年、消費者向け融資事業を立ち上げた。彼らは消費者向けのネットワークを構築する必要なかった。デザインカンパニーを買収し、クラウドプロバイダーとの協業をはじめ、Ethereumのワーキンググループに参加した(後に離脱)。自分自身をプラットフォームに変身させる試みをしたという」。

ケイマリング氏は「恐竜に何が起きたかは皆が知っていることだ。金融機関は競争することができるし、機能を水平線上の向こうに築くこと(APIエコノミーに参加すること)ができる」と締めくくった。

Written by 吉田拓史
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