営業で本当にあった怖い話、エージェンシー幹部が披露:盗聴嫌疑からデータの上書きまで

クライアントへの営業だけでも大変なのに、そんなときに限ってトラブルに巻き込まれることがある。

トップエージェンシーの幹部たちに営業で本当にあった、怖い話を聞いた。なお、登場人物の大半は、幸運にも営業を成功させ、記事に登場するアカウントの獲得に成功している。

以下、5名の経験談に身も心も震えて欲しい。

お貸しした会議室

マーティンエージェンシー CEO、マット・ウィリアムズ氏

何もかもうまくいっていたんだ。会議の終わりに、クライアントから自分たちだけで話がしたいから小さな会議室を使わせてほしいと頼まれた。それ自体はよくあることだし、「もちろんどうぞ」と会議室に案内させたよ。消費者調査に使うこともある部屋だったから、天井にはカメラの入ったガラスケースが埋め込まれていた。クライアントをその部屋に残して僕らはカンファレンスルームに戻った。

だいたい30分くらいすると、彼らがカンファレンスルームに戻ってきた。みんな笑顔で満足げだったよ。「なにか質問はあるかい?」って僕らに聞くから、当時プレジデントだったマイク・ヒューズがかなり鋭い質問をしたんだ。そしたら一瞬で彼らの顔が曇った。たった15分前までまるで親友のようだった彼らが、ひどくショックを受けた様子だった。クライアントのひとりがマイクを見て、「信じられない。盗聴したのか。天井にカメラがあるのは気づいていたけど、まさかプライベートな会話を盗聴するとは思わなかった」って言ったんだよ。

もちろん盗聴なんかするわけがない。マイクも当然びっくりしてそんなことは絶対にしないって言った。ものすごく怒ったクライアントが建物から飛び出していってから分かったんだ。マイクの質問が、偶然にもクライアントが会議室でしていた仕事上の問題の話とまったく同じ内容で、まったく同じ言い方だったんだって。そのときは訳がわからなかったけどね。クライアントの仕事について詳しすぎるとこんな悲しい結果に終わることもあるんだよ。

おもてなしの会合

マッキニー(McKinney) エージェンシーコミュニケーションパートナー兼ディレクター ジャネット・ノーデン氏

営業でCMO(最高マーケティング責任者)と彼女のチームに会う予定の数分前に、いきなり建物の下水管が破裂したの。来客スペースはあたり一面下水まみれ。機材や白いテーブルクロス、昼食(どういう営業だったかわかるでしょう)を運んで非常用階段を上がって、お客様をもてなせそうな代わりの部屋を探した。クンクンにおいをかいで靴やズボンの折り返しにまずいものが付いてないかチェックしながらね。仕事は取れたわ。クライアントいわく、寿司が新鮮でおいしかったそうよ。

動画のプレゼン

メカニカ(Mechanica) CEO兼戦略ディレクター、テッド・ネルソン氏

前に勤めていたエージェンシーでアウトドアブランドのLLビーン(L. L. Bean)に営業をかけていたときのことだ。営業ではブランドの動画を見せることになっていた。ところがリハーサルのときに間違えてその動画をジェリー・スプリンガーの番組で全部上書きしてしまっていたんだよ。いざ本番で再生ボタンを押したら、いきなり部屋全体に低俗なお昼のテレビ番組が流れ出した。まるまる1分は流れていたと思う。なにが起きているのか訳がわからなかったからね。そしてコマーシャルディレクターが飛び出してきて、もとの動画をできるだけ再現しようとしたんだ。結構うまくやったと思う。結果、仕事をとるのに成功したよ。

来ないクライアント

ビーリール(B-Reel) CEO、アンダース・ウォールクィスト氏

ストックホルムにいた頃、5人のクライアントチームが私の会社へ最終プレゼンのために来ることになっていた。しかも5人のうちひとりはクライアントのオーナーで、私たちはすごく楽しみにしていた。ところが時間になってもクライアントは来ないし、特に連絡もないしで、みんな心配になってきた。

そんなとき遠くからかすかに声が聞こえてきたんだ。それに続いてけたたましい警報。クライアントチーム全員が、なんと私の会社のエレベーターに2時間以上も閉じ込められていたんだよ! しかも、会社のエレベーターは4人制限で1平方メートルもないんだ。閉所恐怖症的なパニックから逃れるために5人で歌を歌ったり思い出話をしたりしていたらしい。なんとかエレベーターから出られて、クライアントたちは喜んでいたけど憔悴していたよ。そのあとどうにか会議を行って、仕事を取りつけるのも成功した。

オーナーの離席

エンジングループ(Engine Group) グローバルCMO、ゾーイ・チャーチ氏

世界的なコングロマリットの経営幹部10人を相手に非常に大事な営業をしたときのことだ。終わると会社のオーナーが何も言わずに立ち上がって退出したんだ。5分ほどしてから、オーナーが16歳の娘をつれて戻ってきた。娘はオーナーの席に座ると、「パパが、あなたたちが私に見せたいものがあるって言ってるけど」って言うんだよ。

娘さん相手に45分のプレゼンをもう一回全部やったんだが、これがまたはきはきとした娘さんで、ほかの誰よりも痛烈だけど知的で洞察に富んだ質問をしてくるんだ。このとき学んだよ。営業っていうのは経営幹部に向けてするんじゃない、消費者に向けてするんだ、ってね。仕事はとれたよ。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)
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