ランサムウェア攻撃で麻痺するエージェンシーネットワーク:オフラインで何をしているか?

連日ニュースを騒がせている大規模サイバー攻撃。英広告大手WPPのネットワークも被害にあい、多くのオフィスがそのせいで機能を停滞させた。

世界中のWPPオフィスのすべてが内部Wi-Fiへのアクセスができず、eメールも停止してしまった(報道によると攻撃はランサム攻撃[身代金を要求するサイバー攻撃]で、被害にあった企業はWPPのほかにマースク(Maersk)、モンデリーズ(Mondelēz)、そしてウクライナのいくつかの銀行が含まれている)。

WPPの社員たちは仕事用のコンピュータを使用しないように指示され、コンピュータが動く場合でもeメールにファイルを添付しないように言われたとの内部情報が伝わっている。デジタル時代の高速な業務ペースのなかで、この状況は大きな遅延を生んでいる。

なかにはこのサイバー攻撃によって、広告の基礎へと立ち返ったスタッフもいるようだ。エージェンシー、グレイ(Grey)では、スタッフはオフィスで復旧を待っており、クリエイティブたちはペンと紙を使ってノートにアイデアを書いている。もちろん、エージェンシーのなかではこのプロセスに、何かハイカラかつクリエイティブな名前が付けられているのだろう。

アナログ生活に回帰

スタッフたちが何をしているのか尋ねたところ、グループM(GroupM)のエグゼクティブのひとりは「自宅勤務をしているスタッフもいれば、オフィスでオフラインで仕事をしているスタッフもいる」と、答えた。

そんななか面白いのは、ボードゲームがいろいろなところで流行っている点だ。WPPエージェンシーのひとつで勤務する、あるシニアパートナーはフィッシュボール(Fishbowl:各種業界の情報を交換するネットワーク)において、オフィスではモノポリーをやって遊んでいると語った。英オグルヴィ(Ogilvy)がサイバー攻撃の被害にあったのは、ちょうど仕事終わりも近づくタイミングだった。プランニングパートナーであるジェームズ・ワットリー氏は、スタッフがフーズボール(テーブルサッカー)やボードゲーム「テロとの戦い」をしている様子をTwitterに投稿した(のちに削除された)。

マクサス(Maxus)では学習するためにゲームを行っているようだ。「(サイバー攻撃の被害にあっている)今日という日を最大限活用するために、我々は批判的思考力を鍛える特訓をしたり、集中してクライアントのためにアイデアを出す、ということを行っている。たとえば『グッド、バッド・オア・アグリー(Good, Bad or Ugly)』というゲームを行っているチームがいくつかある。このゲームを通して、クライアントに起きる種々のチャンスであったり困難であったりを挙げ、それに対する解決策や新しいアイデアを考える」と、プランニング・オフィサーのデイヴィッド・ゲインズ氏は言う。

Macユーザーは被害なし

今回のサイバー攻撃によってMacユーザーとWindowsユーザーのあいだの隔たりを明らかにした。攻撃の被害を受けたのは主にWindowsであった。それでも、Y&Rやワンダーマン(Wunderman)では、どのコンピュータもシャットダウンするように指示が出された。

そのため、Macユーザーであるクリエイティブたちは、何も変わらず働き続けているようだ。Macしか使用していないエージェンシーでは、通常通りの業務が続けられている。ひとりのクリエイティブは「Windowsユーザーだったら良かったのに」ともらした。

WPPのなかでありながら、独立したITシステムをMacのみで運用するエージェンシー、トリュフ・ピッグ(Truffle Pig)は通常業務を続けている数少ないWPPエージェンシーのひとつだ。「私たちはいまも勤務しており、いくつかクライアントをパッと訪問することもできており、有り難い」とプレジデントのポール・マーカム氏は言う。

Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)
Contributing: Yuyu Chen
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