ピュブリシス、子会社CEOに休職勧告:性差別発言問題で

広告大手の仏ピュブリシスグループ(Publicis Groupe)は、傘下のサーチアンドサーチ(Saatchi & Saatchi)で最高経営責任者(CEO)を務めるケビン・ロバーツ氏(TOP画像)に対して、休職を勧告した。

これは、ロバーツ氏がビジネスニュースサイト「ビジネスインサイダー(Business Insider)」とのインタビューで、業界内におけるジェンダー多様性について複数の問題発言を行ったことを受けてのことだ。ロバーツ氏の休職中、同氏とサーチアンドサーチの今後について、ピュブリシスの監査役会が判断を下すことになる。

ピュブリシスのモーリス・レヴィCEOは、社内の従業員たちにあてた覚書で、「ピュブリシスグループは差異を歓迎しており、その精神に反する行動や発言を決して許容しない」という方針を繰り返した。ロバーツ氏は、ピュブリシスの最高経営幹部のなかでも上位の人物だ。

ロバーツ氏の問題発言

ロバーツ氏は「ビジネスインサイダー」のインタビューで、ジェンダー多様性の問題は広告業界の人間によって誇張されていると主張した。そして実のところ、女性管理職が少ないという問題は、ほかの業界では「はるかに悪い」と述べた。同氏はまた、女性が昇進しないのはエージェンシーの落ち度ではなく、女性が成功をどう見ているかをエージェンシー幹部が理解していないからだと述べた。

ロバーツ氏は以下のように発言した。「女性たちはこう言っている。『私たちは、恐竜のように愚かな男性が押しつける基準によって、自分をジャッジするつもりはない』と」。さらに同氏は、ジェンダー間の平等についての議論はもう「終わった」ので、ピュブリシス傘下のエージェンシーで時間を費やして修復するつもりはないとも付け加えた。

ロバーツ氏はさらに、広告業界を変えようと活動しているシンディー・ギャロップ氏に対し、自分の名を売るだけの目的でこの問題を炎上させているとして非難した。ロバーツ氏のこうした発言を受けたギャロップ氏は、ロバーツ氏の考え方に対する意見をツイートするよう業界に求めた。

社内外における反応

これを受けて、大手炭酸飲料メーカー、ペプシ(Pepsi)の幹部であるブラッド・ジェイクマン氏や、メキシカン・ファストフード・チェーン「タコベル」(Taco Bell)の最高マーケティング責任者(CMO)を務めるマリサ・タルバーグ氏など、多くの業界人がTwitterでコメントした。広告世界2位オムニコム傘下のBBDOでエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務めるローレン・コノリー氏は、次のようにツイートしている。

ローレン・コノリー @LaurConnolly
世界的企業を経営できるなら、もっと幸せ。上昇志向がないわけじゃない。実際、あなたの席が空いたら、私たちは「チェアマン」にだってなりたい(ロバート氏と、サーチアンドサーチへのコメント)
2016年7月30日 午後11時59分

情報筋によると、ピュブリシス・コミュニケーションズのアーサー・サドゥーンCEOもまた、ロバーツ氏のコメントに関する覚書を従業員らに送信した。このなかで同CEOは、ロバーツ氏の発言は侮辱的であり、こうした振る舞いはグループ内で容認できないと表明した。サドゥーンCEOはまた、「残念なことだが、ケビン(ロバーツ氏)からなされたコメントは、我々のグループや企業文化を反映していない」と書いた。

レヴィCEOにも問題視された過去

ピュブリシス幹部が公の場で話した内容が問題になるのは、ロバーツ氏の件がはじめてではない。2016年3月にマイアミで開催された「4A」カンファレンスでは、レヴィCEO自身が集中砲火の的になる出来事があった。

世界第1位の広告代理店WPPの子会社ジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)でCEOを務めていたグスタボ・マルティネス氏が、性差別と人種差別で告訴されて辞職したことを受けて、レヴィCEOは、これは「マルティネス氏だけの問題」であり、広告業界全体におけるより大きな問題を示すものではないと発言し、厳しく非難されたのだ。

業界平均によると、広告業界で幹部や管理職に就いている女性は全体のわずか11%だという。そして、広告業界で働き昇進することに関して障害となる性差別の蔓延について、女性たちは声を上げ続けている

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)