ピュブリシス2015年決算:伸びは緩やかも、コンサル買収、組織改編が今年どう出るか

広告世界3位ピュブリシスグループ(仏)は11日(現地時間)第4四半期決算を発表した。売上高は前年同期比2.8%増の27億ユーロ(約3400億円)だった。通年の売上高は前年比1.5%増の96億ユーロ(1兆2000億円)、営業利益は14億ユーロ(1800億円)。今期は堅調なものの伸びは緩やかだったが、来期は買収したコンサル企業セイピエント(Sapient)のビジネスと、相次いだ大型クライアントのアカウントの損失がどう影響を与えるか、注視が必要だ。

モーリス・レヴィ会長兼CEO(TOP画像)は「2015年は特に忙しい年となった。特に2015年2月の買収完了に伴うセイピエントの統合にともない、グループの組織改編を実行したためだ」と語っている。ピュブリシスは、米ボストンに本拠を置くコンサルティング企業セイピエントを37億ドル(約4400億円)で買収。セイピエントは1990年創業のデジタルコンサル、マーケティング企業。セイピエントを介して、人工知能企業に出資するなど、従来的な広告会社の業態の外に出ようとする傾向が鮮明だ。

英マーケティングメディア「ザ・ドラム(The Drum)」によると、セイピエント買収に伴い、同社は2015年12月に組織を以下の4社によるカンパニー制へと改編すると発表している。

(1)ピュブリシス・コミュニケーション

      BBH、サーチアンドサーチ(Saatchi & Saatchi)、レオ・ブルネット(Leo Burnett)などのクリエイティブ事業を統括。

(2)ピュブリシス・メディア

      メディアプランニング/バイイングのスターコム・メディアベスト、アドテクのヴィヴァキ(Vivaki)などのメディア関連事業

(3)ピュブリシス・セイピエント

      買収したセイピエントを中心としたカンパニー。デジタスLBi、レイザーフィッシュ(Razorfish)などのコンサル、デジタルエージェンシー事業を統合

(4)ピュブリシス・ヘルスケア

    ヘルスケア、薬品企業のオファー担当

2015年はピュブリシスにとって厳しいメディアレビュー(アカウントの見直し)があった。世界最大の広告主である消費財メーカーP&Gは2015年末、北米でのメディア・プランニング、メディアバイイングを、ピュブリシスから広告世界2位のオムニコムに変更。化粧品大手・仏ロレアルの米国アカウントも同世界1位のWPPの手中に収まった。

コンサルティング企業シエスコ(Ciesco)のリサーチによると、ピュブリシスは2015年、マーケティング業界で3番目に多数の買収を実施した企業だ。買収件数は、WPPの40件、電通イージスの26件に次ぐ19件だった。

「ビジネスインサイダー」によると、レヴィCEOは2016年1月、スタートアップ90社に1000万ユーロ(約12億7000万円)を投資するプロジェクト「ピュブリシス90」を開始すると語っている。近年、新興国需要への対応や他業種勢の参入を背景に、広告ホールディングスの企業買収が盛んだ。

レヴィ氏は2016年2月18日に74歳の誕生日を迎える。ピュブリシスでは長く後継者問題が取り沙汰され続けてきた。2013〜14年のオムニコムとの合併交渉(後に決裂)では、レヴィ氏が後継者を見い出せないことが、合併の要因になっているとの観測もあったほど。

2015年末、ピュブリシスの組織改編について話すレヴィ氏
Written by 吉田拓史
*訂正:Sapientを「サピエント」としていたのを米国での発音に準じ「セイピエント」に訂正した(2016/02/16)