プログラマティックTVは、視聴率のあり方を変えられる?:揺らぐニールセンの立場

プログラマティックTVの広告主は、ニールセン(Nielsen)が提供する年齢と性別のデータ以上に詳しい指標を求めている。そこに、ベンダーやケーブルネットワークが、独自の測定ソリューションを開発するチャンスがある。

テレビの広告主たちは長いあいだ、ニールセンのデータで視聴者の年齢と性別を把握し、メディアプラニングやメディアバイイングに活かしてきた。だが、プログラマティックTVが広まるにつれて、メディアバイヤーはニールセンのデータだけでなく、デマンドサイドプラットフォーム(以下、DSP)パートナーが提供するツールを利用して、TVメーカーやセットトップボックスのデータを分析するようになってきた。

新旧の指標における相違点

たとえば、メーカーのデータをファーストパーティーとサードパーティーのデータと組み合わせれば、デジタルとテレビにまたがって人々の視聴習慣を追跡できると、アドビシステムズ(Adobe Systems)で広告クラウドテレビ販売担当のディレクターを務めるジェス・サントロ氏は言う。

セットトップボックスのデータを利用すれば、広告主は世帯レベルで視聴者をターゲティングできる。そのため、ブランドのCMが流れたネットワークの名前や、そのCMを見たと思われるターゲットオーディエンスの数とインプレッション配信の数を地域別や日付別に確認できると、エージェンシーのグッドウェイ・グループ(Goodway Group)でメディア製品マネージャーを務めるサラ・シェーラー氏は言う。

「ニールセンはいまも、(視聴者層別の)視聴率を事業の中心に据えている。だが、デジタルTVや先進的なテレビが提供するような詳細でリッチなオーディエンス分析と比べれば、(視聴率は)役に立たない」と、シェーラー氏は語った。「ニールセンの視聴率システムは、今後もマーケターにとって大まかな指針にはなるだろう。だが、オーディエンスへの配信を測定する手段としては、正確でもなければ効果的でもない」。

問題視されるバラバラな指標

各DSPが独自の手法でプログラマティックTVを測定しており、標準化が行われていないことが、いまのプログラマティックTVで最大の問題なのだと指摘するのは、リニアTV向け技術を手がけるアドテク企業、シンテックメディア(SintecMedia)の最高経営責任者(CEO)ローン・ブラウン氏だ。多くの企業が独自にレポートを作成している現状は、データを照合したいと考えるエージェンシーにとっては都合がいいかもしれないが、測定企業にとっては問題だとブラウン氏は述べている。

また、「測定企業同士でさえ、大きな食い違いがある」とブラウン氏は言う。「コムスコア(comScore)とニールセンのあいだでは、たいてい40%以上の違いがある。そのために数多くの問題が生まれ、買い手と売り手が抜け道を利用できる状況が生まれている。必要なのは、もっと標準化された測定方法なのだ」。

ブラウン氏によると、ターナー(Turner)、FOXネットワーク(Fox Networks)、バイアコム(Viacom)から成るコンソーシアムが、パブリッシャーの垣根を越えてオーディエンスのターゲティングや独自の測定を実現するプラットフォーム「オープンAP(OpenAP)」を構築したことは、標準化に向けた大きな取り組みだという。オープンAPを利用すれば、大手のブランドやエージェンシーは、自社のデータをこの大手ネットワーク3社のテータと照合できるため、ニールセンだけに頼る必要がなくなる。

いまでもニールセンは真理

ベンダーやテレビネットワークがさまざまな測定手法を開発しているものの、データがバラバラなため、今日のTVメディアバイイングではやはりニールセンの視聴率が基準だ。「テレビの分野では大きな変化は起こっていない」と、TV測定企業のTVスクエアード(TVSquared)で最高技術責任者(CTO)を務めるケビン・オライリー氏は言う。「いまでもニールセンが主要なデータ提供元であり、真理なのだ」。

サントロ氏は、ニールセンが業界の大半の企業にとって取引の基準になっている限り、ベンダーがキャンペーンを分析するには、今後もニールセンの視聴者層データが必要になると考えている。

「ただし、ニールセンにかかるプレッシャーが強くなっていることは間違いない。ブランドやエージェンシーが、いまより正確な視聴率データだと思えるような代わりのデータセットを探しているからだ」と、サントロ氏は語った。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)