デジタル時代の「年齢差別」に 高齢層からひと言:失業中コピーライター(55歳)の告白

このコラムの著者、マーク・ダフィ(55)は、広告業界辛口ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人。米BuzzFeedで広告批評コラムを担当していたが、2013年に解雇を通達された業界通コピーライター。趣味のホッケーは結構うまい。

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自分が「高齢層(an Old:Old単独を名詞として使う)」と呼ばれてしまうことに気づいたのは2012年だった。BuzzFeedで「広告批評家」として働きはじめたとき、私は52歳でぶっちぎりで同社内の最高齢となってしまったのだ。

BuzzFeedでは30歳以下のエディターたちは、サイトのターゲット年齢層よりも上の人間をまとめて「高齢層」(The OldsやOlds)と呼んでいた。おもに社内での会話に限られた言葉遣いだったが、ときに同サイトの投稿にも使われることがあった。彼らにとってみれば、「高齢層」の人間たちは、自身の文化や言動が理解できない生き物と信じられていたのだろう。

そして間もなく、この呼称がミレニアル世代によって全国的に使われていることを知った。ただ、ニューヨークの「最先端」を率いるソーシャルメディアサイトだけで使われているわけではなかったのだ。ミレニアル世代がこういった使い方をする前は、「The Olds」というとオールドアメリカンウィスキーやバーボンの種類を指していたものだった(いまでもそのはずなんだけど)。

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これは我々「高齢層(The Olds)」の新しい広告として使えそうだ。

年を取っていると言われるのは、気持ちの良いものではない。ただ、25歳の人間からしたら、私は間違いなくジイさんなわけだ。しかし目の前に存在するひとりの人間を「高齢層」なんて呼んでしまうのは、それとはまた違う話だ。侮蔑的で、差別的で、人間を矮小化してしまう表現といえる。特にメディアにおける人種差別や性差別に対して力強く反対運動をしてきた世代が、こういった言葉遣いをしていることが非常に驚きだ。

年齢差別は問題にならない

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私は芝生のある庭や銃を所有しているわけではないし、ましてや誰も座っていないイスに向かって独り言を言い続けたりもしていない。それでもインターネットによると、異性愛者で白人男性の年寄りである私は、ミレニアル世代のあらゆる問題の原因となっている。

こと年齢差別に関しては、ミレニアル世代はまったく問題だとは思ってないようだ。そしてこれは、ミレニアル世代が初の「デジタルネイティブ」世代であることと関連がある。彼らは私たちがコンピューターやインターネットを理解していないし、今後もできやしないと思っているのだ。まぁ、おそらくこれは正しいのかもしれない。

こんな現状においては、ミレニアル世代を嫌いにならないほうが難しい。アドウィーク(Adweek)が運営する広告業界の内側を語るサイト、エージェンシー・スパイ(Agency Spy)は、読者たちにとあるアンケートを取った。そのアンケートとは、エージェンシーは50歳以上の人材を差別しているか? というものだ。そして、完全に「差別している」という結果が出た。

回答者たちの不満は一貫している。「高齢層」の経験は評価されないだけでなく、知恵も必要ない。Google検索しても手に入らない、実際に生きていくなかで身につく知恵に対して、価値が見出されていないのだ。アンケートの結果わかったのは、特に50歳以上の女性が苦境に立っているということだった。このトピックは2014年に開かれた「3%カンファレンス」のセッションでも扱われている。セッションは「年齢差別:広告業界の(めちゃくちゃ)醜い秘密」と題された。

経験・知識が不要となった

今日、50歳以上の人で、特にクリエイティブ畑の人は、すでにエグゼクティブの席についていないとヤバいだろう。そうでなければ職業を変えることを検討したほうがいいかもしれない。50歳以上の人材の経験なんてものはヘッドハンター、エージェンシーのリクルーター、エグゼクティブクリエイティブディレクターたちにとって、まったく意味のないものだからだ。それどころか邪魔なものとして考えられる。なぜなら「適正な」経験ではないからだ。「昔の」経験だからだ。また給料が高すぎるのも問題だ。

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「ソーシャルとデジタルに関してオレはキレッキレ」。このTシャツを着てたらミレニアル世代も認めてくれるかな。

コピーライティングの才能があるかどうかもあまり重要ではない。コピーライティングに限らない、アートディレクションだったり、デザイニングだったりアイデアを出すことが25歳のクリエイティブよりも優れていても大したことではないのだ。25歳なら、はした金で馬車馬のように働かせた後で、彼らが作ったものを完全に作り変えてしまっても、何ひとつ文句を言わないのだから。

この結果、広告業界が作り出す広告が、とにかくクソみたいな物ばっかりになっているというわけだ。だから何なんだって? その通り。ほとんどのブランドは平凡な広告と良い広告の違いも見分けられなくなっている。ソーシャル・メディア上のクソの役にも立たない数字を次から次へとブランドに提出して、売上がどうか落ちませんようにと祈ることがエージェンシーの仕事になってしまった。クリエイティブな観点からの長期的な計画だって? そんなこと真剣な顔で言ったら頭がおかしくなったのかと思われるぜ。

幸運なキャリアをもつ自分

私自身は50歳以上にしてはかなり幸運なキャリアを持っている。BuzzFeedで働いた18カ月間に、デジタルとソーシャルメディアについて集中講義を受けたようなもんだから。少なくとも会話にはついていける(米DIGIDAYはそれにダマされて私を雇ったわけだ)。

と、長文になってしまったけれど、そろそろ日課のWebサーフィンの時間だ。今日は、痛風の薬と腰痛に効くエクササイズについてサーチしないといけないから、とりあえずこれで失礼。

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Mark Duffy(原文 / 訳:塚本 紺)
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