予算縮小の時代、広告会社はいかに立ち向かうべきか?

広告エージェンシーにとってお金を稼ぐことが、かつてないほど難しくなっている。マージンも手数料も圧縮され、少ない報酬でより多くの仕事を強いられているからだ。

米DIGIDAYは、アリゾナ州フェニックスで開催した「DIGIDAYエージェンシーサミット(Digiday Agency Summit)」の出席者に、この危機的状況に立ち向かうための対策を聞いた。価値に応じた報酬の取り決めから、新たにできることの開発まで、エージェンシーが稼いでいくために何をしているのかを紹介する。

回答はわかりやすくするために編集を加えてある。

報酬モデルを柔軟に設計

RPA バイスプレジデント兼デジタルマーケティング担当アソシエイトディレクター
ニコラ・ペリゴ氏

クライアントのビジネス構造に適応できるように、報酬モデルをよりオープンで柔軟なものにすることで対応している。あるときは、対象範囲のベースラインで合意したうえで、対象範囲外の仕事のための枠組みを改善する。あるときは、ベースラインで合意し、パフォーマンス手当を設定する。また、あるときは、のちのち釣り合うことを確認したうえで、プロジェクトへの投資という立場を取る。そのような信頼が関係性の維持のプラスになるのだ。

誠実な議論を交わす

バリッシュ(Bullish) マネージングディレクター
マイケル・ドゥーダ氏

消費者は安価な選択肢とできるだけ多くの価値を求めるものだ。だから、そのような場合、企業はマージンを確保し、効率を上げる方法を考え出さなくてはならない。エージェンシーの報酬問題もそのひとつ。個人で解決できることではない。

問題なのは、率直で誠実な議論が欠けていることだ。手数料について話をすると、ディナーの席でセックスについて話しているかのようにとられる。それではいけないのだ。

エージェンシーは、自らが必要なもののために立ち上がることを恐れてはいられない。エージェンシーがやらずして、クライアントがやるだろうか。広告制作のコストだけでなく、ビジネスの望ましい成果と、本当のKPIに着目した報酬モデルに注力する必要がある。

個別の契約を用意

BBDOニューヨーク(BBDO New York) プレジデント兼CEO
ジョン・オズボーン氏

クライアントのビジネスを促進するアイデアやキャンペーンを提供するのであれば、そのエージェンシーには公正な報酬が支払われるべきだ。エージェンシーが獲得を目指すべきインセンティブとして、成果に見合った報酬がなければならない。

我が社にはクライアントとのあいだに、まったく同じ内容の契約はひとつもない。クライアントとは、どこまでも個々に基づいて関係を構築している。エージェンシーが提供するサービスの種類は、コンテンツ面ばかりでなく、データ面やコンテキスト面でもかつてよりずっと多様化している。このことが、より多様な報酬構造に目を向ける方向に働いている。

新しい人材の確保

ドナー(Doner) ソーシャルエンゲージメント担当シニアバイスプレジデント
マーカス・コリンズ氏

見通しが横ばいまたは減少傾向であるだけでなく、クライアントは少ない報酬で多くの成果を求めている。これはこの業界が崩壊しつつあるからだ。アイデアを生み出す我々のような仕事を、我々よりも効率的にできるライバルがたくさんいる。だからこそ、エージェンシーとしてクリエイティブ製品の制作以外に、どのような形でクライアントに奉仕するかを我々は考えている。

当社が単なる外注先ではなく、パートナーとしてクライアントのために果たせる役割を考え直している。ドナーでは、ソーシャルコンテンツやデジタルコンテンツを提供する以外に、これまで通常は外注していたテレビ制作を社内で行う制作部門を設立した。また、人材採用戦略を見直し、現在はかつてよりもさらにハイブリッドな才能を探している。複数の役割をこなせる人物が必要なのだ。

Tanya Dua (原文 / 訳:ガリレオ)