「エージェンシー上層部にとってはマージンがすべて」:解雇されたミレニアル世代の告白

毎年、純真な新卒たちの集団が広告の世界に入ってくる。業界に残って出世コースを歩むことになる者たちがいる一方で、無惨にポイ捨てされる者たちもいる。

業界人に匿名で本音を語ってもらう「告白」シリーズに今回ご登場願うのは、後者のひとり──マーケットリサーチエージェンシーに3年間在籍し、あっさりと解雇されたミレニアル世代の元若手社員だ。今回インタビューしたこの人物は、今後も継続して広告業界で働くつもりはないという。我々は機密保護を約束し、彼に本音を語ってもらった。

以下はその抜粋だ。

昔から広告業界で働きたかったのか?

リベラルアーツの学位を取得したので、広告に限らず、研究職全般に興味があった。私が広告に行き当たったのは偶然だった。この業界に関する予備知識はあまりなかったが、私が在籍していたエージェンシーでは、それは問題ではなかった。入社するアナリスト全員に研修が行われるからだ。なので、学ぼうという意志さえあれば、新入社員の段階で特定のスキルセットを身につけている必要はない。

解雇されたばかりだが、解雇には意表を突かれたか?

このエージェンシーには3年間いたが、それだけ長く在籍していたというのがいちばん辛い点だ。この仕事が自分に向いていないことを自覚していたので、勤務の傍ら、ほかの業界に探りを入れていたが、それでも解雇はショッキングなものだ。私が思うに、エージェンシーで働く素質があるのは、特定のタイプの人間だけだ。穏やかな口調でもダメだし、私のように意見を率直に言ってもダメ。クライアントの言いなりになることを良しとしなければならない。

それはつまり?

クライアントの要求に応じることしか考えていないということ。もしクライアントが金曜の夜に現れて、すべてを変更すると言えば、エージェンシー側は誰ひとりとしてノーと言わない。たとえ月曜までにすべてを一新することが実現可能ではないとわかっている場合でも、ノーとは言わないだろう。持株会社の傘下にある以上、社員は利益を追求せざるをえないからだ。

エージェンシーの経験から学んだことは、ほかに何がある?

1社で働いた経験しかないので、これが一般的なものなのかどうかわからないが、この業界では多くの局面に「政治」が存在する。コミュニケーションギャップも大きい。コミュニケーションを扱う会社にコミュニケーションギャップが存在するのだから、なんとも皮肉な話だ。この業界に身を置き、クライアントのために働いている以上、彼らの命令は絶対だ。マージンがすべてだ。私がいた会社に関する限り、上層部は利益や売上のこと、そして、それが自分たちの評判にどう影響するかということしか考えていない。それに対して、実際の業務をこなしても評価されないのが若手社員だ。

下っ端社員の目にエージェンシーはどのように映った?

エージェンシーは若手社員の能力を評価する体質に変わるべきだ。そうしなければ、誰もこの業界に残りたがらないだろうから。これは双方にとってプラスになるはずだ。古株社員も、ますます自動化が進む労働環境に対応できずに、悪戦苦闘している。

良かったことは何かあった?

友人関係や人間関係に恵まれる点。多くの対人スキルが学べる点や、いろいろな業界を幅広く股にかけて働く機会が得られる点も良いと思う。また最近は、エージェンシー内のさまざまな部署を移動する機会もたくさんある。私はこの業界が自分に向いていなかったという事実を受け入れているが、この経験から多くのことを学んだし、こうなったことにも満足している。そのおかげで、自分がどんな人生とキャリアを求めているのか、はっきりわかるようになった。

もし可能なら、やり直したいことは何か?

エージェンシーに勤務する生活が自分に向いているかどうかは、かなり早い段階で判断がつく。さっきも言ったように、このように大きなプレッシャーがかかる環境でうまくやっていけるのは、特定のタイプの人間だ。事前にインターンとしてエージェンシーで働いていれば、とも思う。もしそうしていれば、自分に適性があるかどうかもわかっただろうし、エージェンシーでの仕事に適合するように自己訓練することもできたかもしれないから。新たに広告の世界を志す人たちには、この業界の仕組みを肌で感じ取るためにも、インターンシップを経験することを勧める。

Tanya Dua (原文 / 訳:ガリレオ)
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