一般の人々は「AIによる未来社会」をそれほど心配してない:PwCによる調査結果

本記事は、DIGIDAY[日本版]の兄弟サイトで、仕事関連のハッキング術(上手くやるコツ)だけでなく、広く生活全般に関するハック情報も網羅する「ライフハッカー[日本版]」からの転載となります。

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人工知能(AI)が多くの人の仕事を奪う可能性について、技術分野の専門家やメディアは、うんざりするほど議論を交わしています。では、一般的な労働者や消費者も、同じような不安を抱えているのでしょうか?

この疑問に答えるべく、新しい調査が行われました。大手会計事務所PwC(プライスウォーターハウスクーパース)は2017年4月25日、2500人を対象にしたAIに関する意識調査の結果を発表しました。この調査では、一部の分野の著名な専門家たちが懸念しているほど、一般の人たちはAI技術に懸念を抱いていないことがわかりました。

多くの人はAIのプラス面に注目している

オートメーション化により、どれくらいの数の仕事がなくなってしまうのでしょうか。専門家の予想には大きなバラつきがあります。市場調査会社Forresterによる研究では、2021年までに6%の職がAIに取って代わられると推定されています。一方、2035年までにほぼ半数の職がなくなると見込む研究もあります。

ですが、労働者たちはそれほど心配していません。PwCの調査に協力した人のうち、AIは「職を奪うことで人々に悪影響を及ぼす」と考えているのは46%に過ぎません。ちなみにこの調査では、回答者の必須条件として、少なくともAIに関する基本的な知識を持っていることが挙げられていました。

映画『ターミネーター』的な最悪のシナリオが起こると思うかと尋ねた質問では、予想どおり、不安を覚えると答えた人の割合はさらに少なくなりました。AIが深刻な悪影響を及ぼすと考えている人は、23%だけでした。

イーロン・マスク氏やスティーブン・ホーキング氏に代表される技術分野の専門家たちは、AIの力が大きくなりすぎると、AIは、自らを開発した人間たちに反旗を翻すかもしれないという不安を抱いています。PwCの調査報告に先立つ2017年4月初旬には、ワールド・ワイド・ ウェブ(World Wide Web)の生みの親であるティム・バーナーズ=リー氏が、コンピューターは人間から仕事を奪うだけでなく、企業の設立や運営を自ら行い、やがて世界経済全体を支配するようになるという見通しを発表しています。

しかし、今回の調査の回答者たちは、AIがもたらすプラス面のほうに、より注目しているようです。この調査では、回答者の63%が、AIは「現代社会をむしばむ複雑な問題の解決に貢献する」と考えていることがわかりました。

具体的に言うと、「AIの活用が望まれる分野」について尋ねた質問では、68%の回答者が、サイバーセキュリティとプライバシーに関する問題の解決にAIを利用することが重要だと答えました。また、がんなどの病気の根絶、クリーンエネルギーの開発、教育の改善、世界の健康と福祉の向上にAIが大きく貢献できると信じる人も、高い割合にのぼっています。

職種によってAI活用の是非は別れる

一方、オートメーション化による職の消失は、経済的に見て許容できることかどうかを尋ねたところ、俎上に乗っている職種によって、答えは大きく異なりました。回答者の80%は、法律家の仕事を保護することよりも、AIの導入で期待される、より安価な法律相談を利用できるようになることのほうが重要だと述べています。また、回答者の3分の2は、交通事情が改善し、カスタマーサービスの質が向上するなら、タクシー運転手やコールセンターの仕事が奪われても構わないと答えています。

しかし、こうした意見は、消費者の生活に長期的な影響を与える状況に関しては、少し変わってくるようです。回答者の77%は、ロボット化されたスマートキットを自己診断に使ったあとで、人間の医師にも診てもらうと答えています。これは、医療業界に勤務する人たちにとっては朗報といえます。というのも、AIはすでに、皮膚がんなどの病気を、皮膚科専門医と同等に発見できるレベルにあるからです。さらに、61%の人たちは、大学が自動化された「チャットボット」を採用して授業料を安くするよりも、人間のアシスタントを使い続けることを望んでいます。

ただし、娯楽産業については、特筆すべき結果が出ています。半数以上の回答者は、2025年までに、AIがビルボードのヒットチャート100位以内に入る曲を作り、テレビシリーズのヒット作の脚本を書くようになると考えているのです。

ライフハッカー[日本版] オリジナル記事

Kevin J. Ryan(原文/訳:風見隆/ガリレオ)
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