オフィス探訪:レイザーフィッシュNY本社のソリッド空間

1980年代以前は、マンハッタンのハドソンスクエアに、あえてオフィスを構えようとする企業はごく僅かだった。

ソーホーとハドソン川のあいだにある、かつての野暮ったい工業地区は、いまや活気のあるアーティスティックな活動拠点だ。クリエイティブ系、テック系そしてメディア系企業が立ち並んでいる。アドエージェンシーのレイザーフィッシュ(Razorfish)は、2015年10月、そのエリアに新しく移ってきた企業のひとつだ。

タイムズスクエアの賃貸オフィスから移動し、すでにその地にオフィスを構えていた姉妹エージェンシーのサーチ・アンド・サーチ(Saatchi & Saatchi)、ホライゾンメディア(Horizon Media)、そしてハバス・ワールドワイド(Havas Worldwide)に合流。かつて印刷出版企業が使っていたビルは、賃料が安いうえに広い。また、近隣が創造的な活気に満ちているという意味でも、間違いなく、掘り出し物だった。

「社員にひらめきを与えるものが何かと考えてみると、それはファッション、カルチャー、メディアそしてアートだろう」と、レイザーフィッシュの東部地方プレジデント、パトリック・フレンド氏は語る。「このエリアには、若くてエネルギッシュな雰囲気があり、エージェンシーたちを呼び戻している。社員400名は、そこから刺激を受けるだけでなく、外部にも刺激を与えていると考えたい」。

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見た目はシャープそのもの

息を飲むニューヨークシティの展望と、2フロアに渡る広大な10万平方フィートのスペースをもつレイザーフィッシュのオフィスは、その名のようにスッキリしている。インテリアと備品は、グレーと白のソリッドカラーに、オレンジ、緑、濃い赤と青のブランドカラーが挿し色にしてあり、モダンかつ必要最小限にレイアウトされていた。

オフィスの中心に置かれているのは、大きな水槽。同エージェンシーの名前に相応しいDNAとカルチャー、つまり「多様なバックグラウンド、才能、そして規律をもったエコシステム」を表している。

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オフィスの中心にある水槽

450名強の社員が、メルセデス・ベンツからサムスンに至るブランドにサービスを提供している同社。そのオフィスレイアウトは、共同作業を促進するため広いオープンフロアに机が並んでいる(40近くの立ち机も含む)のが特徴だ。

しかし、マネージングディレクターのクリストファー・マクナリー氏は、依然として自己中心的で孤立した仕事のやり方をする社員が現れるという。そのため、机の列は長椅子、レストラン風のブースにミニポッドなど、共有スペースを点在させてあるのだそうだ。

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レストラン風のブース

「机が何列にも渡って並ぶことがないようにしたかった」と、彼は語る。「小さな打ち合わせルームにわざわざ足を運ぶ必要はない。なぜなら、数歩足を伸ばせば共有スペースがあり、その一角に座ることができるのだから」。

レイザーフィッシュのブランドコンテンツラボ、エマージング・エクスペリエンス(Emerging Experience)のような部署や、レイザーフィッシュの顧客エンゲージメント専門エージェンシー、ロゼッタ(Rosetta)という独立した事業体には指定のエリアがあり、階下のオフィスを占有している。

しかし、オフィスの四隅、一般的には幹部のために用意されたスペースは、社員たちがくつろげるように、ゲーム機、テレビ、そしてソファを備えたラウンジとなっている。特に、そのコーナーには力を入れており、おしゃれなたまり場にすることができる。たとえば、オフィス北東の角にあるスコット・バーは、ソーホーを見渡せるいま一番人気の場所だ。

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コーナーラウンジのひとつ

レイザーフィッシュにはまた、21の会議室(うち5室は、室内が見える透明なガラスの壁をもつ)、10の作戦司令室、ウェルネスルーム、3つのキッチンエリアとワーキングマザーのための専用ルームがある。それぞれ部屋はニューヨークのトンネル、橋、ナイトクラブ、美術館にちなんで命名されているという。たとえば、一番大きな会議室は中央キッチンに隣接しており、ユニオンスクエアと呼ばれているのだ。

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会議室「ユニオンスクエア」のそばにある中央キッチンエリア

同エージェンシーはまた、スタートアップ戦略に倣って、売り込みやキャンペーン開始前に夜遅くまで働いている社員たちのために、指定の仮眠エリアを設けている。そして、エクササイズをしたい社員はエレベーターに乗り込んで、ビルの屋上でランニングすることも可能だ。サーチ&サーチやほかの広告企業も入居しているハドソン通り375番のビルには、ジムばかりか屋上にランニングトラックもある。

透明性、敏捷性、それにスタートアップ精神と離れて、同エージェンシーは従業員の連帯感を育むこと(コミュニティ作り)も忘れてはいない。オフィスに点在する11のモニターで、プロジェクトの成功例や新入社員紹介など、最新の社内情報にスタッフがついていけるようにしている。

加えて、ハッピーアワーやカルチャーイベント、年2回のジャムセッションなどの社内イベントを催すことで、定期的に全従業員が一緒に過ごし、会社が楽しく、面白い環境になるための努力を続けている。また、プライドクラブから女性クラブまで、従業員主導で幅広いクラブ活動も行われているという。

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「『良く働き良く遊べ』という理念は非常に重要だ。仕事と生活の境界線はますます曖昧になっている。だから、それを認識し、促進することは大切なことだ」と、フレンド氏は語った。

Tanya Dua (原文 / 訳:Conyac)