ハバス・メディアの新しい欧州本社ビルに行ってきた:「人やアイデアの衝突」をイメージ

大手エージェンシーのハバス・メディア(Havas Media)は、英国内に1700人の従業員を抱えている。2017年3月まで、この1700人の働き場所はロンドン市内の7つの場所に分散していたが、これからはコーヒーを飲みに外へ行くのに、別のオフィスに移動するという口実が使えなくなる。

2017年2月、同グループの新しい欧州本社ビル(HKX)がキングスクロスに完成し、ハバス・メディアやハバス・ロンドンなど英国内にある24のエージェンシーがひとつの社屋に集合した。建設に4年を費やしたこの新社屋は、2017年までにハバスが建設しようとしている50の、いわゆる「ハバス村」の47番目にあたる。

ハバス最高経営責任者(CEO)のヤニック・ボロレ氏は、3月9日のHKX完成披露パーティーで次のように述べた。「わが社の組織構造を理解するのは難しかった。だが、これで我々はすべての人に開かれた企業になった」。

エージェンシーの各部門は10のフロアにまたがって互いに混じり合い、違う分野の人間同士が各フロアでホットデスキング(職場で複数の人たちがひとつの机やコンピューターなどを共有すること)している。個別のミーティングスペースとスタッフのロッカー以外は、どこでも自由に使える。

 

社屋内の階段のひとつ。人々をジグザクに移動させる仕組みになっている

社屋内の階段のひとつ。人々をジグザクに移動させる仕組みになっている

 

ハバスUKの会長兼CEOのクリス・ハースト氏はこの建物について、「人やアイデアの衝突」をイメージしてデザインされたと説明している。「共用の、刺激に満ちた空間でお互いに交流する機会が増えるほど、クライアントに恩恵をもたらすような、境界線を超えたソリューションが生まれる可能性が高まるだろう」と、同氏は語る。

実際、建築会社MCMの設計は、一度に2フロア以上は行き来ができないようになっていて、途中にある休憩スペースを必ず通らなければならない。

その他の部分については、スタッフの使いやすさを優先した作りだ。たとえば、Amazon用の宅配ロッカーがあったり、少し離れたバーモンドジーの「Hej」が新たな社員食堂に入り食べ物やコーヒーを提供したりしている。

 

HKXの社員食堂。従業員の飲食料金は会社から補助が出ている

HKXの社員食堂。従業員の飲食料金は会社から補助が出ている

 

外の環境も素晴らしい。キングスクロス駅周辺のエリアにはGoogleやガーディアン・メディア・グループ(Guardian Media Group)、有名なアートカレッジのセントラル・セントマーチンズがある。「我々は、最高のテクノロジーと最高の創造性が交わる場所にいる」と、ボロレ氏。同社のグローバル本社はフランスにあるが、キングスクロス駅からユーロスターに乗れば3時間とかからずにパリまで行ける。社員のなかには、海底トンネルを通る鉄道ルートに「第2のオフィス」とあだ名をつけている者もいる。

 

HKXの会議室のひとつから見た景色。再開発が進むキングスクロス地区を見渡せる

HKXの会議室のひとつから見た景色。再開発が進むキングスクロス地区を見渡せる

 

多くのエージェンシーがそうであるように、ハバスでも統合に向けた動きが加速している。一番最近の組織再編によって、クリエイティブグループとメディアグループが姿を消した。現在このふたつは、ハバスP&Lの下でビジネスユニットになっている。要するに同社は、すべての人に対してあらゆるものを提供できる、ワンストップショップになりたいのだ。

「1年半前、我々は百貨店のシアーズ(Sears)に売り込みをかけた。先方の最高マーケティング責任者(CMO)は私に、『うちは80ものエージェンシーとパートナー関係にある』と言った。彼の前任者は、エージェンシー対応だけのために複数の人間を雇っていたそうだ」と、ボロレ氏は背景について語る。

ハバスは、英国のクライアントは単純さと規模、そして優良な企業を求めているという事実に賭けて、新オフィスでの活動を進めていく。

 

HKXの講堂。イベントや社内の大きな会合の会場として作られた

HKXの講堂。イベントや社内の大きな会合の会場として作られた

 

レクリエーションスペースは社内のあちらこちらに設けられていて、当然のことだが、テーブルサッカーや卓球台が置かれている

レクリエーションスペースは社内のあちらこちらに設けられていて、当然のことだが、テーブルサッカーや卓球台が置かれている

 

GRACE CAFFYN(原文 / 訳:ガリレオ)