IBMが連続買収でデジタルエージェンシーとして急拡大:クラウド&IoT事業への寄与に期待か

IBMは2016年2月2日(米国時間)、ドイツのデジタルエージェンシー「アペルト(Aperto)」を買収すると発表した。金銭的条件は非公開。IBMの広告部門の従業員数は1万人になり、電通イージス・ネットワーク全体の4分の1程度に達した。IT界の巨象は、マーケティング業界にどれだけ大きな野心を抱いているのだろうか。

アペルトは従業員数が300人以上、Web制作とアプリ制作が主力のサービスだ。クライアントには仏エアバス、独フォルクスワーゲン、独シーメンスがいる。ニュースリリースなどでは、IBMが保有するデジタルエージェンシー「IBMインタラクティブ・エクスペリエンス(IBMInteractive Experience、以下IBM iX)」の傘下にアペルトを加えるという。

IBM iXは、米広告業界誌「アドエイジ(Ad Age)」の「Ad Age Agency Report –2014 & 2015」で、世界最大と認定されたデジタルエージェンシー。この取引によって、IBM広告部門の従業員数は1万人に達した。欧州のエージェンシーの買収ははじめてで、同地域における顧客拡大の橋頭堡となる。

IBMは、2016年1月28日にも米オハイオ州のデジタルエージェンシー「リソース/アミラティ(Resource/Ammirati)」を買収。ビジネスインサイダーによると、1981年創業で、従業員数300人、2014年の収益は7500万ドル(約90億円)。Appleが最初のクライアントで、1999年のスーパボウルでのヴィクトリアズ・シークレットによるファッションショー動画配信で知名度を得た。

翌1月29日にも同社は、天気予報サービスを運営するザ・ウェザーカンパニー(The Weather Company)を買収すると発表。「この取引は、IBMはクラウドデータサービスプラットフォームのスケールと能力を拡大する。さらにザ・ウェザーカンパニーのサービスを、中国・インドのような新しい主要市場にもち込むことで、グローバル展開を加速させる」としている。

これらは、いわゆるビッグデータ投資といえるだろう。クラウド事業の強化とともにIoT(Internet of Things)関連事業への寄与も期待しているようだ。2015年末にはTwitter、Facebookともデータに関する提携を結んでいた。

競合のオラクル、アドビ、セールスフォースらもコンテンツ・マーケティングエージェンシー、デジタルエージェンシー、データ関連企業の買収を盛んに進めている。ベンダー自体がエージェンシーの買収により広告代理店の業務に参画する傾向は年々強くなっている。マーケティングオートメーションとコンサル勢の進出が、広告主と代理店の関係を変えつつあるとの見方が大勢だ。

Written by 吉田拓史
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