コピーライターはロボットに職を奪われる、間違いない:失業中コピーライター(56歳)の告白

このコラムの著者、マーク・ダフィ(56)は、広告業界辛口ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人。米BuzzFeedで広告批評コラムを担当していた業界通コピーライターだが、2013年に解雇を通達された。趣味のホッケーは結構うまい。

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マシーンラーニングによる完璧なコピーライターAIがそのうちやって来るだろう。それも割りとすぐにだ。コピーライターの諸君は私が冗談を言っていると思うかもしれないが、信じたくない人はこの先も読まない方が良い。

ゴールドマン・サックスがすでに、コピーライティングを行うAIを開発するペルサード(Persado)というスタートアップに多額のお金を投資している。ちなみにペルサードというネーミングセンスの時点で人間のライターが劣っていることがわかる。AIにスタートアップの名前を考えさせることはできなかったのだろうか。それか別のロボットに考えさせるとか。

ペルサードのサイトからいくつか、ソフトウェアによって生成されたコピーを例に挙げてみたい。「毎回ユーザーにアクションを起こさせる方法があったとしたら(What if there were a way to inspire action every time?)」ほかにも「エモーショナルなトリガーも、論理的なトリガーも定量化する(Emotional and rational triggers quantified. … )」や「システム化された効果的なコミュニケーション…ソフトなスキルを裏打ちするハードなサイエンス(Effective communication systemized. … Hard science behind soft skills.)」といったものがある。

コピーライターの未来

テック業界の他の巨人たち(Appleとか)はペルサードよりも良いバージョンのソフトウェアに取り組んでいることは間違い無いだろう。いまの広告業界のコピーライティングヒドい有り様を鑑みると、コピーライターロボットはオンラインで活躍する将来は、はっきり言ってもうすぐそこじゃないだろうか。データは最適化され、カスタマー体験は最適化されているんだから、コピーライティングも完全に最適化されるときはすでに来ている。

「コピーは自分たちのアート作品だ」なんて嘆いている諸君は、一歩下がって現実を見つめて欲しい。コピーライターはライターではない。皮肉屋であり、ダジャレ言いであり、フレーズ発明家であり、詐欺師だ。ライターは書くことに対して給料をもらうが、コピーライターは売上を伸ばすことに対して給料をもらう。それだけだ。え? 「自分はコンテンツライターだ」って? いや、君もライターではない。

AIによるクリエイティブ部門というのが近い将来達成された際も、仕事を得るコピーライターはいるだろう。諸君のうちの何人かは生き残る、ただし役職名は違うものになっているだろう。たとえば「ロボットコピーライター検査官」や「ロボキュレーター」や「案件エグゼクティブ」といったものになる。

ロボットにも短所は残るだろう。クールなスニーカーや眼鏡フレームを身に着けたりはしてくれない。肩越しからじっとデザインを見つめて、レイアウトにちょっとだけ微調整を加えて、全体を「きゅっと引き締める」といった感性的な作業もしてくれないだろう。

しかし問題は長所である。

AIのパワフルな長所

(1) 諸君たちが素晴らしいキャンペーンの企画提案に2週間かけるところを、ロボットなら10の異なる戦略に基づいた10の異なるキャンペーンを設計して磨き上げることができる。それも諸君が職場でトイレに行って帰ってくるあいだにだ。アナタが頑張ってローンチ広告のために、ふたつのバージョンのボディーコピーを書いても、ロボットなら同じコピーを100通りも違うものを書いてしまう。しかも100で止める理由は無い。君が100個って命令したから100通り書いてくれただけで、いくらでも追加で考えることができるのだ。

(2) アナタは金獅子賞を受賞したTVスポットを書いたって? ロボットはアナタの広告や、そのブランドのほかの100個の広告を基に学習し、チタニウムライオンを受賞するスポットを書いてしまうだろう。しかも、偉そうな人間の広告屋とは違って、その後カンヌに毎年特別招待されることを要請したりすることもない。

(3) ロボットはくだらないダジャレのヘッドラインを書くこともない(わざわざ命令しない限りは)。

(4) ロボットコピーライターは、君(そして私)のように文法の失敗をしない。

(5) ロボットならインターネット全体を検索して、ブランドと結びつける完璧に適切な社会問題/大義名分/チャリティなどを見つけてくれる。そのためブランドは、まったくもってほぼ利他的に行動しているように見える。

(6) 「体験型のストーリーテリング」なんて文句も、AIが生み出す完璧な声で読み上げられると、ずっと良いコピーに聞こえるだろう。

(7) ロボットを好きなように名付けることができる。バーンバック、マッケイブ、ドレイパー、スタインベック、コピーランター、ステッドマン(名前がピンと来ない若者は検索するように)等など。

(8) ロボットなら徹夜しても翌朝体臭で周りに迷惑をかけたりしない。

ロボットは、「コピーライター風なTシャツ」を着て、頭が切れる演出をしてくるなんてうざったいこともしない。Image: via

ロボットは、「コピーライター風なTシャツ」を着て、頭が切れる演出をしてくるなんてうざったいこともしない。Image: via

人間は勝利できない

人間消費者の注意を獲得する競争に人間のコピーライターが勝利することはできない。「人々がベースになったマーケティング」は人間でないコピーライターによって完成させられるだろう。ブランドやマーケターは、彼らのクリエイティブエージェンシーへスピードやアイデアを日々に増して要求している。そしてクリエイティブエージェンシーたちは口をポカンと開けてこういった要求に、どうやって答えれば良いのかまったく見当もつかないでいる。

このギャップを埋めることができれば、多額のお金をもうけることのできるビジネスがまっている。そしてシリコンバレーはそれを逃しはしないだろう。でも大丈夫。コピーライターのパソコンには皆「パーソナル」と名付けられたフォルダーがあって、そこには半分しか書けていない小説が眠っている。そちらに転向すればいい。

【 マーク・ダフィ氏の連載<記事一覧>はこちら

Mark Duffy(原文 / 訳:塚本 紺)