プログラマティックの新人バイヤー、どう育成すべきか?:WPP傘下 エクスチェンジ・ラボの場合

プログラマティック広告は決してオシャレで格好いいものではないが、ロンドンのビクトリア地区にあるガラス張りのビジネスビルと色褪せたロマネスク様式の建物が立ち並ぶなかでは、少しは興味深いものになるはずだ。

ロンドンに本拠を置くエクスチェンジ・ラボ(Exchange Lab)では、アイスランドのポストロックバンド、シガー・ロスを連想させるような音楽が流れる共有スペースで、バイヤーに必要なスキルを習得してもらうためのトレーニングが行われている。英DIGIDAYはその様子を取材してきた。

小規模なりの教育方法

プログラマティック広告では、万人向けのトレーニングなどありえない。大手エージェンシーのハバス・メディア(Havas Media)は、社員5000人にプログラマティック広告のトレーニングを実施するために、オンラインコースと、受講者を習熟度によって3段階に分ける評点方式を採用した。だが、社員が150人程度のエクスチェンジ・ラボはもっと小規模なやり方を実践している。それほど堅苦しくない形の、体験型データ分析のトレーニングを新入社員に提供し、先輩スタッフが個別指導を行っている。

2015年に広告ホールディングス世界最大手WPPによって買収されたエクスチェンジ・ラボのプログラマティック広告トレーニングは、主に意欲のあるプログラマティック広告バイヤーに大量のログデータを渡し、それを活用して自身が発見したもっとも興味深いデータについてプレゼンテーションを行なうと、オプティマイゼーションディレクターのシャーロット・スティル氏は説明する。

「データを理解できているかどうかを、議論を通して見ることができる」と、スティル氏。

OJTとベンダー講習

エクスチェンジ・ラボのもうひとつのトレーニング戦術は、新入社員と先輩社員をペアにしてOJT研修を実施するというものだ。ペアの組み合わせは、候補者が面接やプレゼンテーションで示した能力や弱点に応じて決まる。たとえば、データを読むスキルは優秀だがマーケティングの経験がない候補者は、さまざまなエージェンシーと何年も仕事をした経験のある社員とペアになる。

ベンダーもまた、特定のプラットフォームの強みを最大限に引き出す方法について、新人バイヤーに学習してもらう。たとえば、デマンドサイド・プラットフォーム(以下DSP)のなかにはアルゴリズムに強く依存するものがある。エクスチェンジ・ラボの日当たりのよい会議室にDSPの代表たちがやってきて、新人バイヤーは彼らのアルゴリズムを使うといかに効率的に広告購入ができるかを学ぶ。

エクスチェンジ・ラボでは独自の技術を使って複数のDSPや広告サーバーからデータを集約しているため、新人バイヤーは少なくとも1年かけてキャンペーンを設定する操作(そのキャンペーンは実行する前にバイヤーの承認を得なければならない)を繰り返してからでなければ、実際にバイイングをはじめることは許されない。

新人教育の重要性

「背景にあるデータを理解していなければ、状況を変えるツールを使わせる意味がない」とエクスチェンジ・ラボの共同創設者で最高戦略責任者(CSO)のトム・ウェブスター氏はいう。

プログラマティック広告のバイヤーは結局のところマーケターだが、ウェブスター氏は、この仕事はデータを集中的に扱うので、STEM(科学、技術、工学、数学)の学位取得者をターゲットにしたいという。そして、どんな仕事でもそうだが経験者を雇うのが理想だ。しかし、プログラマティック広告を扱うエージェンシーは、経験の代わりに素質に頼らざるを得ないケースが多い。

ウェブスター氏は次のように述べている。「市場ではプログラマティック広告のスキルをもつ人材が不足している。以前にもまして人材が重要だ。業界内でのプログラマティック広告に関する理解が必要とされるレベルに達していないからだ」。

ROSS BENES(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo via The Exchange Lab