デジタル広告業界、未経験者はとことん「使えない」のか?:イーエムネットが人材育成にこだわる理由

デジタル広告業界は慢性的な人手不足だ。しかし、未経験者への門戸は狭い。

たとえ、大手の新規デジタル専門エージェンシーが立ち上がっても、採用において優遇されるのは、競合他社で活躍してきた経験者。市場が急拡大しているために、とにかく求められるのは「即戦力」だからだ。しかも、新しい分野のため、確たる教育システムも整っていない。そのため、この業界の未経験者採用は狭き門となっている。

しかし、株式会社イーエムネットジャパンのCEO山本臣一郎氏は、そんな経験者だけが業界内を回遊し、新しい人材が参入しにくい状況に危惧を訴える。「絶対的な人材数が足りていないために、クライアントに対して適切なサービスを提供できていない企業は多い」。検索連動型のリスティング広告をメインに手掛けるデジタル専門のエージェンシーである同社は、積極的に未経験者を採用し、マネージャークラスとして後進育成に携われるまで、しっかりと教育を行っているという。

「Yahoo!マーケティングソリューション正規代理店三つ星」や「プレミア Google Partner」などに認定され、パートナーからも高い評価を受けるイーエムネットジャパン。まったくの白紙状態の新人を、戦力化するまでに擁する時間はたった3カ月だ。その人材育成の秘訣はどこにあるのか? 山本CEO、ならびに同社若手社員らへのインタビューを通じて探る。

イーエムネットジャパンの山本臣一郎CEO(中央)と若手社員

イーエムネットジャパンの山本臣一郎CEO(中央)と若手社員

志ある人材なら必ず伸びる

「現在、弊社で採用している人材の99%は、営業そのものの未経験者」と、山本氏は語る。イーエムネットジャパンが未経験者の積極採用をはじめ、人材育成ならびに若手がチャレンジできる環境作りにこだわるのは、次のふたつの想いがあるからだ。

まずひとつは、現在のデジタル広告業界の課題。先述したように「絶対的な人材数が足りていないため、クライアントに適切なサービスを提供できていない企業が多い」という想いだ。業界全体を本質的に底上げするには、人材育成が必要不可欠となる。

そして、もうひとつ。自社の創業期に、多くの先達の支援を受けたことに対する恩義から、人を育てることでインターネット広告業界全体に貢献したいという想いが、山本氏にはある。

さらに同氏は、自社だけでなく業界全体においても「人材がいれば、まだまだ市場拡大の余地がある」と考える。「たとえば、検索結果の上位がほとんど広告であるということさえ知らない未経験者でも、志のある人なら、ある程度の期間で必ず戦力になれる」。

スタッフが作った研修プログラム

ゼロからの人材育成とは、トップの強い思いだけで成し遂げられるものではない。山本氏が「人材を育てることに自信がある」と断言する背景には、同社独自の研修プログラムの存在がある。実はこのカリキュラム、新卒で入社してから5~6年目の社員たちが自らの経験をもとに作成し、運用しはじめたものだ。

「人材を育てることには自信がある」と山本CEO

「人材を育てることには自信がある」と山本CEO

かつては先輩営業について回ることが主だった、同社の新人教育。しかし、それが「現在では広告運用を中心としたOJTになり、研修中にはほぼ営業活動を行わない」というまでに、スタイルを大きく一変させた。

この3カ月間の研修期間は「新人がデジタル広告の業務に興味を持つためのステップ」と位置づけられる。ここで培った興味を土台として、イーエムネットジャパンでは新入社員全員が「Yahoo!プロモーション広告 プロフェッショナル認定試験(アドバンスト)」と「Google Adwords 認定試験(AdWords 基礎認定資格試験、検索広告)」の資格を取得したうえで、実務の現場に入っていくのだ。

採用基準は仕事への好奇心

こうした教育が実を結び、昨今では社員構成にも変化が見られるようになった。「6~7年前と比較して女性スタッフの比率が上がり、現在の男女比は、ほぼ同じ」であると山本氏。しかも現時点で12名いる管理職においても、半数にあたる6名が女性となった。また「新卒から管理職になる者も4名いる」という。

平均年齢29歳という比較的若い企業を率いる立場ながら「人材を年齢や性別で考えることはない。それよりも大事な基準は、仕事に対して『好き』や『興味』といった思いを抱けるかだ」と、山本氏は語る。特に運用型広告を取り扱っていくうえで重要な資質については「ニュース性のあるクライアントが伸びるタイミングを見極める必要がある。常に最新の情報をウォッチしていく姿勢が大事だ」という。

実際にイーエムネットジャパンで働く若手社員たちは、こうした環境をどう捉えているのか。アパレル分野を得意とし、営業本部の主任を務める永田知也氏と、入社9カ月で新人研修も記憶に新しい営業本部 管理・運用チームの西村奈菜子氏にも話を聞いた。いずれも異業種からの転職組である。

入社5年目・営業主任の場合

携帯電話キャリアから転職して5年目となる永田氏は「前職時代に、上を目指すにはWebの知識が必要不可欠だと痛感。広告・制作などのWeb関連職をさまざま検討した結果、リスティング広告の道を選んだ」。

「当初は、この業界にいいイメージはなかった。Webの口コミなどでも、会社の評判はそれほど良くなかった。広告会社といえば体力勝負のイメージで、気合いや精神論の世界だと思っていた」と、歯に衣着せぬストレートなトークが魅力の永田氏。「だが、実際に入社してみると、非常にロジカルな業務で、イメージとはまったく違った」。

「後進育成が2017年の目標のひとつ」と永田氏

「後進育成が2017年の目標のひとつ」と永田氏

約5年前、永田氏の入社当時には、現在のようにしっかりとした新人教育のプログラムはなかったという。研修もわずか5日間ほどだったが、「その当時は教育してもらうよりも、欲しいと思った知識やスキルは自分から手に入れにいこう」と考え、先輩に質問したり、本をひたすら読み漁る日々だった。

そんな永田氏に、得意のアパレル分野の広告を運用するコツを訊ねると、「マーケット、そしてブランドの系統を見ることが大切。さらにカードの買い回りデータや顧客の年齢層など、検討するべき要素はたくさんある」という。この内容は、CEOの山本氏が重要視する「最新情報をウォッチする姿勢」が、まさに現場で息づいている証拠といえるだろう。

やがて社内で研修カリキュラムが構築されはじめると、マネージャー職となった永田氏の新たな課題として、後輩の育成が無視できなくなる。「実務ばかりになりがちで、後輩を育てるというスタンスができていなかったのが、2016年の反省点。どうすれば後輩が動いてくれるかというのは人それぞれ。もっと相手の気持ちに立たなければ」と話す、彼もまた、半期ごとにマネージャー研修を受け、さらに高みを目指している。

入社9カ月・新人の場合

「マネージャーたちが仕事の片手間ではなく、きちんと向き合って報告・相談を聞いてくれるのが良いところ」と、同社の先輩たちに信頼を寄せるのは、入社9カ月目の西村氏。彼女もまた、B to C業界かつ接客という異業種・異職種からの転職組だが、ちょうど2016年4月入社だったこともあり、新卒社員とともに研修を受けた後、広告運用チームに配属された。

昨今では長時間労働など、ネガティブな話題でクローズアップされがちな広告業界。しかし、前職の勤務環境がかなりハードだったという彼女は、イーエムネットジャパンの勤務環境について、「自分でしっかりとタイムマネジメントをして、デイリーワークをこなせば、残業が多くなることもないし、土日もきちんと休める」と満足気に語る。

「先輩社員に相談しやすい環境」と西村氏

「先輩社員に相談しやすい環境」と西村氏

実際、CEO山本氏の話によれば、過重労働の問題については、全社的取り組みがなされているという。「基本的には20時半までの退社を推奨し、オフィスは21時半には消灯。IDカードによる入退室管理によって、土日は課長以上でなければ立ち入ることもできないように徹底されている」。女性や若手がいきいきと働く環境であるというのも、うなずける話だ。

若手社員の率直な想い

会社全体を俯瞰する話題に戻ると、山本氏は「弊社の研修カリキュラムが若手の作り上げた成果のひとつであるように、会社というのはひとり一人の取り組みの積み重ねでできている」と振り返る。

たとえば入社9カ月目の西村氏は、「広告運用を通じて、さまざまな業界を知ることができたし、担当している企業がCMを流しているのを見るとメディアは違うけれども、クライアント様の『広告宣伝活動の一部に貢献できている』と実感できる」と話す。入社5年目の永田氏は「近いうちに社内MVPを取り、2~3年後にはアパレルECサイトで、日本一のマーケターになるという目標を掲げている」と、そのゴールに向けたロードマップ作りに着手している。これらの積み重ねが、イーエムネットジャパンを形作っているのだ。

もともと韓国で創業されたイーエムネットは市場をNaverに席巻され、Googleも苦戦し、Yahoo!が撤退するほどの熾烈な市場環境を戦ってきた。日本市場で「ゼロから作り直し、それが評価されているのはとても嬉しい」という山本氏は、「この、みんなで積み上げていくスタイルを変えるつもりはない」と明言する。

経験ゼロからの人材を育て上げ、デジタル広告のマーケットの底上げに挑む、イーエムネットジャパン。今後も年齢や性別にとらわれず、「好き」「興味」を原動力として活躍できるデジタル広告人が、ここから誕生していく。

Sponsored by イーエムネットジャパン

Text by ワタナベダイスケ
Image from Thinkstock / Getty Images(TOP)
Photo by 合田和弘(本文中)