「創造性」も分解することで効率化できる。マーケター向け「クリエイティビティ」入門

この記事は、ソフトウェア企業Percolateの共同創設者であり、マーケティング用の記録システムのプラットフォームを製作しているジェイムズ・グロス氏による寄稿です。

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どの企業でもかまわないので、受付の人に「クリエイティブな人たちは、どの部署で働いていますか?」と聞いてみてほしい。

おそらく、たいていの場合は「マーケティング部門」と回答するだろう。マーケティングや広告関連の部署は、クリエイティブな仕事であると多くの人に認識されている。IT部門長はデータ通りに毎回同じことを安全にこなしながら仕事をするが、クリエイティブ部門長は同じアイデアは2度と採用しないように仕事をする。

だが、もしクリエイティビティが、複雑な問題に対していままでにないソリューションを与えるものならば、なぜブランドたちは日常的にクリエイティビティの高い製品を生み出すことができるのか。アニメーション映像製作会社「ピクサー」や総合広告代理店「ワイデン&ケネディ」などは、いかにしてその魔法をかけ続けているのか?

企業体におけるプロセスからプロジェクトへの段階

上の図が示すように、プロジェクトを進めるにはプロセス(毎回同じ仕事をする)からプロジェクト(毎回異なる仕事をする)に至るまで、異なる職種や部門が必要となる。たとえば財務部門の仕事だが、財務部門は過程を重視し、毎回の仕事に差異はあまりない。財務部門が独創的な経理や会計を行うことはないだろう。それは、おそらく違法になってしまうはずだ。

一方で、プロセスの反対側にある職種は、仕事に差異性を求める部門になる。研究開発部門では、毎回まったく異なる結果が求められるだろう。マーケティングや宣伝もこれと同様に目新しさを求め、いままでにないキャンペーンやアイデアが消費者の心を掴む。

クリエイティブな作業もプロセスの繰り返し

しかし、マーケティングのようなクリエイティブな作業を分解していっても、同じプロセスを繰り返していることに気づく。キャンペーンがあるたびに新たなテンプレートを作成したり、ロゴのフォントや色を変えることはしない。最高の広告や宣伝はまっさらなキャンバスから描き始められることもあるが、すべてがそうというわけではない。

じつは、マーケティングには独自の創造的システムがあり、以下の図の通りに当てはめることができる。

マーケティングにおけるプロセスからプロジェクトへの段階

例として企業のキャンペーンを見ていこう。キャンペーンは企業や代理店、目的によってまったくその内容は異なるが、核心的な部分には共通点がある。戦略や目標をまとめた概要書、その目標を達成するよう実働するチーム、世間に向けて発信されるクリエイティブな要素、それらを広めるためのひとつまたは複数のチャンネル、そのキャンペーンのアウトプットが正しかったかを判断するプロセス、そしてキャンペーンが成功だったかどうかを報告するための指標などだ。

これらの特徴から、なぜ戦略的枠組みが機能するかを説明できる。また、一般的に信じられているのとは反対に、なぜクリエイティビティはシステムで作成されるのかも説明できる。先述のピクサーもすべてのプロジェクトは、変わらないチーム体制で製作されているという。チームの相性を高めるために同じ過程を繰り返し、最高の映画を製作する環境を生み出した。

マーケティング担当者が考えるべきこと

マーケティングの部門長や代理店として、企業へ貢献できる最良のことは、上記と似たシステムを開発したうえで、可能な限り頭の良い人材を雇用し、その人材が最高の仕事ができるように導くことだ。プロジェクトやキャンペーンのマーケティングにおいても同様で、オーディエンスやビジュアル・アイデンティティ、チャンネルや予算などに対して、クリエイティブに考慮しつつシステムを構築したら、全員をスマートかつ迅速に機能させられる。

また、現在はテクノロジー技術が創造性を生むためのより良いシステムを提供してくれることもあり、今までにない機会に恵まれている。ソフトウェアがクリエイターにより効率的なテンプレートを提供してくれ、人間が時間を費やすのにはもったいない単純な繰り返し作業などはオートメーションで実行できる。技術力のおかげでキャンペーンの結果などを手作業で筆記する必要はない。CSVファイルを解析ツールなどからエクスポートするだけだ。しかし、キャンペーンの結果の分析は、必ず経験のある人物が行ったほうが良いのは確かだろう。

私たちはしばしば、マーケティングに関するテクノロジーを考えるとき、リーチを測り、報告してくれるようなツールを思い浮かべてしまう。しかし、私がもっともエキサイティングだと感じるのは、クリエイティブなプロセス全体を通して、システムをデザインすることだ。

頭の切れる独創的な人材を、くだらない仕事という悪い環境に配置してはいけない。彼らを自由にしてあげるべきなのだ。クリエイティビティとは、正しい技術と最高にクリエイティブな人たちが調和しつつ作り上げるシステムなのである。

James Gross(原文 / 訳:小嶋太一郎)
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