WPPがテレビ・デジタル共通指標を提案:今週のデジタルマーケティングサマリー

米メディア「Vriety」によると、広告ホールディングス世界最大手WPPの旗艦メディアエージェンシーであるグループM(GroupM)の最高インベストメント責任者ライル・シュワルツ氏は、来年にテレビ広告の取引において、すべてのスクリーンにおけるテレビ視聴を測定し、テレビとデジタルメディアをまたいだ取引指標をつくりたい考えを示した。

グループMは欧米の大企業の予算、約300億ドル(3兆3000億円)規模を扱う最大エージェンシー。アメリカのテレビ事業者は毎年5月ごろ、同年9月からの新番組枠を売るイベント「アップフロント」を開催するが、ここでの取引通貨をテレビとデジタルの共通通貨に替えようと提案している。

米国の大手メディア企業がテレビとデジタルデバイス(コネクティッドTV、ラップトップ、モバイルなど)をまたいだ測定を提供することに同意するかが次の課題になる。また、WPPが昨年出資した、オンライン測定企業のコムスコアは不適切な会計処理が指摘され、当局の査察を受けた段階で、この点もクリアになる必要がありそうだ。

テレビ単体では視聴率の落ち込みに耐えられず、デジタル動画を組み入れることで価値を出そうという試みだ。2002年の「アメリカン・アイドル」は3800万人の視聴者を得たが、2016年でもっとも人気のあった「エンパイア」の視聴者は1000万人だった。

米DIGIDAYのユーユー・チャン記者の10月の記事によると、米国のテレビ事業者は、デジタル動画のプレミアム在庫をプログラマティック取引に移している。「プログラマティック・ギャランティード」と呼ばれる「自動化された純広」の仕組みが整ったことと、広告主側にもニーズがあるためだという。

各テレビ事業者はオーバー・ザ・トップ(OTT)と言われる動画ストリーミングサービスを拡充。グループMの動きとは別に米最大テレビネットワークNBCは自社とバイヤーで完結する閉鎖的なデジタル広告取引システムを構築、他社も追随の流れだ。

通信大手AT&Tは今週、衛星テレビの60〜120チャンネルを、インターネット経由で半額程度で提供するサービスを開始した。

ビデオ(動画)をめぐるエコシステムを生み出す試みは今後も続きそうだが、モバイルがもっとも大きな役割を果たしている。

以下、その他、今週の注目トピック。

■米通信大手AT&T、ネットで60チャンネルを提供

米最大手通信AT&Tは28日(現地時間)、インターネットテレビ「DirecTV Now」を発表した。衛星・ケーブルの月額100ドル超よりも安価な月額35〜70ドルで60〜120チャンネルを提供。米国で「テレビ」が衛星・ケーブルからネットに拡大するきっかけになるか。

■アクセンチュア、英制作会社を買収

アクセンチェア・インタラクティブは29日(現地時間)、英クリエイティブエージェンシーのカルマラマ(Karmarama)を買収すると発表した。カルマラマはホンダ、BBC、ユニリーバなどを顧客としている。

■WPP、独自ID

WPPの独自IDなどを活用できるプラットフォームを整備する。トレーディングデスクのXaxisトップがこのプロジェクトを開発すると発表した。

■ブラックフライデーのオンライン売上の4割がモバイル

米国の大規模安売り期間「ブラックフライデー」でのオンライン売上は30億ドルを突破と発表された。約40%の12億ドルがモバイルによるもの。

■Facebook、ライブ動画通知広告をテスト中

Facebookはブランドやパブリッシャーが、人々にライブ動画を通知するリアルタイム広告をテストしている。ライブストリーミングの最中にニュースフィードに表示されるという。

■Welq騒動で、DeNA9媒体停止

DeNAは12月1日「MERY」を除く、キュレーションメディア「DeNA Palette」9媒体の全ての記事を非公開にすると明らかにした。BuzzFeedJapanの取材により、医療系メディア「Welq」の記事制作体制におけるさまざまな点が指摘された。

Written by 吉田拓史
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