トランプ当選で広告費はどうなる?:今週のデジタルマーケティングサマリー

今週の注目トピックはなんと言っても大統領選だろう。ドナルド・トランプ氏の当選はマーケティング業界に何をもたらすのか。金融市場の動揺や政策の大幅改変が経済に影響を及ぼし、最終的にマーケティング関連予算に響くなど、無数のシナリオが想定される。影響は米国一国にはとどまらず、業界にとっても不確実な状況になりそうだ。

広告ホールディングス世界最大手のマーティン・ソレルCEOはトランプ氏の当選を「第二のブレキジット(イギリスEU離脱)」と形容している。「トランプ氏の当選で高まった不確実性により、人々や政府が短期的な決断を避けることになる。しかし、これが中期的な改革の実行を後押しする」。

WSJによると、英国では6月のブレキジット前から広告主は広告費を静かに縮小しており、ブレキジット確定後に広告費に影響が見られなかった。

上述のWSJによると、広告ホールディングス世界2位のオムニコムグループCEOのジョン・レン氏は「メディア費用にどう影響するか語るには時期尚早だ」という文書を出した。広告ホールディングス世界4位のインターパブリックグループCEOのマイケル・ロス氏は「不確実性は短期的に広告費における『冷却効果』を呼ぶ」としているが、長期的な停滞期になるとは見込んでいないという。

選挙期間の興奮状態には配慮がいるかもしれない。アパレル企業の経営層がトランプ氏当選を祝うコメントを出したところ、その企業の商品を燃やす抗議が起こるなどのできごとも起きている。

米国メディアのほとんどがトランプ氏を支持しなかったが、選挙結果は逆に出ている。Facebookがリベラルと保守に完全に割れており、小さなグループ内では情報の確かさは問題にならない傾向もみられた。アメリカの社会問題であるサグリゲーション(人種分離)はFacebook内にも及んでいるという指摘もある。

以下、その他のトピック。

■Adobe、動画アドテク大手を買収

Adobeは動画アドテク大手のTubeMogul(チューブモーグル)を5億4000万ドル(約540億円)で買収することで合意したと発表した。チューブモーグルはテレビとデジタルを横断したアナリティクスと即時的な買い付けができる機能を提供している。Adobeマーケティングクラウドの製品群に、これまでの外部機能とのAPI連携に加えて、デジタル広告買い付けのプラットフォームが加わることになった。

■Verizon、米Yahoo買収の撤回も

米Yahooは米国時間9日、通信大手Verizonが48億ドル(4800億円)の買収に関する合意を破棄する可能性に触れた。米Yahooは買収契約完了後に顧客情報へのクラッキングを受け、現在23件の関連訴訟を抱えており、Verizonは買収額を10億ドル減額する要請したなどの報道が出ていた。

■JIAAが「ネイティブ広告ハンドブック」をまとめる

日本インタラクティブ広告協会(JIAA)は4日、ネイティブ広告の定義や効果、レギュレーションなどを記した「ネイティブ広告ハンドブック 2017」をまとめた。

■Facebook、新興国向け「軽いスナチャ」開発

Facebook、新興国でのSnapchatクローンアプリ「Flash」を開発。Wi-Fiがなくワイアレスネットワーク接続が悪い環境を想定したデザインで、アプリは25 MBに止めている。モバイルが普及する新興国で、スナチャ普及前にFlashを普及させる目論見と見られる。

■インスタ「ストーリーズ」に機能追加

インスタグラムは本日「ストーリーズ」にループ動画「ブーメラン」とメンション機能を加えた。ストーリーから外部リンクをつけることが可能になった。

■PwC「エクスペリエンスセンター」の開設を検討

PwCが日本の「デジタル」サービスを本格化。デジタルクリエイティブ部門「エクスペリエンスセンター」の開設を検討。PwCコンサルティング・パートナーの松永エリック・匡史氏は「PwCは日本でもデジタル領域における企業変革サービスを拡大する」と語った。

■ルビコンプロジェクト従業員19%レイオフ

米アドテク大手ルビコンプロジェクトは従業員の19%をレイオフへ。米国で流行する取引形態「ヘッダー入札」への対応が遅れたことが要因と言われる。

Written by 吉田拓史
Photo by Gage Skidmore(Creative Commons)