モバイル動画は超競争状態、AT&Tのタイム・ワーナー買収:今週のデジタルマーケティングサマリー

今週の注目トピックは、米通信大手AT&TがテレビチャンネルHBO、ターナースポーツ、映画会社ワーナー・ブラザーズなどを保有するタイム・ワーナーを買収することで合意したと発表したことだ。規制当局の審査を通過すれば来年買収完了の見通し。衛星・ケーブルテレビ事業を行うタイム・ワーナー・ケーブルは別会社で買収対象ではない。

WSJによると、タイム・ワーナーのジェフ・ビュークスCEOは「モバイル端末で視聴されている動画が増えている。だからこそ、規模が大きいAT&Tは我々のコンテンツの素晴らしいホームになる」と語った。

年々モバイルによる動画視聴は拡大している。米国では2015年からモバイルライブストリーミングビデオ(モバイルライブ動画)も急成長している。

モバイルへの動画コンテンツ配信では、広告とサブスクリプションの収益化が考えられる。広告については、両者の協働により大量の視聴データを集められるはずだ。競合の米通信大手Verizonは2015年にAOLを買収。現在米Yahooの買収プロセスの最中であり、「キャリア+メディア広告」というモデルを模索している。AT&Tは2015年7月に衛星放送大手ディレクTVの買収を完了しているが、今回の買収で「キャリア+メディア広告」モデルを追いかけている。

モバイル動画はGoogle、Facebook、AT&T、Verizonと世界最大級の企業が競い合う場所になりつつある。AT&T、VerizonはGoogle、Facebookのデジタル広告寡占に割り込めるだろうか。

以下、そのほかのトピック。

■Verizonが定額動画サービスを買収

VerizonがHulu創業者ジェイソン・カイラー氏の動画配信サービススタートアップのベッセル(Vessel)を買収すると発表した。カイラー氏はVerizonに移らず退任だが、CTOのリチャード・トムはVerizonの動画技術部門トップに就任した。

■Google Fiberが新規プロジェクト停止

Googleは超高速有線インターネットサービスプロバイダ(ISP)事業の「Google Fiber(ファイバー)」の新規プロジェクトを停止。従業員のレイオフを行い、CEOが企業を去った。寡占状態の米ISP事業者に圧力をかけていたGoogle Fiberだったが、米政府の2020年5G導入目標などを見込んで、無線ネットワークに照準を合わせたと見られる。

■Amazonが米国最大の衣料品小売業者へ

投資会社Cowen & Co.のレポートは来年、衣料品小売の分野で、Amazonが百貨店大手メイシーズを抜き全米最大になると予測。Amazonの米国での衣料品による収益は来年30%増の280億ドル(約2兆8000億円)に達するという。

■自動走行トラックがバドワイザーの輸送に成功

Uber(ウーバー)の自動走行トラックはビール「バドワイザー」5万本の輸送に成功した。Uberは自動走行車による商業輸送の成功は、はじめてとしている。ビール最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブは自動走行に切り替えることで物流コストを5000万ドル(50億ドル)減らすことができるとした。

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バドワイザー5万本を輸送する、Uberが今夏買収したOttoの自動走行トラック(Via Otto blog)

■マイクロソフトがSlackの競合アプリを発表へ

マイクロソフトは来週、米ニューヨークで、Slack(スラック)の競合となるビジネス用チャットアプリケーション「Microsoft Teams(マイクロソフトチーム)」を発表すると報道されている。The Vergeにリークされた情報によると、Slackに似たデザインで、スカイプやOffice 365に統合されているという。

Written by 吉田拓史
Photo by Mike Mozart(CreativeCommons)