米デジタルメディアの淘汰、新興国をめぐる競争へ:今週のデジタルマーケティングサマリー

今週のトピックは、BuzzFeedが自身の出資者であり、米最大メディア企業であるNBCUとリオ五輪のSnapchatコンテンツ製作で協力したことだ。22億ビューに加え、消費時間は2億3000分と好調だ。テレビ局とデジタルメディアによるコンテンツ制作の融合の始まりか(米DIGIDAY)

さらに今週、BuzzFeedはニュース部門とエンターテイメント部門を分けたと発表した(Financial Times)。ニューズコープが21世紀フォックスを分離したような伝統メディアにみられる動きと言える。FTは以前、BuzzFeedが2015年の収益目標を達成できなかったことを報じており、一部には「高コスト」のニュース部門と収益源のエンターテイメント部門を切り離し、ニュース部門を売却するという観測もあるようだ。

Vice Media CEOのシェーン・スミス氏は再び来年がデジタルメディアの淘汰の年と予測(Business Insider)。30%が淘汰されると考えているそうだ。スミス氏はとてもカジュアルな言葉遣いでこう語っている。「(デジタルメディアに出資しそびれている)メディア大手2、3社がデジタルメディアをM&Aし、『デジタル、モバイルを手に入れた、我々はスマートだ』と言うことだろう。デジタルメディアは『神様ありがとう。やっと資金が手に入った』と提案を受け入れることになる」。同社は来年IPO(新規株式上場)に向かうと言われる。

昨年はVice、BuzzFeed、Vox Media、Bisiness Insiderがレガシーメディアから巨額出資を受けたり、買収されたりした。昨年末頃にレガシーメディアの追い上げもあり、新興メディアのユーザー数の急上昇が停滞。米国のベンチャー投資も中国元の切り下げなどの要因を受けて弱含んでおり、メディア領域に新しい投資は考えづらい状況だ。米国のデジタルメディアは超競争時代を終えたのかもしれない。

スミス氏の予言が正しければ、来年までに「バイラルメディア」「キュレーション」で盛り上がった近年のブームが収束し、次の競争地点は新興国になる可能性がある。米国勢は英語圏では素早く成長する傾向があるが、世界のほとんどは自国言語をもっている。米国発の形態を模倣・改造した、さまざまな形態のデジタルメディアが新興国から現れる可能性がある。

Vice Mediaのニュース部門はインドでのテレビ放送・コンテンツ制作を開始する運びだが、競争相手のCNNはアフリカ最大の人口(1億7300万人)をもつナイジェリアでの事業拡大を目論む(米DIGIDAY)。ブロードキャスト(放送)のアプローチではなく、Facebook、Twitterを利用し、モバイルユーザーの若者に集中している。

以下、今週のその他のトピック。

■モバイルは家のなかにも

米国の家庭で使われるブロードバンドサービスの30%はモバイルにより利用されている(Recode)。動画プラットフォームのベボ(Vevo)の調査によると、ミュージックビデオ視聴の半分はベッドルームでされている。Wi-Fi設置費用は極めて安価。モバイルは動画視聴のデバイスになっている。

■Facebookが音声付き自動再生動画テスト

Facebookの広報担当は「音声付き動画を見たいかどうか選べるようにする、ニュースフィードにおける小さなテストをしている」と語っている(Mashable)。米DIGIDAYによると、多数の媒体社に確認したところ、85%の動画が無音で視聴されていた。Facebookは最近、動画を強く推している。

■電通デジタル×PwCコンサルティング

「顧客企業のデジタルトランスフォーメーションを、コンサルティングからプラットフォーム開発・実装、および運用・実行支援まで包括的に支援するプログラムを開発した」と発表。両社は顧客企業内に「CDO」(最高デジタル責任者)を設定。データプラットフォームの開発と実装、コンサルティングサービスも提供するという(電通デジタル)

■WPP、コムスコアに小幅増資

18.6% から19.2%。コムスコア(comScore)は2015年通年決算をめぐって内部調査が進んでいる。テレビとデジタルのクロスデバイス指標整備のため、WPP・CEOのマーティン・ソレル氏が昨年出資を決断していた(WSJ)

Text by 吉田拓史
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