テンセント46%増益、Facebookに肉薄:今週のデジタルマーケティングサマリー

今週のトピックは、中国のソーシャルプラットフォームの雄、テンセントが第2四半期決算で46%増益を発表したことだ。純利益が前年同期比46.8%増の107億3700万元(約1630億円)と大幅に伸び、四半期ベースで過去最高。売上高も52.3%増の356億9100万元となっている(日本経済新聞)

以下のチャートによると、テンセントの収益、純利益はFacebookに肉薄している。時価総額でもFacebookの3571億ドル(約35.7兆円)に対し、2470億ドル(約24.7兆円)の水準となり、世界で16番目に時価総額が大きい企業となった(チャート作成時点)。

Bloombergジャーナリスト Yuji nakamura氏のツイート。両者はずっと競争を繰り広げてきた。

テンセントはソーシャルメディアのQQ、メッセージングアプリのWeChat(微信)を軸にしており、Facebookとは数々の類似点がある。当初はテンセントがFacebookなどを真似た部分があるといわれた。しかし、現在両者のビジネスモデルに関しては、Facebookが広告事業に売上を集中させるのに対し、テンセントはビデオゲーム、ネットバンキング、決済プラットフォーム、音楽・動画ストリーミング、広告、オークションなど多様。かなり異なるのだ。

ソフトバンクからフィンランドのゲーム大手スーパーセルの株式84.3%を取得し、ゲーム事業は世界有数のプレイヤーになっている。ライドシェアでもUber Chinaを吸収合併したDidi Chuxing(滴滴出行)の主要な出資者。8月16日にはインドでの、WhatsApp(ワッツアップ)のライバルであるHikeへの出資も明らかになった。

テンセントは今年から海外戦略を強化しているという。広告事業の海外戦略に関して、ベニー・ホー氏はDIGIDAY[日本版]のインタビューに対し、日系企業など海外企業に中国人観光客への広告を提案すると語っている。極めて強みのある中国人観光客向けの広告商品から海外事業を拡大していく考えとみられる。グローバル企業にとって、アジア最大のインターネット企業は無視できる存在ではないだろう。

その他の今週の注目トピックは以下の通り。

■記事バラ売りのブレンドルが100万ユーザーを獲得

ニュースを記事単位で購入できるブレンドル(Blendle)が100万ユーザーを獲得した(techchrunch)。ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、米タイム、独アクセル・シュプリンガーなどがブレンドルのプラットフォーム上で自社配信記事への少額決済のテストをしている。1記事あたりの金額は数セント程度。アクセル・シュプリンガーとニューヨーク・タイムズの二者で株式23%保有している。

■SnapchatはFacebookよりTwitterの脅威?

クレディ・スイスのアナリスト、ジェイムス・リー氏によると、Snapchat(クレディ・スイス)に投じられている広告費は、テレビ広告を買ってきたタイプのブランドによるものが多く、FacebookよりもTwitterの広告収益を脅かすと分析した(Bloomberg)

ジェイムス・リー氏はFacebook、Twitter、YouTube、インスタグラムへの競争上の影響は少なく、Twitterに圧力を与える可能性があると分析。インスタグラムの広告の価格は上昇する可能性があるとし、フィードのアルゴリズムの変更により、広告在庫数を増やすことに成功したとしている。

■Facebook VS アドブロック開発者

Facebookは先週、デスクトップブラウザ利用者によるアドブロックを無効にする仕様を実装し、アドブロック開発者コミュニティーと闘いになっている。新手の「Facebook Ad Highlighter」というFacebookだけに焦点を合わせたアドブロックツールが登場。同ツールを利用すれば、Facebook広告に「THIS IS AN AD」と表示されるようになる(MIT Technology Review)。両者の争いは長期化する可能性もありそうだ。

■Uberが自動運転トラックのOttoを買収

買収額は6億8000万ドル(約680億円)。OttoはGoogleの自動運転車プロジェクトの最初のアーキテクトであるアンソニー・ウェヴァンドウスキ氏が経営(Uber)。従業員90人もGoogle, Apple, テスラなどのシリコンバレーの一流企業から集めている。情報開示しない状態で、走行実験を繰り返していた。

プレスリリースは「我々は世界有数の自律制御システムを手に入れた。自動運転トラックと乗用車はすでに道路での走行テストの段階だ(中略)。数百の都市でライドシェアサービスと物流サービスの経験があり、毎月12億マイルの走行から得られるデータと知識がある」。ライドシェアと自動運転車の領域では、誰が勝つのだろうか。

Text by 吉田拓史
Photograph by Cheon Fong Liew (CreativeCommons)