メルカリ4000万DL達成はC2Cの大波:デジタルマーケティング10【6月3週】

1週間のデジタルのトピックをおさらいする「デジタルマーケティング10」。手早くチェックを済ませたら、どうぞいい週末をお過ごしください。

今週は、フリマアプリ「メルカリ」が日米合計4000万ダウンロード(日本3000万、米国1000万)を突破したと発表した。ゲームを除くと利用時間上位アプリが固定化する傾向があるなかで、同アプリのダウンロード数は伸びており、若い女性のアプリ利用時間上位に食い込んでいると言われる。

メルカリはデスクトップで成長した先行する「ヤフオク!」と同様の仕組みだが、スマホの普及に合わせてアプリで先行者利益を積み上げてきた。商品を撮影し売りに出す、あるいはその商品を買うまでの流れをスマホだけでシームレスにできるようにしている。同社は3月初旬に総額約84億円の資金調達を発表しており、評価額10億ドル以上のユニコーンと言われる。

サービスの特徴はC2C(個人間商取引)を仲介することだ。インターネットを利用して、個人間の多様なニーズを、多様なままマッチさせる。これまでは企業から価値を提供されることがメインだった個人に対し、価値を提供し合う機会を渡すことになる。

Airbnb(エアビーアンドビー)、Uber(ウーバー)などの成功も、既存ビジネスがB2C(企業が個人向けに行う事業)で提供していたものを、C2Cに置き換えるという形で起きている。金融業界の「フィンテック」にも一部似た部分が認められる。個人間の協調融資が可能になるP2Pレンディング、少額の出資をかたまりにするクラウドファンディングがそうだ。国際送金の分野でも、銀行を介さずに2カ国間の資金を移動させるトランスファーワイズをDIGIDAY[日本版]は紹介した。これらは少額取引で拡大する傾向があるが、そのインフラとしてはスマホの普及が大きいだろう。

シェアリングエコノミー(定義が曖昧)にとって、ブロックチェーンは大きな可能性だ。ゴールドマン・サックスの報告書は、ブロックチェーンを活用すれば、認証と決済部分も分散化し、一連の行動を利用者と運転者のみで完結できる可能性に言及している。もちろん、ブロックチェーンは発展中の技術であり、まだまだ状況はわからない。

C2Cでは取引に関わる個人の信頼性の保証が重要になる。デジタル上にはFacebook認証のような特定の地点から個人情報を管理する仕組みができつつあるが、ブロックチェーンを活用して個人情報(個人の属性・行動・決済データ)を分散型で管理するべきだとの議論もある(そうすることで信頼性をセキュアな形で記録、担保できるだろうか)。

このシェアリングエコノミーやフィンテックなどの分野では、日本は規制面の調整で後手を踏んでいるとみられる。Airbnbは「民泊」と訳されている。部屋を貸したいニーズと宿泊のニーズを、スマートフォンのなかのアプリで簡潔にマッチさせることが、Airbnbのコアの価値であるにもかかわらず。

以下今週の10のトピック。

1. フリマアプリ「メルカリ」、日米合計4000万ダウンロード突破(メルカリ)

2.インドのライドシェアOla(オラ)はUberの強敵になる? Uberは今後インドに10億ドル投資予定。Olaは中国版UBERの滴滴打車(ディディダーチャ)、東南アジア版Grab、英国版Lift(米企業)とUber包囲網か(Bloomberg)

3.欧州でシェアリングエコノミーの取引額が1年で76%増。2015年の159億ユーロ(1兆8600億円)から2016年には281億ユーロ(約3兆3000億円)(emarketer)

4.マイクロソフトがLinkedIn(リンクトイン)を262億ドル(約2兆7770億円)で買収。セールスフォース「競合していた」(Bloomberg)

5.マイクロソフトのLinkedIn買収で、GoogleかFacebookがTwitterを買収するという観測が浮上。Twitterの株価が急騰(Vanity Fair)

6.ApplePayがウェブ版を公開、PayPalを追随。「MacユーザーはSafariでオンライン決済可能に」。Appleの基本戦略通り「囲い込み」(TechCrunch)

7.決済のクラウド化は小売業者を変え、マーケティングが欲しがるデータを蓄積する(DIGIDAY[日本版])

8.フィンテック・バブル?「すでにちょっとバブルになりつつあるんじゃないかと思うし、そのバブルは弾けたり修正が入ったりするかもしれない」「これらのシステムの設計に必要となる、暗号学、セキュリティ、金融、コンピュータ科学の組み合わせを本当に理解している人はとても少ない。(中略)この未成熟なインフラの上に建てつつある10億ドルの大建築を支えられるほどたくさんはいない」(伊藤穰一)

9.クローズドなシェアがお好き?「全世界でモバイル端末を使って共有されるコンテンツのうち、インスタントメッセージ、電子メール、ショートテキストを通じた共有が実に81%を占める」(DIGIDAY[日本版])

10.Facebook Japan、Facebook広告から来店数を測定するソリューションを提供開始。「顧客データベースやPOSシステムからのトランザクションデータを広告レポートとマッチングさせて、広告効果をより詳しく、リアルタイムに把握できる」(Facebook)

Written by 吉田拓史
Photo by Thinkstock