「エージェンシーはITやベンチャー投資に手を出すな」:オムニコム・デジタルCEOに聞く

プログラマティック広告と、GoogleやFacebookのような巨大プラットフォームの台頭により、エージェンシー業界では将来を不安視する声が高まっている。

だが、広告ホールディングス世界2位オムニコム系のオムニコム・デジタル(Omnicom Digital)CEOである、ジョナサン・ネルソン氏の見方は楽観的だ。結局のところ、プラットフォームはクライアント(と、担当エージェンシー)に役立つものだという。

同氏は先ごろ、DIGIDAYポッドキャストで次のように語った。「本当にすぐれた知見やクリエイティブが廃れることはないと思う。ビジネスを構成する要素の一部が自動化されたのは、いいことだと思っている。業務のなかの低レベルな作業がいくつか不要になり、その代わりに、アナリストや優秀なクリエイティブディレクターといった、高賃金で質が高く、洞察に満ちた仕事が増えた。成功をもたらすのは、そういった仕事だ」。ネルソン氏とのインタビューから、重要な点を以下に示す。

エージェンシーの役割は変わらない

メディア業界は激変し、エージェンシーは常にプレッシャーにさらされている。しかし、だからといって、コミュニケーションという中核的モデルを変える必要はない。

ネルソン氏は、「我々の仕事は、教育や娯楽、商取引を目的として、ブランドと消費者の懸け橋となることだ。それはここ20年、何も変わっていない。変わったのは目的ではなく、方法なのだ」という。

エージェンシーはITやベンチャー投資に手を出すな

ライバルのWPPとは異なり、オムニコムはGoogleなどのITプラットフォームに挑む気もなければ、新興プラットフォームに対するベンチャー投資に手を出す気もない。そうではなく、クライアントのためにこれらのプラットフォームとパートナーシップを結ぶべきだとネルソン氏は考えている。

ネルソン氏は、「我々は対抗するのではなく、強みであるクリエイティブなスキルを活かしてパートナーと協力することに力を入れる。メディア企業への投資は、売り手と買い手の両方に投資することになるため、いずれ利害の対立が生じるおそれがある」という。

エージェンシーはプラットフォームの力を恐れるな

業界内には、GoogleやFacebookをはじめとする巨大ITプラットフォームの台頭にうろたえているエージェンシーも見られる。ネルソン氏は、そうした不安に根拠はないと、以前から考えていた。オムニコムは「何百人もの」エンジニアを抱えているものの、GoogleやFacebookを恐れるべき競合相手とはみなしていない。

ネルソン氏は次のように述べている。「ああいった企業はまさに規格外だ。誰もが働きたがるし、研究開発予算も膨大だ。私が言いたいのは、Facebookに勝てる企業などあるか? ということだ。FacebookとGoogleのエンジニアリング部門はどちらも、力を合わせて我々のクライアントの成功に力を貸してくれている。両社に対抗したいとは思わない。むしろパートナーになりたいのだ」。

プラットフォームの寡占は独占よりいい

プラットフォームの力に対する恐れは大げさに語られ過ぎている、というのがネルソン氏の考えだ。かつてのGoogle恐怖症に代わり、いまやFacebook恐怖症が蔓延している。だが、実際には、少数の巨大プラットフォームの存在が市場に安定をもたらしていると、ネルソン氏は見ている。

そして、ウォールド・ガーデン(塀に囲まれた庭)のように、異なるプラットフォームが独自のルールを設定する現在の状況は、エージェンシーの価値を高めてくれるという。なぜなら、クライアントのために調整を行うのが、エージェンシーの役目となることが多いからだ。

ネルソン氏は、「GoogleとFacebookとSnapchat(スナップチャット)の共通点ばかりを考えているわけではない。私はそれらの違いに注目し、それぞれのプラットフォームで消費者とつながるにはどういったメッセージが適切かを考える」と述べている。

オムニコムはパブリッシャーとの取引を拡大している

巨大プラットフォームの台頭により、広告主は取引先を少数のパートナーに絞るようになると考えられている。しかし、ネルソン氏によると、そうはならないという。オムニコムは米国だけで1200のパブリッシャーおよびプラットフォームと取引がある。

同氏は、「依然としてメディアバイイングのテールは非常に長い。それについて、わたしは非常に楽観的だ」と語った。

※編集部注:このインタビューはポッドキャストの内容をまとめたものです。

Brian Morrissey (原文 / 訳:ガリレオ)