いままでにない 新しい「役職」を作った広告会社 5選:CPO、カルチャーエディターってなに?

広告がデジタル時代に合わせて進化するなか、エージェンシーの仕事も変化している。

特に肩書や役職名は、良くも悪くも現在の広告業界を反映しているといえるだろう。米DIGIDAYは、エージェンシー各社から最近社内に登場したユニークな、または型破りな役職名について聞いた。

結果は以下のとおりだ。

CPO(Chief People Officer)

インフルエンサーマーケティングは、マーケティング分野全体で重要性を増してきた。そのため、インフルエンサーマーケティング専任の役職を新たに設けたエージェンシーもある。ロサンゼルスに本拠を置くRQメディアグループ(RQ Media Group)もそのひとつだ。共同創設者のキャロライン・ルディ氏が「チーフピープルオフィサー(CPO)」を務めている。

「ルディの主な仕事は、映画、テレビ、アート、ファッション、スポーツといった分野のキーパーソンと会合をもち、会社と彼らとの関係を構築し、管理することだ」と、共同創設者でCEOのブライアン・サルツマン氏は説明する。同社は実際、GoogleやAirbnb(エアビーアンドビー)などの一部顧客との取引において、こうした役職を設けさせたという。

「業界のパラダイムシフトを受けて、この種の役職が誕生した」と、サルツマン氏は指摘する。「マーケティングの中核は人間関係だ。人間関係こそがすべてを高めるのだから」。

編集長

13年間ジャーナリストとして働いてきたベン・ウォーゼン氏は、コンテンツマーケティングの分野に鞍替えすることに決めた。ベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)に一時在籍したあと、2014年に代理店のレディー・ステート(Ready State)に転職し、同年に「編集長(editor-in-chief)」という役職を引き受けた。

現在は、自分と同じ元ジャーナリスト6人のチームをまとめ、顧客のための戦略、マーケティング、ポジショニングなど、広範な業務に取り組む。ウォーゼン氏によると、ジャーナリスト時代に培ったいくつかのスキル、具体的には、テーマを深く掘り下げる能力や、オーディエンスへ効果的に伝える力などが、現在の代理店業においてきわめて有用になっているという。

「思うに私の役職は、『最高でたらめ発見者(chief bullshit detector)』とでも呼べそうだ」と、ウォーゼン氏はおどける。「マーケターはときとして、人々の実際の考え方や話し方から乖離しがちだ。我々は、マーケターのそうした乖離を発見し、人々がいま考えているものに触れる手伝いをしている」。

客員起業家

米代理店、MDCアセンブリー(MDC Assembly)に「客員起業家(entrepreneur-in-residence)」として籍を置くマイケル・ニコラス氏。同氏の仕事は、新進の技術と新興企業を幅広く探るとともに、同社の戦略的コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドを運用すること。そのうえで、人工知能(AI)に特化したエージェンシーのボーン(Born)のような新会社をMDC傘下で立ち上げたり、顧客を適切な起業家や新興企業とつなげて事業を活性化させたりすることだ。

「広告業界では私の肩書きは笑われるが、それでも構わない」と、ニコラス氏は語る。「投資家と起業家の両方でいられる私の毎日は、最高に面白い。ときには広告の問題を抱えたベンチャー経営者のように悩み、別の日にはスタートアップの問題を抱えた広告マンのように思案する。大変だが楽しくてやりがいがあり、実にユニークな体験だと思う」。

カルチャーエディター

アレクサンドル・スティパノビッチ氏は、代理店シャンデリア・クリエイティブ(Chandelier Creative)の「カルチャーエディター(Culture editor)」として、社風の鮮度を保つことが仕事のひとつだ。ニューヨーク、ロサンゼルス、マサチューセッツ州イーストハンプトンにオフィスを構える同社は、各拠点を活用して、従業員のために快適なオフィス体験を創り出すと同時に、アーティストやインフルエンサーが活躍する場を提供したいと考えている。

以前はイェール大学医学大学院で脳化学の研究をしていたスティパノビッチ氏は、シャンデリアの「サロン・シリーズ(Salon Series)」向けのトークイベントを多数企画してきた。最近のものには、エクアドルの石油汚染に取り組む2人の若者を追うドキュメンタリー映画『Oil & Water』の上映会や、デザインの権威ジム・ワロッド氏を招いてブティック文化の歴史と未来を論じた討論会、社会人向け講座「シンク・オーリオ(Think Olio)」との共催で言葉の暴力を考察したディスカッションなどがある。スティパノビッチ氏は、コンテンツの制作や新ブランドとの関係構築にも注力している。

「当初の目標は、ブランドとインフルエンサーのために、さまざまなプラットフォームからクリエイティブな人材を見つけることだった」と、シャンデリアのCEO兼プレジデント、ローレン・プリンス氏は振り返る。「だが、すぐに我々にとって大きなリターンがあった。『文化の錬金術師』ジェイソン・ハーラー氏を含む、多くの異才を呼び込むことができたからだ」。

データサイエンティスト

マーケティングにおけるデータの役割が重要さを増すなか、エージェンシーでは近年、データサイエンティストが大量に出現している。代理店のレイザーフィッシュ(Razorfish)も同様で、同社のデータサイエンティストは、ほかの従業員から隔離された環境で働くのではなく、クリエイティブチームやUX(ユーザーエクスペリエンス)チームと一緒に働いている。

採用においては、同社は広告業界以外から大物を採用するようにしている。一例を挙げると、現在データサイエンティストのケビン・メルキュリオ氏は以前、ハーバード大学の物理学者で、欧州原子核研究機構(CERN)の研究員だったこともある。こうした同社の異色経歴のデータサイエンティストたちは、食品メーカーのJMスマッカー(The J.M. Smucker Company)や、ビューティケアブランドのダヴ(Dove)の「ハブ・ユア・セイ(Have Your Say)」キャンペーンなど、最近のクライアント獲得で主要な役割を果たしているという。

Tanya Dua(原文 / 訳:ガリレオ)