コピーライター志望の女性へ贈るマーク・ダフィの就職指南:失業中コピーライター(54歳)の告白

このコラムの著者、マーク・ダフィ(54)は、広告業界辛口ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人。米大手Webメディア「BuzzFeed」で広告批評コラムを担当していたが、2013年に解雇を通達された、業界通コピーライター。

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女性たちよ、性転換手術を受けた方が良いかもしれない。これは、冗談ではない。

広告代理店の現状

現在、広告代理店では「才能ある人材が不足している」と、多くの記事が出回っている。それなのになぜ、女性であるあなたは雇われていないのだろうか? 

おそらくではあるが、この理由は広告代理店のクリエイティブディレクターの95%が男性であるからだと思われる。男性コピーライターを雇うことにより、彼らはこれまで通りに下ネタを話せ、安心して性差別を行うことができるのだ。さらに言えば、彼らは女性たちが強い存在だと思っていない。日々の業務、徹夜業務、自分の考えを否定されることや下ネタなど、ついてこられないと思っているのだ。

これが、2016年の現在でも続いている広告代理店の現状である。業界内のウワサ話としても聞いたことがあるが、私がフリーランスとして実際にともに働いたクリエイティブディレクターたちからもこの現状は見て取れた。私が信じられないのであれば、英広告代理店BBHの元会長であるシンディー・ギャロップ氏の話を聞いて欲しい。彼女は現在、この業界内の動きを変えようと、果てしない努力を続けている。

「すべての企業構造は、専業主婦という概念のもとに成り立っている」と、2015年の秋にギャロップ氏は米DIGIDAYのポッドキャストにてコメントしている。「現在、すべてが変わったが、構造、システムや工程などはまったく変わっていない。女性が仕事や広告代理店を辞める理由は、業界のトップを見渡した時、そこには常に白人男性しかいないためだ」。

コピーライター以外の選択肢は?

雇われない理由が「女性」であるならば、Photoshopや絵の才能はあるだろうか? もしそういった才能があるのであれば、私はアートディレクターになることを強く勧める。あなたの雇用機会はこれまでの3倍に膨らむことだろう。

しかし、私もあなたがコピーライターを目指していることはわかっている! たいそうな考えを持っている女性め! ペギー・オルセン(ニューヨークの広告業界を描いた、米テレビドラマ「マッドメン」のメインキャラクター。社内で唯一の女性コピーライターになり、徐々に立場を上げていく)か!

実際、男性のクリエイティブディレクターたちの多くは女性アートディレクターを雇うことにあまり障壁を感じていない。彼らは可愛い女性アートディレクターたちを社内の飾り付け程度にしか見ていないため、「タフ」な男性コピーライターとペアを組ませ、男性コピーライターを喜ばせようとしている。

しかし! 「覆面コピーライター」となれば、最後に笑うのはあなただ。もちろん、男性コピーライターの不快でうんざりするような考えにも耐えなくてはならないが、自らの素晴らしい考えを提案することもできるからだ。

これが嫌ならば…素晴らしい経歴やポートフォリオを持つことだ。それでも雇われなければ、面接をしたクリエイティブディレクターが壮大なマヌケだということだ(あまり期待はできないだろう)。

もしあなたがこれらのことすべてがでっち上げだと思うのであれば、ギャロップ氏に連絡することを提案する。

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メアリー・ウェルズ氏によって制作された、米航空会社ブラニフ航空の「エアーストリップ(Air Strip)」コマーシャル。ウェルズ氏は38歳のときに、自らのエージェンシーであるウェルズ・リッチ・グリーン(Wells Rich Greene)を創設した。彼女は、ニューヨーク証券取引所に登録された初の女性CEOであり、広告企業初の女性CEOだ。

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デジタルエージェンシーとパブリッシャー

当然だが、今日現在では「熱い」クリエイティブ広告代理店のほかにも選択肢はいろいろとある。ニキビのように増えている、「デジタル」エージェンシーも選択肢のうちのひとつだ。しかし残念なことに、これら「デジタル」エージェンシーのクリエイティブさは、品質としてはあまり良くない。

ほかにも、パブリッシャー企業のクリエイティブ部門という選択肢もある。しかし、私の実体験から言えば、これらの企業も(少なくともBuzzFeed、ハフィントン・ポスト、ViceやGawkerでは)膿んでいるニキビのようにただれている(我ながら、よくもこのような例えが出てきたものだ)。

このような企業であればおそらくは雇われ、経験を積むことができる。しかし、ここで忘れてならないことは、自らのクリエイティブさが消えてなくなる前に辞職し、逃げることだ。

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JB

 

J&B社(Justerini & Brooks)によるウィスキーの広告「J&B抜きではいつもの祝日にならない(Jingle Bells[ジングルベル]も、JとB抜きではingle ells(イングルエルス)になってしまう)」。ダイアン・ロスチャイルド氏という本当に素晴らしいコピーライターによって制作され、有名なクリスマス広告のひとつ(彼女の別の作品で、英ランドローバーが制作するレンジローバーの広告も見て欲しい)。1973年、彼女が30歳のときにDDBのアートディレクターであるロイ・グレイス氏とエージェンシーを立ち上げている。

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最後になるが、極端な手段を取ることもできる。面接に裸で行くのだ。現在の代理店業界では、無意味に裸になることがもっとも熱いとされている(注:職場閲覧不適切)。もしくは、権力や性転換手術の代わりとして、ペニスバンドを装着しても良いかもしれない。それがダメなら、ウェルズ氏やロスチャイルド氏のように自らエージェンシーを立ち上げることだ。

私が伝えられることはこれがすべてだ。女性たちに幸運あれ。

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Mark Duffy(原文 / 訳:BIG ROMAN)
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