「ネイティブアド」の良い例なんて見たことない:失業中コピーライター(54歳)の告白

このコラムの著者、マーク・ダフィ氏(54歳)は、広告業界を辛口批評する人気ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人で、現在、求職中のコピーライター。米大手Webメディア「Gawker」でも週刊コラムを担当し、直近では、世界一のバイラルメディア「BuzzFeed」に所属して「広告批評」記事を執筆していたが、2013年に解雇を通達された。

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成人人口のプライム層とは、25歳から54歳を指すという。つまり私は、労働統計局とか、ニールセンその他、頭のいい人たちが作成する大量の重要マーケティング資料に、成人としてまともに扱っていただける最後の年にあるわけだ。

さて私は、2013年の11月、バイラルメディア「BuzzFeed」の「広告批評担当」の職をクビになって以来、求職中の身である。

フリーランスになってから、初めてまともな広告コピーライティングの仕事を受けたのが2014年の秋。オーストラリアの葬儀屋チェーン「ジャストクリメイションズ」の広告コピーとメール書きである。「ジャストクリメイションズ」は、私が「BuzzFeed」在職中に書いた数少ないポジティブな記事で取り上げた会社だ。この仕事は、ちょうど多発性骨髄腫で亡くなった実父を火葬に付した1カ月後に入ってきた。2014年がいかに素晴らしい年であったか想像に難くないだろう。

というわけで、以下、年寄り広告マンの告白。

大手メディアサイトにおける就活状況

ある採用試験の担当者は、「まずは編集のテストを受けるように」と言ってきたが、そのときエド・マケイブ(アメリカの広告王)に憑依されてしまった私は、逆にこう返した。「御社のサイトは、目も当てられないネイティブアドの記事にあふれているので、クリエティブテストを受けたらどうですか?」。このアドバイスは、受けが良くなかった。

某スタジオの「クリエイティブ ディレクター」と、仕事の可能性についての打ち合わせ(と自分では思っていた)ということでランチにも行ってきた。しかし、くだんのディレクターは、「Gawker」の週刊コラム「Lies Well Disguised」を書いていた「コピーランター」の私に会いたかっただけであったと判明。なんでも私のコラムが、彼が広告業界を目指すきっかけになったとかで。そりゃまた光栄なことで。ランチご馳走さん、若造め俺の貴重な時間を返せ。

「BuzzFeed」の「クリエイティブ担当」にも応募したさ。まだ返事は来てないけど…

「ネイティブアド」の良い例を見た試しがない

ただの一度も、である。どこの広告も間違ったやり方ばかりだ。数字を追うあまり、消費者の知性を過小評価した広告しか作っていないのは、実に残念というしかない。

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「NYCは終わっている。驕慢ここに極まれり」マーク・ダフィ(コピーランター)

忠誠心が身を滅ぼし、気が付いたらもう年寄り

私のポートフォリオ? 悪くないよ、ものすごく良くもないけど。ぶっちゃけ小規模の代理店で19年働いていた(驚いたか? 業界の常識を覆えす勤続年数だろう)自分の立ち位置は、わかっている。代理店ではよくフリーランスという肩書きを使っていたので、自分の仕事と、ニューヨークシティのお高い雇われプロチームの仕事を直接比べることができたわけだが、半分くらいは自分の仕事の方が勝っていたな。

しかし、自分が良い仕事をしていたのは10年から15年も前で、これは広告業界にしてみれば、はるか太古の昔のことだ。あの小さなNYCの代理店1社でしか働いたことがないので、シティの広告ビジネスの掃き溜めに埋もれている、まともな会社とのコンタクトはない。

私は不安に怯えている

サラリーがなんぼであれ、「50を過ぎたコピーライターなんて誰が雇うんだ?」と真剣に悩んでいる。しかしほかに何の経験もないし、この仕事しかできない。あーもう、なんで自分は54歳なんだー? 年金がもらえるまでまだ10年もあるのに。ときどき本当に泣きたくなる。あ、別に同情してほしいわけじゃないから。単なる告白なんで、笑っていただいて結構。

総じて、今の世代が好きになれない

1990年代のニューヨークシティは良かったなあ。2015年のNYCは終わっている。驕慢ここに極まれり、という感じ。

「BuzzFeed」の最年長(っていうか大年寄り)社員として過ごした18カ月でわかったことは、ニューヨークのミレニアル、つまり新世紀世代は、総じて高齢者差別の知ったかぶり連中ということである。「経験」なんて何の意味も持たない。Webでなんでも「経験」できるからな! ミレニアル連中が作った広告は面白くもなんともないし、演出重視でオリジナルなアイデアは何もない。はいはい、わかっています。これは2015年の求職者の態度として、間違っているということは。しかし、最近の言葉でいえばIDGAF(「I Don’t Give a Fuck 」- 知ったこっちゃない)、なのである。

この後ろ向きな記事は、実は少なからず雇用を期待して書かれたのか?

ハイ、その通りでございます。

【 マーク・ダフィ氏の連載<記事一覧>はこちら

Mark Duffy (原文 / 訳:片岡直子)
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