でたらめ「デジタルマーケティング用語」講座:失業中コピーライター(54歳)の告白

このコラムの著者、マーク・ダフィ氏(54)は、広告業界を辛口批評する人気ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人で、現在、失業中のコピーライター。米大手Webメディア「Gawker」でも週刊コラムを担当し、直近では、世界一のバイラルメディア「BuzzFeed」で「広告批評」記事を担当していたが、2013年に解雇を通達された。

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最近、頭のいいヒトたちがいろいろなエリアで増えすぎていると思う。何が気にくわないかって、彼らは広告を無駄に複雑にしすぎている。もはやこれは広告ではない。「科学」だ。

さらに彼らの信者は、別の彼らがえらいと信じきっている連中に、頭のいいヒトたちの「お言葉」を一字一句伝える。それで自分も頭がよくなったつもりなのか? まあ、いい。そして連中はそれをさらに広めていく、という繰り返しだ。

こうしてでたらめな業界用語たちが根づいていく。でたらめは口コミによって広がり、力をつけていくのだ。それではもっともウザい業界用語たちの意味をいくつか読み解いていこう。

コンテンツ

「広告」の新しい呼び方としてこの「コンテンツ」が使われる。しかしなんの権利があって、ヤツらは広告という言葉を嫌うんだ? ネット上のすべての無料コンテンツは、広告がなければ成立しないっていうのに……。Microsoftのビル・ゲイツ氏の言葉に「コンテンツは王様だ」というのがあるが、きっと「データは女王様だ」と続くのだろう。古き広告クリエーターたちは、もはやお手上げだ。

スナッカブル・コンテンツ

「スナックをつまみ食いするように、ササッと斜め読みできるコンテンツ」。ソーシャルネットワーク投稿担当の「エキスパート」たちがキミたちを本当に感動させるものをつくる代わりに、毎日垂れ流すくだらない記事のこと。また、実際に食べられる(食べるべき)コンテンツ。例として炭酸飲料「ファンタ」のオレンジ味の雑誌広告や、この「フォルクスワーゲン」の広告があげられる(ちなみにキャッチコピーの「Eat the Road」は「道路に食い込み離さない」という意味だ)。……これは道路味か? セメント味なのか?

ネイティヴアド

私にはさっぱりだ。先住民族向けの広告とか? もしくは彼らをフィーチャーしたもの?

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いや、そういうことじゃないだろう……

ストーリーテリング

ブランドコンテンツの一種だが、つまりはほら話だ。このウソがさまざまな形で消費者間に拡散することを「統合的ストーリーテリング」と呼ぶ。または酔っ払った広告クリエーターが酒場で繰り広げる何の役にも立たない「愚痴」大会。

プログラマティック広告

「コンピューターが作り出すプログラムに沿った広告」。避けては通れぬクリエイティブ広告の次なる退化。ロボットによってコピーが書かれ、ロボットによってアートディレションが行われ、ロボットによって媒体購入をされ、ロボットによって広められ、ロボットによって読まれ、ロボットによって効果が図られ、ロボットによって(間違って)評価され、最終的にはロボットによって削除させられる(そう、広告で働くニンゲンどものようにね)広告。

メトリクス

難しく聞こえるが、単純に言えば「データ」や「数値」だ……多分。すべてのメディア露出(例えばFacebookの「いいね!」、Twitterの「リツイート」など)の総合した数値なのか?

ビッグ・データ

人間の脳なんかにはとうてい理解できない、無茶苦茶でかくて、おそろしくセクシーで、とてつもなく複雑なマーケティングに関する情報だと思う。なんたって「IBM」のスーパーコンピューターでさえ、読み込むとクラッシュするほどだ。近頃流行の「精神的リーダー(thought leader)」っていうヤツらはこの言葉を聞くと、「自律的成長(organic growth)」とやらを経験するそうだ(そっ、そうか……それは良かったな……)。万が一会議中にこの単語に遭遇してしまった場合は、とにかくわかったような顔をしてうなずき、その場を仕切っているのは誰なのか探るくらいが関の山だ。

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……なんて『パルプフィクション』風に言ってみた

コンシューマーエンゲージメント

消費者と深~~~く結びつくこと。つまり怒った消費者がブランドやエアラインのTwitterを荒らすありさま。エンゲージメントにはバトルっていう意味もあるから、セール期間中の最後の薄型テレビをめぐって消費者同士が争う状況を指す言葉でもある。……なんてね。

クリエイティブ・テクノロジスト

自分がクリエーターだと思い込み、自分にも「コンテンツ」が作れると勘違いしている科学者。もしくは自分にも科学技術的なものが作れると信じ込む広告クリエーター。何だ、アプリやドローンでも作る気か?

エフェメラル・コンテンツ

「一時的に盛り上がるコンテンツ」ていう意味らしいが、つまりは軽薄で、フワ〜っとしていて、無意味で、一定期間を置いてすぐに消えてしまうコンテンツのことだ。瞬時に消え去る場合もある。「ビッグ・アイデア」の対義語。

キュレーテッド・ブランド・エクスペリエンス

精選されたブランド経験? 知るかよ!

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Mark Duffy(原文 / 訳:柳沢大河)
Image by 星野美緒(Original Photos of Thinkstock and Ryan McGuire)