「ネットスラングが得意であれば仕事は見つかる」:ソーシャルストラテジストの告白

ソーシャルメディアストラテジストという職業は、10年前には存在していなかった。

しかし、現在、リンクトイン上には28万8610人のソーシャルメディアストラテジストが存在する。しかも、ソーシャルメディアストラテジーの現場で働いている人物によると、現実は華々しいものではなさそうだ。

今回の「告白」シリーズでは、ソーシャルメディアストラテジストが、なぜソーシャルメディアにストラテジーが存在していないか、そして実際は、ただの陳腐な言葉だけで成り立っているかを匿名で説明してくれる。

――ソーシャルストラテジーという役職に関して、最大の問題は?

ソーシャル、デジタルの分野で7年働いてきた。高校を卒業したときにはソーシャルなんて存在していなかった。いまでは大学にデジタルソーシャルのクラスがある。ソーシャルで心身ともに燃え尽きてしまった。

いま起きているのは、ブランドが対応しないといけないプラットフォームの数が増えすぎたという状況だ。そんなブランドたちに、ストラテジーに関して何のトレーニングも受けていない若いミレニアル世代がアドバイスを出している。まったくもって馬鹿げている。

――なぜそんなことが起きているのか?

Facebookのアカウントをもってさえいれば、デジタルマーケティングで働けると思っている。オンライン上の流行語を使って話している人が仕事を得てしまっている。

たとえば「コンテンツが王様だ(content is king)」といった言説がそうだ。ビジネスやマーケティングについて十分知っていない学生やエントリーレベルの人材が本当に多い。かっこいいコンテンツを作っているからと言って、マーケティングが適切にできているとは限らない。ストラテジーと洞察が大幅に欠けている。

エグゼクティブとエントリーレベルのあいだに埋められない溝ができている。バブルははじけるだろう。なので、私はもう見限っている。ソーシャルはプラットフォームが主役なのではなくて、消費者と彼らの行動が主役なのだ。

――エージェンシーはそういった人材を雇ってしまっているのか?

雇っている。エージェンシーのエグゼクティブはどこだって「君は25歳か。じゃあSnapchatの使い方は知ってるね。はい、どうぞ」といった感じだ。けれど彼らはマーケティングやストラテジーのトレーニングをちゃんと受けたことがない。

自分のことを「ニンジャ」とか「グールー」とか、そういったカッコつけた単語でブランディングしている若い人材を見ると、中身のないガラクタだって分かる。陳腐でありきたりな流行り言葉を使うことができれば、仕事が手に入るんだ。

ほぼすべてデジタルになった、10年後にはすべてデジタルになると、あらゆる人が言っている。けれど、私はもう見限った。いま、デジタルやソーシャルの専門家として自分を位置づけしたくない。その先を見据えないといけない。

――クライアントのお金はソーシャルに流れつつあるということだが。

デジタルについて十分わかっていないエージェンシーのエグゼクティブが、クライアントと話してしまうことに問題がある。あらゆるクライアントがSnapchatやTwitterを使うべきとは限らないのだ。

クライアントには、まだ教育が足りていない。それは私たちの仕事で、十分できていない。デジタルに対して、自ら準備してこなかったエージェンシーがあまりにも多い。しかし、彼らはデジタルの仕事を獲得しようとしている。そのためそういったことが起きてしまう。

――ブランド側はどうなのか?

エージェンシーがソーシャル関連の何かを売りつけようとしているとき、巧妙なトリックにひっかかってしまうことは容易に考えられる。クライアントは多くの場合、非常に大きな組織だ。ビジネス間のコミュニケーションは少ない。すべて何かが起きてからの反応となってしまっている。

競合のブランドに対してもそうだ。ペプシが何かをした、コカ・コーラもした。その部分だけに注目してしまうのだ。ソーシャルの問題は皆がしていることをブランドが簡単に把握できることだ。あらゆる参加者がお互いに反応している形で(ときには上司に)、いろんなことが決まってしまう。

そして、最終的にはプラットフォームで広告を出す際に、エージェンシーが払うべき注意を払わないということが起きてしまう。また新しい物は値段が非常に高かったりする。しかし、エージェンシーにとっては、それは関係ない。彼らはただ「デジタル」でいたいだけなのだ。

――プラットフォームによるデータの間違いはどれほど深刻な問題か?

大した問題ではない。ソーシャルで私が怖いと思っていることは、ほかにある。しかし、アナリティクスをプラットフォームはやすやすと出そうとはしない。エージェンシーはそれぞれのプラットフォームを計測することで多額のお金を得ている。ソーシャルアナリティクスだけを行うエージェンシーも存在しているのだ。しかも、それは成長している。

いまでは、ちゃんとした洞察を伴ったアドバイスというのを届けることが非常に難しい。5年前であればデータが得られた。しかし、いまはSnapchatもインスタグラムもデータを公表しない。エージェンシーはビジネスを失いつつある。これは、私がソーシャルでのキャリアに見限りをつけた理由の小さなひとつだ。ちょっとしたことで風向きが完全に変わってしまう。

Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)