「エージェンシー同士、誰も互いに助け合う気がない」:ミレニアル世代のエージェンシー社員の告白

エージェンシーは不利な立場にいる。

クライアントのビジネスを管理する立場であるとされながら、そのクライアントに完全に依存しており、悪い決断に対して「No」というべきところを簡単に「Yes」といってしまうことが、しばしばあるからだ。デジタルメディアの不透明さが加わると、より頻繁にそうしたことが起こる。告白シリーズの今回の記事では、デジタルメディアエージェンシーの若手社員に話を聞いた。

要点を編集したものを以下に紹介する。

――働きはじめて、一番驚いたことは?

私はデジタルエージェンシーで働いている。私に課された責任の量は、デジタルコンポーネントについては、すべて私にかかっているという感じだった。たとえば、クライアントがソーシャルメディアに関する質問をしてきたら、その部屋にいる年上の社員がみな私の意見を聞いてきた。「実際には自分はここでほどんど力を持たないのに、みんな自分の意見を重視している」と思うと奇妙な感じだった。

――それは良いことだと思う?

エージェンシー業界に足を踏み入れると、すべての人間が流行の先端を行っているように見えることに、すぐ気がつく。実際にはそうではない人もいるかもしれない。まるで、その役割を演じなければならないかのようだ。たとえ何かの専門家ではないとしても、専門家の役になりきらなければならない。一番若手ということで、それが私に起こった。つまり、ソーシャルメディア専門家としての役割が与えられた。私が何を口にしても、人は絶対正論としてありがたがった。

――それは不当な優位性だと思う?

思わない。ひとつの機会としてそれをとらえている。若いからといってすべてを知っているわけではないが、彼らは我々を頼りにしている。長いあいだ、そのような敬意を払ってもらったことはない。就職面接では、腹立たしい気持ちになった。そこには、年上の人たちがいて、私の見た目が、まるで12歳くらいに見えたから、彼らは私が怠け者でその仕事には適さないと考えた。そうした怪訝そうな視線を私は感じた。いまでも、若いということは多くの点で自分にとって不利に働いている。特にクライアントと一緒のときには。私が知っているCMOたちは皆、私がいったこと一つひとつを細かく分析する。なぜなら、自分たちの方がよく知っていると確信しているからだ。40歳の社員に対しては、彼らはこれほど頻繁に細かい確認をしない。

――この業界人はペテン師だと思う?

エージェンシーでは、よりどころになる論文、頼りにする統計を誰もが持っていて、それを持ち出したがる。彼らはこれを自己達成的予言として利用する。ひとつの論文を読めば、データポイントを有し、専門家のように見えるためだ。私はある論文を一度読んだ。その冒頭で、好ましくない点をすべて取り除かなければならなかった。人々がいっていることにはでたらめなことがたくさんあった。そうしたことを排除する努力をしたが、自分の信念を裏付ける自分のデータポイントと論文を見つけることも必要だった。

――その点ではエージェンシーは、ほかの業界よりもひどい?

エージェンシーの人間はその部屋で一番賢い人間でありたいといつも思っている。自分の意見に同調しないデータを見つけたら、そのデータを公表しないだろう。しかし、同調してくれるものがあれば、みんなにそれを発信する。人々は我々を専門家として見る。自分の考えの正当性を立証する第三者データや意見がなければ、ちょっと間抜けに見えてしまう。デジタル空間では、物事がすごく速く動くので、くだらない内容にも同意せざるを得ない。

――たとえば?

売り上げが欲しい人たちによって完全に左右されてしまうことがあるのを知っている。あるCMOが「マーケティング予算がXある。私はSnapchatにそれを使いたい」というとする。自分たちのSnapchat商品を売り出したい人間であれば誰でも、Snapchatがどれだけこれに適しているかを披露してくる。多くの場合それは正くないから、そのCMOは間抜けということだ。

――そのCMOに反対できないのはなぜ?

かなり率直にいって、それは怖い。クライアントは我々のボスだ。彼らによって私は生かされている。そして、「あなたが望むものに予算を回したくない」といえば、彼らはそのお金を持って別のいかさま師、つまり「もちろん、その仕事を望み通りにやってのけます」という人間をみつけるだろう。それはぞっとするファクターだ。それはさらに多くの利益、給料アップ、Yesということによってクライアントを満足させるということを意味する。

――エージェンシー文化をどう説明する?

我々は不正はしない、でも悪意ある環境に置かれている。誰も互いに助け合う気などない。業界として、我々は常に互いに険悪な関係、または少なくともしのぎを削っている。悪意のあるゴシップ文化が存在している。エージェンシーの人間は排他的だ。ゴシップは周りの人々にまとわりつく。5年のあいだに8つのエージェンシーを渡り歩く人間がいて、否定的な話が出てくる。みんな本当にくだらない人間ばかりだ。

――ほかの業界よりも?

もちろん。その一部は競争がビジネスに組み込まれているということだ。しかし、それは人々が絶えず移動し、そのことが私が感じているような、現在この業界にあるゴシップ好きで悪意のある性質に繋がっていくという事実に根ざしている。別のエージェンシーの人間について話をすると、誰かが、「あいつは間抜けだ」といい出す。それは間抜けたちの業界だ。誰もが自分の胸を(ゴリラみたいに)何度もたたく。本当に神経が図太くないとこの業界では生き残れない。

Shareen Pathak(原文 / 訳:Conyac)