中国のモバイルペイメントについて知っておくべきこと:要点まとめ

WeChat(微信)とアリペイ(Alipay:支付宝)は非常に成功しており、公益事業と位置づけられても良いほどだ。中国の中央銀行は、デジタル決済サービス企業に対して取引データを共有させ、条件を公平にしようとするかもしれない。

米国と欧州は、モバイルまたはソーシャルペイメントのエコシステムの規模が拡大されるとどうなるのか、その一例として中国にしばしば目を向ける。消費者や企業は、オンラインでも、対面でも、人気のメッセージアプリのモバイルペイメント機能、WeChat Payを好んで利用したり、ペイパル(PayPal)に似たアリペイで換金する。というのも非常に手軽だからだ。消費者から業者に、またはその逆でも、お金のやり取りを直接、簡単にかつ迅速に決済できるところが人々に好まれている。それこそが、モバイルペイメント業界を支配しているWeChatとアリペイが提供するサービスであり、スターバックスに限らず、人々は、運賃、映画のチケット、カラオケの代金でさえ、請求された金額に対してモバイルペイメントを利用している。

現在、中国の中央銀行が介入しはじめており、マネーロンダリングやその他の違法取引を監視するために、処理業者に許可を求めることなく支払いを監視できるようになっている。

主な変更点

  • 中国人民銀行はオンライン決済会社に対して、10月15日までに中央情報センターに接続し、6月30日までにすべての支払いが情報センターを経由するようになることを義務づけている。これにより、中国での決済が米国のように遅くなるかどうかはまだ明らかになっていない。
  • 中国の中央銀行による命令により、それぞれ、アリペイとWeChatの親会社であるアント・ファイナンシャル(Ant Financial)とテンセント(Tencent)は、競合企業とユーザーのトランザクションに関するデータを共有しなければならなくなる可能性がある。

主な数値

  • ソーシャルペイメントは2025年までに中国のGDPを2360億ドル(約26兆円)増加させる見通し
  • 中国における総取引額の12%がモバイルペイメント(カード決済は41%、現金払いは30%、オンライン決済は16%)
  • アリペイユーザーの送金額は、2012年にはわずか700億ドル(約7.7兆円)だったが、昨年は1.7兆ドル(約187兆円)になった。WeChatユーザーの送金額は、2012年の116億ドル(約1.2兆円)に比べて、昨年は1.2兆ドル(約132兆円)になった
  • 2014年、アリペイは中国のデジタルペイメント市場の82.3%を占有し、WeChat Payのシェアは10.6%だった。2016年までにアリペイの市場シェアは68.4%に低下し、WeChat Payの市場シェアは20.6%に上昇した

アナリストの見解

ニーカパートナーズ(Nyca Partners)代表のデビッド・シーカ氏は、「初期段階の企業や民間部門企業が新しいタイプの行動パターンを見つけるようになり、商取引を行う人々が関心を持つようになると、公益事業として位置づけられた方が相応しい時期が来る。これを政府の手に委ねようという話が出てくるのは、商取引におけるこうした新しいタイプの行動パターンを政府が支援するようになると人々にとって利益があり、これらの民間部門企業もそれを認めているからだ」と述べる。

ユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)のデジタル消費者調査グローバル責任者、マイケル・エバンズ氏は、「こうした支払いの流れの追跡と監視は、マネーロンダリングや類似するその他の活動を排除しようとしているほかの国々の多くの規制当局の取り組みに歩調を合わせている。この決定は、これらインターネット企業に取引に関する詳細情報共有を強制し、競合他社と共有されるデータ量によっては、彼らの自由な成長がいくぶん遅れる可能性がある」と語った。

大局的見解

民間企業によって、消費者が本当の欲求から求めているものが明らかにされることがときどきある。多くの国の課題は、既存のシステムがいつも新たな行動パターンの変化や取引方法を支援するとは限らないということだ。

「政府がインフラや公益事業導入を支援し、イノベーションを発展させ、希望としては価格を下げより透明性の高い、より良い商品とより良いサービスが人々に提供されるようになる政策が提示されるのは、いつもポジティブなサインだ。今回は本当に影響力を発揮するかもしれない」と、シーカ氏はいう。

さらに、中国のモバイルペイメント市場は明らかに寡占化しており、中国人民銀行はおそらく条件を公平化し、新規参入企業やほかの企業が競合できることを望んでいる。WeChatとアリペイは消費者が何を望んでいるかを明らかにしているだけでなく、商取引や金融サービスがデジタル化した世界でもっとも価値のある資産は顧客データであることを証明している。彼らは、顧客の取引データだけに頼ったほかの(おそらく)企業よりも中国の消費者について知っており、クレジットラインやビジネスローンのようなほかの形態の金融サービスを彼らに対して拡大していくために、それを利用することが可能だ。

Tanaya Macheel(原文 / 訳:Conyac)