モバイルが「成長エンジン」となり、躍進するデジタル広告。約15%の伸びを予測するグローバル調査

電通グループのメディアエージェンシーである米Carat(カラ)は、グローバルの広告支出予測を更新した。世界59カ所のマーケットを対象にした報告書は、2015年の広告支出が世界全体で4%増の5290億ドルになると予測。2016年は4.7%増となり、250億ドルの成長が見込まれる。なかでもデジタル広告の伸びが顕著で、成長エンジンになりそうだ。

デジタルメディアの伸び堅調

媒体別広告のうち、手堅く伸びているのがデジタルメディアだ。唯一の二桁成長を遂げているチャンネルといえる。2015年には15.7%、また2016年には14.3%の成長を遂げると予測されている。

図表1:媒体ごとの広告支出伸び率(成長率)。新聞(Newpaper)、雑誌(Magazine)はマイナス成長。漸増傾向のテレビ(TV)、ラジオ(Radio)、映画(Cinema)、屋外の広告(Outdoor)に比べて、デジタル(Digital)の伸びは著しく、2015、2016年ともに伸び率は約15%に届いている。

モバイル・動画広告の成長が突出

デジタル広告のなかでも、モバイル広告とオンラインビデオ広告(動画広告)が突出して需要が高く、成長を牽引している。アナリストは、この成長に寄与しているブランド企業の業種は限られていると話す。さまざまな機器での視聴状況を計測するツールが増え、プレミアムコンテンツへのアクセスが増えれば、より多くのブランド企業がテレビへの広告予算をオンラインビデオに回すだろうと予測している。

図表2:デジタル広告のセクター別伸び率(成長率)。モバイル(Mobile)の伸びが突出し、オンラインビデオ(Online video)がそれを追いかける。ディスプレイ(Display)、ソーシャルメディア(Social media)、検索連動型(Paid search)の伸びは、2016年は鈍化する。

プログラマティック広告、米英で成長

プログラマティック広告においては、アメリカやイギリスが引き続き、対応が早い地域となっている。2015年末までに、検索連動型を除いたデジタル広告への支出総額の52%を占めると予測されている。成長率は約20%増。英国では、デジタル広告のなかでもっとも成長性が高い分野となっている。デジタル広告支出総額の37%を占めるほどだ。プレミアムな在庫、ビデオ広告やプライベートマーケットプレイス(PMP、参加可能な媒体社、広告主が限定されるプログラマティック広告取引)にアクセスできることが、牽引要因になっていると、Caratのアナリストは分析する。

アメリカは消費支出不振響き、下方修正

なお、アメリカの全体広告予算については、下方修正された。当初の予測では4.5%の成長率とされていたが、第1~第2四半期の消費支出がふるわず、テレビやラジオのような非デジタルメディアに影響が出たとして、成長率は4.2%に留まるとしている。

図表3:地域ごとの伸び率(成長率)。中央・東ヨーロッパは、2015年-6%の大幅減。ほかの各地域は、ともに堅調だが、特に南アメリカの伸び率は10%越と顕著。

アメリカの広告業界にとって予想より厳しい年になっている。しかし、来年は米大統領選キャンペーンが始まるので、主に地方レベルで広告支出が増えると予測している。

なお、経済誌「フォーブス」によると、2012年におけるバラク・オバマ氏とミット・ロムニー氏による大統領選で支出された広告費の総額は、約20億ドル(約2400億円)になったという。2008、2012年の大統領選でオバマ陣営の広告活動を統括したラリー・グリソラノ氏は、2016年の大統領選に投入される広告費は40億ドルに達すると見ている。

Shareen Pathak(原文 / 訳:南如水)
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